現在テレビアニメ放映中「転生したらスライムだった件」の出版社としても知られるマイクロマガジン社

地域批評シリーズやコミックス、ライトノベルなど数多くの出版物を手がけており、近年では絵本の出版にも力を入れています。

そんなマイクロマガジン社は絵本の販売促進キャンペーンに缶バッジを活用しているのだそうです。
そこで今回は同社の絵本編集担当のAさんに詳しくお話を伺ってきました。




バッジマンネット:
これまで取材させていただいたお客様の中には出版社の方も大勢いらして、最近は絵本の出版に力を入れる出版社が増えてきている印象です。マイクロマガジンさんが絵本に力を入れる理由は何なのでしょうか?

Aさん:
弊社では、代表が「子どもたちに向けて良い作品を残し、喜んでもらうことがコンテンツホルダーとしての役割だ」という強い気持ちを昔からずっと持っており、近年試行錯誤しながら始まりました。

また、ビジネス的にも、出版不況が叫ばれる中、子供向け絵本は市場が比較的安定していていると言われています。定番として定着するまでには時間がかかるかもしれませんが、一度定着してしまえば息の長く愛されるメリットがあります。他者様含め絵本に力を入れるのはそんな背景があるからかも知れませんね。

バッジマンネット:
絵本の販促に缶バッジを活用されているとのことですが、イベント等で活用されているのでしょうか?

Aさん:
主に書店さんで開催される読み聞かせイベント等で使わせてもらっています。いまはコロナの影響でなかなか実施できませんが、イベントが集客に繋がることもあるので、書店さんからの申し入れは多いですね。
店舗さん側としても毎週イベントを開催することで、「あの本屋に行ったら何かしら楽しそうなイベントをいつもやっている」というイメージ作りや、お客さまとのコミュニケーションをはかる上でも、こういった参加型の催事は重宝されているのではないでしょうか。



写真提供:マイクロマガジン社

バッジマンネット:
実際に缶バッジを運用されてみて、率直なご感想をお聞かせいただけますか?

Aさん:
弊社では主に親子イベントで缶バッジを使わせていただいているのですが、反響はかなりいいです。その場で塗り絵などを書いてもらって、それを缶バッジにしてプレゼントするのですが、やはりお子さんが作ったものは、思い出としてとっておいてしまいますよね。その「記念品」が作品との接触機会の接点として機能していると思います。「記念品」を見るたびに、その作品にも愛着がわきますしね。

バッジマンネット:
出版業界の中でも特に絵本は特殊な領域とお聞きしています。絵本と缶バッジの相性はいかがでしょうか?




Aさん:
仰るように、絵本はすごく独特な商品だと認識しています。例えば、一般書籍の場合、書店ではなくAmazonなどのECサイトで商品を購入されるお客様が増加傾向にあると思いますが、絵本に限っては書店で購入される方がいまだ多いと聞きます。ある調査では、購入する方の半数以上が、書店で実物を手にとってからでないと買わないと回答しているとか。

絵本ってお子さんが読んでも大丈夫なように、他の本よりも頑丈につくってあるので、どうしてもちょっと高めな価格設定になります。ですから、購入する親御さんだって慎重になる。

そして私の子どももそうでしたが子どもって急に興味の対象が変わったりすることもあるので、本当に本人が欲しがっているのかどうか見定めた上で絵本の購入を検討したいですよね。ですから、子どもと一緒に現物を手にとって反応を見ながら買うようになるのは自然な流れですよね。

ですからお店側としては他の店舗より、いかに多くのファミリー層に足を運んで来ていただいたかが戦略になると思います。だって、そのほうが購入いただく確率が上がるのですから。そのツールとしてイベントや缶バッジが活躍しているのではないでしょうか。




バッジマンネット:
確かに、その意味では絵本は一般書籍とは購入背景が大きく変わってきますよね。当然、売り方も変えていかなければならないですね。イベントでの様子を教えていただけますか?

Aさん:
缶バッジの制作に時間がかかるお子さんも多くいて、中には2、3時間かけてじっくりと制作に取り組む子も少なくないんです。

お子さんが缶バッジを作っている間に本を見て回る親御さんも少なくなく、まずは親御さんが絵本の品定めをして、缶バッジ作りが終わってから「この絵本はどうかな?」と、お子さんと一緒に絵本を選ばれる方も多いですね。

バッジマンネット:
お話を伺っていると絵本と缶バッジの相性がすごく良いことに気づかされます。ちなみに書店員さんとの関係構築に缶バッジを活用することはあるのでしょうか?以前、他の出版社さんにお話を伺った際、書店員さんとの関係構築が重要と伺いました。



写真提供:マイクロマガジン社

Aさん:
まさにその通りです。絵本の売り上げは書店員さんによって左右されますし、書店員さんが絵本を育ててくれているという側面もあるんですよ。

具体的な店舗名は伏せさせていただきますが、ある書店ではカリスマ書店員さんが棚づくりを行っただけで、売り上げが毎年140%近く伸び続けた事例があるんです。それくらい書籍の売り上げは書店員さんの腕にかかっているんです。

バッジマンネット:
書店員さんとの関係づくりで缶バッジはどのように活用されているのでしょうか?マイクロマガジンさんの方から書店員さんに絵本の案内をするのでしょうか?

Aさん:
もちろん新刊既刊問わず、案内させていただきますし、他の出版社さんの本でもいいものがあればオススメしたりします。担当者さんも我々もいわば「絵本オタク」(笑)なので、お互いよく情報交換したりしています。ありがたいことに、仲良くさせていただいている書店員さんからは「私この絵本売りたいです」とか「この絵本いいね」とお声がけくださることもあります。

その時、書店員さんから「この絵本を売りたいから何かグッズを作りましょう」と提案され、あまり予算がかけられない中、上がってくるのが缶バッジという選択肢なんです。ジャストアイデアでも、まずは作ってみようと迅速に対応できる意味では、缶バッジが最も使いやすいと感じています。




バッジマンネット:
確かに「何かやろう!」と盛り上がったときに、熱量が冷めないうちにすぐに取り掛かれるものとして、缶バッジは最適かもしれませんね。

Aさん:
それに缶バッジは、身近なアイテムなので、レイアウトイメージもしやすく、デザインスキルが比較的低くても、なんとか可愛いものができたりするので、その対応しやすさが、重宝されているポイントだと思います。

今後、缶バッジを運用していく上でノウハウが蓄積されると思うので、書店員さんと協業で新しい使い方を考えていければと思っています。