にやぁ~っと鳴き声が聞こえてきそうなこの写真。
光にあたる滑らかな毛並みとプニプニと柔らかそうな肉球。

リラックスしているその表情は瞳の奥までも覗き込め、まるで今にも動き出しそうです。

 

こうした写真を缶バッジにするときに、多くの人が疑問に思うのは『プリンターがそれを正しく表現してくれるか?』という点ではないでしょうか?

せっかく綺麗に写真を撮っても、その美しさを忠実に再現できるプリンターでなければ、完成した缶バッジの品質もいまいちで、がっかりしてしまいますよね。

 

高性能なプリンターであればそうした不安は解消されるのでしょうが、プロ向けの顔料インク対応プリンターなどは本体もインクも非常に高価ですし、一般家庭で所有している人は少ないでしょう。

 

しかし、せっかくの素敵な写真なのですから、プリントにはこだわりたい。

プリンターを買い替えることなく、今より綺麗にプリントする方法はないのでしょうか?

 

用紙の違いによる品質の差

そこで今回はコンパクトなモバイルプリンター【エプソン PF-70】を使い、プリントする紙を変えることでその違いを検証します。印刷の性能よりも携帯性を重視したモバイルプリンターでの比較ですが、どのような違いがあるかを確認します。
※【エプソン PF-70】は既に販売終了となり、後継モデルが販売されています。

 

使用する用紙は比較的入手しやすい【KOKUYO_上質紙】【KOKUYO_写真用光沢紙】【FUJIFILM 光沢写真用紙 画彩】の3種類です。

 

①【KOKUYO_上質紙】

◇ 厚さ:0.10mm
原料を科学パルプだけで作ったもので、コーティングがされていません。白色感が強く、コピー紙やノート用紙など日常で最も多く目にするものです。

 

毛並みや質感は感じられるものの、全体的に色が薄く彩度が低め。
全体的に白くボケたように見え、写真から感じ取るイメージは柔らかくなります。
瞳もしっかりとプリントされているのが分かります。

ただ、写真とはあまり相性が良くないのか、かすれ気味で色が乗り切っていない部分が目立ちますね。


②【KOKUYO_写真用光沢紙】

◇ 厚さ:0.15mm
表面に特殊コーティングを施すことで、写真専用紙に近い豊かな発色を可能にしたものです。

 

先程の上質紙に比べ、毛色や影がハッキリと描画されていますね。
黒色が強く出ていて、コントラストが強めな印象です。
瞳もうっすらとですが表現がされています。

上質紙よりも圧倒的にインクの乗りが良いです。


③【FUJIFILM 写真画質用紙 画彩】

◇ 厚さ:0.27mm
表面に特殊コーティングを施した写真印刷専用の用紙です。

 

写真用光沢紙に似た仕上がりになっていますが、黒が濃く、②よりもややコントラストが強めです。

顔を隠している右前脚光の毛並みは先ほどよりも細かく表現されているのが分かりますね。
またハイライトの部分も柔らかさを感じ、一番原稿に近い感じがします。
さすがは写真印刷専用用紙です。

※写真用紙は厚さが0.27mmと厚い為、写真用紙で缶バッジを制作する際は、写真用カッターもしくは写真用缶バッジマシンをご検討下さい。それ以外のサイズであれば写真用紙をフィルムと同じ大きさにハサミなどで切り抜いてご製作下さい。

参考:缶バッジマシンと対応する用紙の厚み

 

用紙だけでもある程度の改善はできる。

画質はさすがにモバイルプリンターという程度の能力ではありましたが、用紙を変えるだけでもかなり印象が変わることが分かりました。

最適解は高性能なプリンターに適切な用紙を組み合わせる事ですが、プリンターの買い替えができない状況で現状に満足できていないのであれば、まずは用紙を変更してみることをおすすめします。

※リサイクルインクなどは安価で購入できる反面、色の再現度は非常に低いです。
綺麗に印刷したいとお考えであれば、なるべく純正インクのご利用をおすすめします。