現在、高収入と言われたり、人気が高いと言われている仕事のほとんどは、今の子供が大人になる頃には、AIに代行させている可能性が高いのだと言う。
最近では、AIが音楽やイラストまで作り出しているのだと言われますから、企業コンサル、金融トレーダー、そして、芸術家までもが、AIに取って変わられる時代がすぐそこまで来ているのかもしれません。
いまや企業のマーケティングの主流にもなっているSNSやインフルエンサーマーケティングは、20年前は存在していなかったことを考えれば、将来、本当に必要とされる仕事は、まだ2023年の世の中には存在していないものなのだろう。
2023年3月21日に、パナソニックセンター東京で小学生起業家たちが自分の夢のお店を開くイベント「HELLO!”ヘンテコタウン”2023」が開催されました。
このイベントは、子供の頃から様々な仕事に触れることの大切さを伝えるために、1500人以上の子供たちが招待され、このイベントの中で、子供たちがデジタルで創作し、そのひらめきを缶バッジとして形にするという取り組みも実施されました。
職場では、よく上司や周りの人の意見がコロコロ変わって困るという話を聞きます。
しかし、実際の世の中は、急にTikTokやChatGPTが出てきたりと、どんどん変化していっているのだとすれば、考えをコロコロ変えるくらいでないと、現代の世の中のスピードについていけないのかもしれません。
これからの子供たちは、学校の教室で何かを学ぶというプロセスではなく、インターネットやSNSなどを通じて、デジタルで常に新しいものに触れ、それをリアルの世界で、世の中に求められる形にアウトプットし続ける力が求められます。
そういった意味では、「子供たちがデジタルで創作し、そのひらめきを缶バッジとして形にする。」といった、デジタルとリアルの両方にバランス良く関わる作業が必要なのでしょう。
これからは間違いなく「企業人」ではなく「起業人」の時代。
デジタル上で限りなく沢山のものに触れ、それを缶バッジのような小さな形でも良いので、リアルの世界にアウトプットする力が求められるのです。
缶バッジは、ひらめきを世の中に「アップロード」するための手段
現代の教育は、「起業人」ではなく「企業人」を育成するという前提で作られています。
また、基本的な学校教育というのは、一日中座ってただ授業を聞いているというものが多く、知識をインプットする時間が9割以上で、せっかく得た知識をアウトプットする時間がほとんどありません。
食べ物を食べて、栄養をインプットし、運動などを通して、エネルギーをアウトプットすることで、身体の良い循環が生まれていきます。
しかし、身体を動かすというアウトプットをせず、食べるというインプットだけを繰り返せば、いずれ必ず肥満になってしまうことでしょう。
アウトプットが少ないのは、子供だけに限らず、大人も同じことなのかもしれません。
例えば、SNSにしても、9割以上の人たちは、他人がつくったコンテンツを消費したり、ただ外食の時の写真などをアップしているだけで、自ら意識的に何かをアウトプットしている人はあまり多くないのでしょう。
インプットとアウトプットが揃うことで、それが本当の知識になるのだとしたら、缶バッジのように、どんな小さな形でも良いので、世の中にアウトプットするという行為が想像以上に重要になっていきます。
私たちの祖先が洞窟で暮らしていた頃は、自分で食べ物を見つけるために、仲間たちと一緒に、自分の人生の創業者にならなければならなかった。
しかし、何千年もの時間を経て、私たちは起業家としての自覚を失い、雇われ人と振る舞うことに慣れてしまったのです。
「HELLO!”ヘンテコタウン”2023」では、起業家の子供たちを「ヘンテコプレナー」と呼びました。
子供の「ヘンテコプレナー」たちにとっては、大人の世界では常識であるPDCAや市場分析などは必要なく、直感的な感覚で自由に自分の世界をつくっていきます。
本当の意味での起業家は、データなどは当てにしませんし、見えないものを形にする作家と同じ仕事をするはずの起業家が、大衆から意見を求めているようでは、もう起業家とは言えないのかもしれません。
アメリカというお手本があり、ビジネスの世界にも正解があった時代には、PDCAや市場分析などを行う意味は大いにありました。
しかし、状況が刻々と変化し、もう日本の先を行くお手本や正解が無くなった現代では、計画(Plan)も評価(Check)も必要なく、仮説と実行をもの凄いスピードでこなしていくことが、イノベーションを生み出すヒントになっていくのでしょう。
二刀流で野球界の歴史を塗り替えるような大活躍をしている大谷翔平選手は、日本で寮生活をしていた時に、Youtubeなどの動画を見ていて、自分が「いいな!」と思ったプレーは、すぐに練習場に行って、実際に真似してみるということをしていたそうです。
デジタル時代の子供たちに求められるのは、インターネット上にある無限の知識を使って仮説を立て、行動を通じて、それを知恵にしていく能力なのだろう。
大谷選手は、「もしかしたらできるかもしれない、もしかしたらできないかもしれない。その〝際〟の部分に挑戦したい」と述べています。
大谷選手が、大きな偉業を成し遂げても、純粋な野球少年と言われる由縁は、「ヘンテコプレナー」と同じように、直感に従って、仮説と実行をものすごいスピードでこなしているからなのかもしれません。
知識はどれだけネット上から「ダウンロード」できても、それを何か見える形のものとして、アウトプットするための行動力は、自らどこかに「アップロード」しなくてはならないのでしょう。
缶バッジも知識を世の中にアップロードする一つの手段としてご活用いただければ幸いです。