2024年1月1日に発生した能登半島地震に対して、多くの人たちが様々な形で寄付をしています。
大谷翔平選手のように多額の現金を寄付する人もいれば、Yoshikiさんのように、自身のピアノをオークションに出して、その落札金額を寄付する人もいます。
また、能登半島地震においては、ふるさと納税の制度を使って、寄付をする人たちも増えており、ふるさと納税を通じた寄付は1月24日までに総額で42億円になっているのだと言います。
加えて、石川県が県庁の窓口などに設置した募金箱や義援金の専用口座に寄せられた寄付は約90億円集まっており、一言に寄付と言っても様々なやり方があることが分かります。
中には缶バッジを通じて、寄付をする団体もあります。
青森県横浜町の道の駅よこはまは、プラザ内に設置したカプセル自動販売機「ガチャガチャ」で、街のPRキャラクター「なのは」のデザインが入った5種類の缶バッジとマグネットの販売し、売り上げは能登半島地震の被災者支援のために寄付しています。
米沢市の観光コンベンション協会も、復興支援の缶バッジを作成し、売上の一部を義援金として能登半島地震の被災者に寄付している。
最近の様々な研究では、自分自身のためにお金を使うよりも、他人のためにお金を使う方が、幸福度が高くなるという結果が出ています。
恐らく、寄付する額はそれほど重要ではなく、無理のない範囲で他人に「与える」ことを実行していけば良いのでしょう。よく「お金があれば寄付します」という話を聞きますが、では「いつお金ができるんですか?」と聞くと、そこで会話が終わってしまいます。
他にも「時間があったら旅行をする」、「お金が貯まったら自分のビジネスを始める」などと言ったように「◯◯があったら◯◯をする」という考え方だと、いつまで経っても物事をスタートさせることができません。
缶バッジなども含め、アイディア一つで予算をかけずにできることもたくさんありますので、まずはできる範囲のところから寄付をスタートさせてみましょう。
お金を稼ぐ量よりも、お金の使い方にその人の本質が現れる
社会生態学者として知られるピーター・ドラッカーは、21世紀は株式会社ではNPOのような組織が社会の中心になると述べており、「将来は企業活動は従になり、社会貢献活動が主になる」と予測しています。
お金に関する有名な調査で、年収は800万円を超えると幸福度が上がらなくなるというものがありますが、徐々に企業活動が中心の世の中から、社会貢献活動が中心の世の中にシフトするにつれて、お金や幸福度に対する考え方も変わってくるかもしれません。
特に若い優秀な人ほど、社会貢献活動に積極的な傾向にあります。
日本では、これまでこっそり人目に触れない形で寄付することが美徳とされてきましたが、著名人もXなどで積極的に寄付したことを発信するようになり、クラウドファンディングなどを通じて、重要な問題にはみんなで取り組もうという動きが広がっています。
ジャパネットたかたは、2011年の東日本大震災の際に、売上のすべてを義援金とするテレビ通販番組を放送したところ、注文の電話が鳴り止まなかったと言います。
ジャパネットたかたの2代目社長である高田旭人さんは次のように述べています。
「正しいことをやれば、短期的に損をしても長い目で見ればプラスになる。(中略) やるかやらないかは、収支ではなく、価値があるかどうかで決める。価値があることを正しくやれば収支は絶対に合うはず。」
実際、お金を稼ぐ量よりも、お金の使い方にその人の本質が現れるとも言われ、お金の使い方は、その人の運のエネルギーを左右していきます。
カナダのブリティッシュコロンビア大学の心理学者であるエリザベス・ダンが共同研究者と共に行った実験によれば、自分のためにお金を使うよりも、他人のためにお金を使った方が、幸福度が高かったという結果が出ました。
また、ドイツのリューベック大学がおこなった研究では、チャリティや寄付を行うことで、快感を覚える脳の部位が幸福感に関連する別の部位の反応を誘発したことがMRI画像で明らかになっています。
人間は、地球上で最も社会的な生き物であり、周りとの繋がりを生み出すことによって、幸せを生み出していくものだと考えれば、社会性のある支出にこそ、世の中をより良くしていくパワーがあるのだと言える。
「幸せ」は物理的には買うことはできませんし、多くの人は自分のためにお金を使うことで、幸せを手に入れられると思っているのかもしれませんが、実際は、他人のためにお金を使うことで、幸せを買うことができるのかもしれません。
別のある調査では、自分のためにお金を使った時の幸福度は次第に減っていきますが、他人のために使ったお金の幸福度は長続きするという調査もあります。
そういった意味では、社会との繋がりを生み出すために、他人のためにお金を使うという行為は、非常にクリエイティブな行為なのでしょう。
欧米の国々と比較すると、日本人はあまり寄付には積極的ではありませんが、直接お金を寄付するという行為ではなくても、缶バッジなど様々なものを通じて、世の中と繋がりを生み出すことができます。
むしろ、何かクリエイティブな活動を通じて社会貢献をした方が、ただ単にお金を寄付するよりも幸せになっていけるのでしょう。
自分へのご褒美では幸せにはなれません。他人に何か与えることでしか、幸せは買うことはできないのでしょう。