コカ・コーラなどからライセンスを取得して、主にステッカーや缶バッジなどの関連グッズを製造・卸売りしている有限会社ライフスタイル

コカ・コーラの缶バッジやステッカーのライセンスは同社が日本国内で独占取得しており、もしかするとあなたが持っているコカ・コーラの缶バッジはこの工房で作られたものかもしれません。
そんな同社は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、缶バッジを活用した新規事業に取り組みはじめました。そこで今回は同社代表取締役の渡義浩さんに詳しくお話を伺ってきました。




バッジマンネット:
ライフスタイルさんとはもう随分長い間お取引させていただいていますね。いつもありがとうございます。

渡:
かれこれ10年になりますね。10年ほど前に展示会で御社の社長と知り合い、プロ仕様缶バッジマシンを導入してから本格的に缶バッジの製造を始めたことを思い出します。

バッジマンネット:
もうそんなにも経つんですね。10年前に導入していただいたプロ仕様缶バッジマシンは問題なくお使いいただけていますでしょうか?

渡:
10年近く使わせていただいていますが、修理は一度だけで済んでいます。

一度だけ修理したのは数年前、数万個単位のかなり大規模な缶バッジの注文があり、一日中缶バッジを製造していた時期にマシンが故障してしまいました。修理に出している間、御社のプロ仕様缶バッジマシンをレンタルさせていただいて本当に助かりました。




バッジマンネット:
今後も何かマシンに異常などがあればすぐにご連絡くださいね。

早速ですが、これまで長年続けてきたライセンス商品の製造に加え、缶バッジを活用したオリジナルブランドを立ち上げに取り組まれているとお聞きしました。詳しくお話を伺えますか?

渡:
新型コロナウイルスの感染拡大の影響でグッズの受注数が減少傾向にありました。それに近年はドクターペッパーなどの大手ブランドが日本国内向けのライセンスビジネスから撤退するなど、市場の変化もありました。

コロナ禍による外出自粛も重なって時間にゆとりができたので、せっかくプロ仕様缶バッジマシンが手元にあるわけですから何か新しいことを始めようと思い、オリジナルブランドの立ち上げを始めました。




バッジマンネット:
ライフスタイルさんが立ち上げられたオリジナルブランドはどのようなものなのでしょうか?

渡:
「オンザビーチ」というサーフブランドを立ち上げたんです。私はもともとサーフィンをやっていてサーフブランドの商品を買いたいと思っていたのですが、私くらいの歳になると既存の派手なサーフブランドはなかなか手を出しにくいんですよ。

私と同じように、若い頃サーフィンに慣れ親しんでいてサーフブランドに興味があるものの既存のブランドには手を出しにくい、と考えている人が少なからずいると思ったんです。コロナで時間もあることだし、試しに作ってみようと思い、楽天、ヤフー、アマゾンなどで販売してみたら思いの外売れました。

ここからオリジナルブランドの面白さを実感するようになって、「温泉マーク」や「安全第一」のロゴがついたオリジナル商品を次々と作ることになったんです。




バッジマンネット:
かつてのサーフ世代によるサーフブランドって素敵ですね。それにしても、温泉マークや安全第一というのはどういった経緯で作ることになったのでしょうか?

渡:
銭湯で働いている方、工事現場の作業員の方、漁業関連の方など様々な業界の人たちの服装を見ていると、自分たちの業界をしっかりとアピールするようなグッズがほとんど浸透していないことに気づいたんですよ。

例えば、近所で工事をしている時、土木現場のお兄ちゃんたちの格好を見ると無地のメッシュキャップを被っていました。彼らはプライベートの時間はきっとオシャレな格好をしているはずですが、どうして作業着には関心を向けないのかと考えたのです。

結局、そういうものが市場に流通していないからなんですね。だったら作ってしまえば良いと思い、様々な業界のロゴを模したキャップやTシャツなどを次々と作り始めました。




バッジマンネット:
言われてみれば、これらの業界はまだまだアパレルなどのブランドが入ってきていない分野ですから、スキマ産業と言えますよね。実際に作ってみて反響はいかがでしたか?

渡:
すごく反響があり続々と注文が入ってきています。ただ単にグッズを作って販売しただけではなく、市場を1から作る覚悟で「提案」をしてきたんです。

例えば、銭湯でお風呂掃除をしている姿ひとつとっても、ジャージで作業するよりも、銭湯ロゴが入った今っぽいキャップやTシャツを着て作業した方がカッコよく映ると思うのです。これはアパレルが進出していないあらゆる業界に同じことが言えると思います。




バッジマンネット:
提案型の商品開発ということだったのですね。ちなみにこれら新規事業に缶バッジはどのように関係してくるのでしょうか?

渡:
実はこうしたグッズを購入してくれた方には無料で各業界のロゴ入り缶バッジを同封しているんです。しかも最初からキャップやTシャツに缶バッジをつけた状態で発送するんです。そうすると缶バッジをつけた状態で商品を使ってもらえますし、何より「缶バッジをつける」という行為を習慣づけてもらえるんです。

バッジマンネット:
缶バッジの習慣づけとは興味深いです。実際に缶バッジをつけた状態で商品を発送してからどのようなことがおきましたか?

渡:
缶バッジをキャップやTシャツにつけるようになると、次第に前掛けなどにも缶バッジを付けたくなるんです。実際に商品を購入したお客様から缶バッジ単体の追加注文を受けることが多いんですよ。

結局私がやっていることは、缶バッジをつけることが当たり前の「文化」を作ることなのです。文化ができれば、そこに市場ができるというのは自然なことだと思います。そうやって缶バッジを起点に、既存事業に囚われない全く新しい事業を創出することができたのです。




バッジマンネット:
渡さんの先見性の高さに驚かされます。缶バッジを起点に全く新しいビジネスや市場を創出できるというご指摘は、他のプロ仕様缶バッジマシンユーザー様にとってもすごく参考になるお話と思います。

最後に今後の展望についてお聞かせいただけますか?

渡:
缶バッジは気軽にチャレンジできる商材なので、「たかが缶バッジ」と思われがちですが、使い方によっては大きな武器になると考えています。新規事業についてはまだ始まったばかりですが、今後もスキマ産業を盛り上げるお手伝いができればと考えています。