工事現場などで使用されるバックホーを始めとした小型建機の製造・販売を行う、ヤンマーグループの事業会社の一つ、 ヤンマー建機株式会社。
そんな同社の本社を訪れると敷地内に近未来を彷彿とさせるまるで美術館のようなデザイン性の高いショールームが存在感を放っています。
2018年に新しいブランドコンセプトを立ち上げた同社では、このショールーム設立をはじめ、様々な取り組みに挑戦してきたそうで、その活動の一環に缶バッジも含まれているのだそうです。
そこで今回はヤンマー建機株式会社営業企画部の廣松拓也さんに詳しくお話を伺ってきました。
バッジマンネット:
ヤンマー建機さんと言えば、ミニショベルなどの建機のイメージが強いですが、このショールームはすごくデザイン性が高く、建機メーカーの印象とは大きく異なるのが印象的でした。
廣松:
ありがとうございます。実は、2013年からヤンマーグループ全体で新しいブランディングの取り組みを行っており、ヤンマー建機も2018年に新しくブランドコンセプトを立ち上げたのです。
現在は我々が暮らす街をつくり、世界を作っている方々をサポートし、パートナーのような存在としてヤンマー建機を認識していただけるようブランディングを進めています。そうした活動の中の一つに弊社のショールームも含まれています。
バッジマンネット:
このショールームを見ると、ヤンマーさんがどれだけブランディングに力を入れているのかが手に取るように分かりますね。ここまで作り込んであるショールームを見たのは初めてなのですが、ブランディングの背景には何があったのでしょうか?
廣松:
現在、全世界的に見ると建機の需要は伸びているんです。日本のような先進国だけでなく、土地開発が進む新興国でも都市型の小型建機の需要が顕著に伸びています。
しかし一方で、商品の差別化は年々難しくなっているという現実があります。機械の基本性能である「穴を掘る」という機能での差別化を図ることが難しいのです。もちろん、重機のICT化や安全装置などの面で付加価値的な差別化を図ることはできますが、基本的な動作は同じですので、製品特徴が似通ってくるという現実があります。
それに加えて、建機はライフサイクルがすごく長い商品で、一つの商品を20年近く使うお客様もいらっしゃいます。そのため、短期的なマーケティング施策を打ったとしてもすぐに効果が得られるわけではありません。その意味では、いかにお客様に納得していただけるメッセージを継続的に届け、長期的にブランドイメージを構築していくかが鍵になるのです。
バッジマンネット:
なるほど、建機業界にはそうした事情があったのですね。長期的にブランドイメージを構築するという意味において、このショールームはどのような役割をになっているのでしょうか?
廣松:
お客様を迎え入れて、我々のブランドイメージを理解・体験していただくスペースという位置付けです。
と言うのも、ヤンマー建機はものづくりが根幹にあるんです。生産現場をお客様に見ていただいて、我々がどのような思いで製品を作っているかを知ってもらうという意味で、これまで工場見学の受け入れなども積極的に行ってきました。
ただ、そうした施設も内容がそれほど充実していたわけではなく、お客様を迎え入れるスペースがなかったというのがこれまでの課題でした。そうした課題を解決するという意味でも、このショールームは機能しています。
バッジマンネット:
ちなみに、このショールームでは具体的にどのような体験ができるのでしょうか?
廣松:
いくつかのセクションに分かれているのですが、まず入り口を入って左手にあるのが過去〜未来の商品紹介です。
これまでにヤンマー建機が世に送り出した商品が左端にあって、右奥には「こんな商品があったら役立つだろう」というコンセプトで作った2035年モデルの未来の建機もあります。
バッジマンネット:
なぜ2035年なのでしょうか?2035年は重機業界にとって何か意味がある年なのですか?
廣松:
実は2035年は、バブル期に作られた住宅やビルの改装や解体が活発化する年なのです。ビルの中に入って壁を壊したり、床を剥がしたりという作業をする時にエレベーターの中に入っていくことができる小型重機の需要が高まると予測されています。そうした未来を見越した商品のご紹介をしています。
バッジマンネット:
こちらには大型モニターがありますね。
廣松:
この大きなモニターではヤンマーグループ全体のブランド理解を促す映像を流しています。実はヤンマーはセレッソ大阪のスポンサーになっているサッカー好きな企業なんです。なので会社の行動理念などもサッカーになぞらえたものが多く、ヤンマーイレブンと呼ばれています。
バッジマンネット:
奥にはゲームセンターのような空間がありますが、これは体験ブースか何かでしょうか?
廣松:
こちらでは先ほどご紹介した未来の建機の操縦体験ができるブースとなっていて、御来社いただいたお客様に体験していただいております。
バッジマンネット:
ありがとうございます。こうして見てみると五感でヤンマーさんのブランドイメージを体験できる施設となっていることがすごく分かります。
ちなみに缶バッジはどのような形でヤンマーさんのブランドイメージ発信に貢献しているのかお聞かせいただけますか?
廣松:
実は、缶バッジはショールームではなく、基本的には展示会にて活用させていただいています。具体的には展示会の集客ツールとして使わせて頂いておりまして、子連れの来場者の方に向けて缶バッジ体験コーナーを設けています。
バッジマンネット:
子連れの来場者に向けて缶バッジを導入されたとのことですが、ヤンマーさんの展示会では子連れの来場者の方が多いのでしょうか?
廣松:
もちろん展示会の種類によりますが、親子連れの来場者が半数を越える展示会もあります。
バッジマンネット:
ちなみに、缶バッジを導入されたことでどのような成果を得られたでしょうか?何か課題を解決するなど、缶バッジが役立ったシーンがございましたら、ぜひお聞かせいただきたいです。
廣松:
やはり展示会のメインは商談ですが、お子様連れのお客様だと商談中にお子様がウロウロしてしまうと商談に集中できなくなってしまうんですね。
そこで、親御さんが商談をしている最中にお子さんが缶バッジを作ることができるブースを作ったのです。お絵かきをしたり、名前を記入してもらったりして、そこから缶バッジマシンで缶バッジを作ってという作業をしていると、15分〜20分ほどの時間を稼ぐことができるので、その間にしっかりと商談していただくという形をとっています。
バッジマンネット:
それはウィットに富んだアイデアですね!確かに、商談中にお子さんが集中力を切らしてしまうと、心配になって商談どころではなくなってしまいますよね。
廣松:
実は、この缶バッジが思いのほか好評でして、缶バッジを導入してからというもの来場者数が飛躍的に増加しました。2倍とまでは言いませんが、来場者数は格段に増加しました。
それに私たち営業企画部は商談担当ではないので、普段お客様と直接お顔を合わせる機会がほとんどありません。なので、こうした展示会の場で缶バッジを作られたお客様が喜ぶ姿を直接お目にかかれるというのは、モチベーションアップにもつながってくるので、缶バッジからポジティブな影響を受けていると思います。
バッジマンネット:
そう言っていただけて嬉しく思います。缶バッジには様々な活用方法がございますが、今後は展示会に合わせて他の活用方法も検討されているのでしょうか?
廣松:
実は弊社では地域の方に向けて、毎年感謝祭を開催していて、今後はそうした場面でも缶バッジを活用できないか模索しています。
今後、弊社ではさらにブランディングの強化に力を入れて行きますが、その中でしっかりと缶バッジも活用させていただければと考えています。