「部下が自分の頭で考えて動いてくれない」と嘆くリーダーが大勢いる一方、パナソニック創業者の松下幸之助、ホンダ創業者の本田宗一郎、そして元中日ドラゴンズ監督の落合博満はカリスマリーダーとして組織を引っ張り成功を収めてきました。

実はいずれの3人にはある共通点があり、それは彼らが「人に仕事を任せる天才」だったという点です。

松下幸之助は「やってみなはれ」が口癖で、本田宗一郎は苦手だった経営は相方の藤沢武夫に任せっきり、落合博満に関しても自身が打者出身であることから投手のことは全てコーチに任せていました。



世界最強と名高いモンゴル帝国の皇帝は、世界一の「任せ上手」だった


松下幸之助や本田宗一郎のように部下に仕事を任せるタイプのリーダーのことを「サーバントリーダー(奉仕・支援型リーダー)」と言い、「任せる」という行為を通じて部下の能力を最大限に引き出します。

しかしここでポイントになるのが、リーダーにはプレイヤーとしての高い技術が求められないという点です。

これはライオン使いやゾウ使いを例に考えてみると分かりやすいかもしれません。人間にはライオンのような強力な牙やゾウのような怪力もありませんが、人間はライオンに火の輪をくぐらせゾウに芸を仕込むことができます。

つまりリーダーはプレイヤーとしての能力が必ずしも高い必要はなく、むしろ部下が持っている潜在能力を引き出す能力が問われているのです。そしてその手段として「任せる」という行為が有効的だと考えられています。



部下に任せるのが心配なのであれば缶バッジを活用してみよう。仮に失敗してもリスクを最低限に抑えることができるだろう。

かつてモンゴル帝国のモンゴル軍が世界最強の組織と呼ばれたのは、モンゴル帝国の第5代皇帝クビライが大の任せ上手だったからです。

1万人の軍勢を率いる「1万人隊長」として知られるクビライですが、実際のところ彼は1人で1万人の軍勢を指揮していたわけではなく、1万人の軍勢を1グループ10人の小さな組織に1000分割し、各グループの隊長に指揮を任せることによって組織運営を行っていました。

こうして10人を一つのグループと捉え、各グループの隊長にマネジメントを任せたからこそ、モンゴル帝国は1万人もの大部隊を楽々と統率することができたという訳なのです。



“丸投げ”と“任せる”は違う「社内マネジメントは野球から学べ」


ただし「任せる」と一口に言っても、任せるという行為には明確な定義があります。

前述のモンゴル帝国が1万人部隊のマネジメントに成功したのは、「誰が、何を、どこまで決定できるのか」という権限を明確にした上で任せたからであって、決して任務を「丸投げ」したわけではありません。

マネジメントの世界では権限の感覚は必要不可欠で、野球選手があれだけ広い野球場を舞台にスムーズな守備が行えるのは「サードはここからここまでの範囲」「セカンドはここからここまでの範囲」とポジションごとに守備範囲が明確に決まっているからです。



缶バッジ制作を行う際、上司は口出しせず、権限の範囲を決めた上で部下に任せてみると思いもしなかった化学反応が起きるかも知れない

こうした理屈を頭では理解できても、会社の業績に直結するような重要な仕事を実際に部下に任せるとなると不安に駆られるリーダーは少なくありません。

彼らは「出来るようになったら、任せる」と口を揃えて言いますが、実際は「任せるから、出来るようになる」のです。

こうしたジレンマを解消する上で、もしかすると缶バッジが役に立つかもしれません。弊社のお客様の中には、缶バッジを活用して「社内マネジメント」を実践し、成功を収めている企業様がいらっしゃいます。

今回ご紹介させていただくのは、岡山県倉敷市に拠点を構えるローカル鉄道「水島臨海鉄道株式会社」です。





缶バッジで社内マネジメントを行う水島臨海鉄道の取り組み


水島臨海鉄道株式会社は岡山県倉敷市の中心部と水島臨海工業地帯の貨物輸送を行うために敷設された鉄道会社として貨物輸送を主に行っているのですが、同時に旅客輸送も行っており地域住民の足としての側面も持っています。

同社は地域に根ざした鉄道会社として、春夏秋冬それぞれのシーズンごとに季節イベントを企画し、未来の顧客である地元の子ども達との接点作りにも積極的に取り組んできました。

ところが当初、社員のイベントに対する意識には温度差があり社内はバラバラの状態にあったのだそうで、それはリーダーたちのマネジメントがうまく機能していなかったことが原因だと同社運輸部の大森史絵さんは話します。

そんな状況を変えたのが缶バッジでした。




イベントの宣伝やノベルティとして缶バッジを活用していた同社は、缶バッジの制作に関する権限を20代30代の若手社員達に与え、彼らを中心に缶バッジ制作プロジェクトは進行しました。

すると、これまで起きなかった現象が起き始めたと大森さんは話します。

「若手社員に缶バッジ制作に関する業務をすべて任せたところ、ある日社内で『このデザイン誰が考えたの?』『◯◯さんはデザインのセンスがあったんだね』といった声が挙がってきたのです」

「彼らに任せたところリーダーたちの予想を大きく超えた良い缶バッジが仕上がりました。さらに社員の隠れた才能を発掘する機会にもなったのです。缶バッジ制作を通して、社員の中にデザインや写真の才能がある者がいることに気付かされました」

「リーダーが見過ごしていた才能を発掘したことで、その才能をカレンダー制作に応用したり、他のプロジェクトを任せたりするなど、缶バッジを起点に社員の力を引き出すことに成功したのです」




水島臨海鉄道株式会社では、缶バッジ制作という「小さな成功体験」をキッカケにして「提案→実行→自信→さらに提案」といった好循環が生まれ、社員の働きぶりが大幅に活性化しました。

その意味ではやはり「出来るようになったら、任せる」のではなく、「任せるから、出来るようになる」というのはマネジメントの真理なのかもしれません。

そんなマネジメントの現場で弊社の缶バッジが使われていると知ることができて大変嬉しく思います。