農業機械などで圧倒的なシェアを誇るヤンマーは、創業100周年を記念して創業者である山岡孫吉氏の生誕地、滋賀県長浜市に
ヤンマーミュージアムをオープンしました。
創業者の山岡氏は農家の負担を減らすために、軽くて使い勝手の良い小型ディーゼルエンジンの開発にチャレンジし、そこで得たノウハウを時代に合わせて船舶、建設機械、そして発電機など様々な事業へ応用することでヤンマーは成長を重ねてきました。
ヤンマーミュージアムはこれまでの100年の歴史を伝える場であると共に、次の100年を見据えて、ヤンマーのDNAである「チャレンジ」の重要性を次世代の子供たちへ伝えるための場としての顔も持っています。
実はそんなヤンマーミュージアムでは缶バッジを活用した取り組みを行っているそうで、今回はヤンマーミュージアムの西田雅人さんと、多賀恵さんに詳しくお話を伺ってきました。
バッジマンネット:
これまで100年間に渡って積み上げてきた歴史を後世に伝え、さらに次の100年を見据えて次世代教育を行うというコンセプト、素敵ですね。
多賀:
ありがとうございます。ヤンマーというと、農機具のイメージが強いかと思います。ヤンマーの事業領域は農業をはじめとした「大地」はもちろんのこと、実は「海」や「都市」など事業フィールドは多岐に渡ります。そうしたことを伝える場としてもヤンマーミュージアムは機能しているのです。
バッジマンネット:
バッジマンネット:事業領域が海や都市にまで及ぶとは驚きです。ヤンマーミュージアムではヤンマーさんの事業領域にまつわるコンテンツを体験できると伺いましたが、その辺りに関して詳しくお聞かせいただけますか?
西田:
ヤンマーの3つの事業フィールド「LANDエリア(大地)」「SEAエリア(海)」「CITYエリア(都市)」ごとに区分けされていて、オリジナルの体験コンテンツを提供しています。
例えば、LANDエリアでは、ご自身がエンジンになってピストンの動きを体現するコンテンツを用意しており、ヤンマーの強みであるエンジンについて楽しく体験していただける内容となっています。
バッジマンネット:
ミュージアムの来場者層はどのような内訳なのでしょうか?
多賀:
これまでの施設にはご年配の方をはじめ大人の方に多くお越し頂いていましたが、リニューアル後は小中学生をメインターゲットにしているので、家族連れがメインとなっています。小学校の課外授業でも使われる機会が増えてきましたね。
バッジマンネット:
ヤンマーさんはBtoBビジネスを展開していますが、ヤンマーさんとは直接的に関わりがない層にアプローチするのはなぜなのでしょうか?
西田:
このミュージアムは「やってみよう!ワクワク未来チャレンジ」をコンセプトに掲げておりまして、次世代を担う子供たちの育成を目的としています。
ヤンマーミュージアムでの体験が子供たちに影響を与えて、将来ヤンマーの事業領域に従事するかもしれませんし、そうなれば将来的なヤンマー顧客にもなり得ますし、我々の事業領域を引っ張っていく存在にもなるはずです。その意味では、BtoBビジネスを展開するヤンマーだからこそ、こういったミュージアムを介して子供たちと接点を作ることは重要なことだと認識しております。
バッジマンネット:
非常に長期的な視点を持って運営されているのですね。ちなみに、こうした取り組みの中で缶バッジはどのように活用されているのでしょうか?
多賀:
ヤンマーはものづくりの会社なので、ワークショップを開催してものづくりを体験できるコンテンツを企画しました。その中で、缶バッジとものづくりは関係性が深いと感じました。
西田:
缶バッジマシンは自分でプレスして缶バッジを作りますよね。実はエンジンの部品の製造もプレス加工によって生産されていて、その過程が缶バッジを作る工程とそっくりなのです。ワークショップでは自分で絵を書いてもらって、それを縮小して切り抜き、最終的にプレスして缶バッジを作る体験を時折、ワークショップとして提供しています。
バッジマンネット:
確かにプレスする過程は製造業を連想させますよね。実際の反応はどうでしたか?
多賀:
以前の施設では缶バッジ体験を常設していて、物凄い反響でした。土日になるとものすごい行列ができてしまうほどです。「お一人様一回」と制限をつけたほどなんです。それでも、コッソリと二回並ぶ人がいたりして(笑)。缶バッジはヤンマーミュージアムを代表する人気コンテンツの一つとして重宝しています。
バッジマンネット:
他にも缶バッジを使うシーンはあるのでしょうか?
西田:
実はヤンマーは他社様と共同で「生物多様性びわ湖ネットワーク」というトンボの生態系を守る活動をしていて、その活動の中で缶バッジを活用しています。
バッジマンネット:
ヤンマーさんとトンボには何か関連性があるのでしょうか?
西田:
実はヤンマーはトンボと深い関わりがある会社で、社名も「オニヤンマ」というトンボに由来します。創業者の山岡孫吉は農家の出身なのですが、お米の収穫の時期になるとトンボがやってくるので、トンボは「豊作の象徴」として農家さんにとって縁起が良いものなのです。
そこでトンボの王様であるオニヤンマにちなんで、創業者の山岡の「ヤマ」とも語呂が似ていたことから商標を「ヤンマー」と定めました。そうした経緯があって、会社と縁があるトンボの生態系を守る活動を行っているということなのです。
バッジマンネット:
生物多様性びわ湖ネットワークでは、どのように缶バッジを活用しているのでしょうか?
多賀:
会場にくり抜いた台紙があるので、それをそのままプレスして缶バッジにしてプレゼントすることもありますし、他には会場でクイズ大会を開き正解した子供達にあらかじめ作っておいた缶バッジをプレゼントするという取り組みも行いました。
ここでもすごく長い行列ができて、それを見た他社さんも同じように缶バッジマシンを購入していました。先日、福岡のヤンマー建機を取材していただいたと思いますが、ヤンマー建機はもともと弊社から缶バッジマシンを借りていて、その頻度があまりにも多いので結局、自分たちでマシンを購入したという経緯があったんです(笑)
バッジマンネット:
そのような経緯で導入されたのですね。ヤンマーさんの商品は重機がメインなので、イベントや展覧会等に参加する際は準備が大変かと存じますが、缶バッジであれば気軽に露出を増やすことができますね。
最後に缶バッジを活用し始めてから変わったことなどあればお聞かせください。また、今後の展望も合わせてお聞きしたいです。
多賀:
缶バッジを活用し始めてからの一番の変化は、多くの方からヤンマーのことを多面的に理解されたことでしょうか。「すごくいろんな事業をやっているんですね」と声をかけられることが本当に増えたんです。
特に印象的だったのが、ヤンマーが海の事業でも展開していることを知っていただき、その話の延長で我々が養殖の技術研究をしていることや南極の昭和基地でコージェネレーションという発電機を運転しているお話まで伝えることができたことですね。やはりヤンマーは農業機械のイメージが強いですから、養殖の技術研究や南極でのメンテナンスをしているなんて話は普段は伝わらないわけです。
ヤンマーのことをより深く、そして多角的に知ってもらうという意味において缶バッジは我々の活動の中で貴重なものになりつつあります。今後も、新しい活用方法を見出せるようチームでアイデアを出し合いたいと思っています。