図書館などが入る複合施設「オーテピア」5階にある高知みらい科学館は、自然や科学などの常設展、プラネタリウム、サイエンススクエア、実験室や工作室などさまざまな施設を完備しています。

高知の未来を担う理科好きの子どもを育むことを目指して、子ども科学教室やサイエンスショーを開催し、コロナ禍においてもYouTube動画の配信などを続けてきました。

今回は「高知みらい科学館」が運営している「ネイチャークラブ」の缶バッジの活用方法、未来の子ども達に対する思いなどについて学芸員の岡田直樹さんからお話をお伺いしています。

目指しているのは、高知のみなさんに何度でも足を運んでもらえる「科学館」。


バッジマンネット:
「オーテピア」は図書館と科学館の複合施設ということですが、どういった経緯で建設されたのですか?

岡田:
「オーテピア」には、「高知みらい科学館」「オーテピア高知図書館」「オーテピア高知声と点字の図書館」の3つの施設があり、高知県と高知市の共同事業として誕生しました。

「高知みらい科学館」は1981年に開館した「高知市子ども科学図書館」を拡張させた施設で、「ネイチャークラブ」は当時の科学図書館から引き継がれています。



バッジマンネット:
近くに高知城などがありますが、観光客が中心なのでしょうか?

岡田:
観光客の方もいらっしゃいますが、どちらかと言えば、市民県民のみなさんに図書館と科学館を日頃から気軽に利用していだけたらと考えています。

プラネタリウムは毎日投映していますし、週末は実験で科学の不思議を楽しむ「サイエンスショー」、簡単な実験や工作を楽しむ「ミニかがく教室」などを開催しています。

1年間頑張って活動した子ども達に記念になるものを贈りたい。そんな思いからスタートした「昆虫缶バッジ」


バッジマンネット:
「ネイチャークラブ」では、どのような活動をされているのですか?また、缶バッジを利用するようになったきっかけについて教えてください。

岡田:
「ネイチャークラブ」は、年度ごとに会員を募集しています。コースは「昆虫コース」「植物コース」「貝コース」の3つに分かれていて、採集・撮影・標本づくりなどを通して高知の自然を体験的に学んでいます。

ネイチャークラブの活動は、年間を通じて何回も活動が行われることもあり、子供達にとってもかなりハードです。

せっかく会員になって頑張って活動した子ども達に記念になるものをプレゼントしたいという思いから、指導員が作成した缶バッジを参加した子ども達に渡してきました。

今年度からは、昆虫コースの活動を標本づくりから写真撮影に切り替えたこともあり、子ども達が自分で撮影した写真を缶バッジにすることにしました。

バッジマンネット:
自分で採集した昆虫のバッジは素敵な記念になりますね。子ども達は喜んでくれるのではないでしょうか?



岡田:
今年の12月には、総まとめの意味合いも含めて、1年を通じて撮影した写真のなかから、お気に入りを3つ選んで缶バッジを作成します。

自分で撮った写真を缶バッジにするのは今年が初めてですが、自分が採集したお気に入りの昆虫の缶バッジは特別感がありますから、子ども達にとって、大切な宝物になることと思います。

今年度参加した子ども達が作成した缶バッジは、来年度にネイチャークラブに参加する子ども達にもプレゼントするので、子ども達の缶バッジが引き継がれていくことになるでしょう。

「来るたびに何かが変わっている科学館」何度も何度も来館して科学の楽しさを知って欲しい。


バッジマンネット:
缶バッジを通じたクラブの伝統が育まれていくのは素敵ですね。今後の「高知みらい科学館」の展望などはありますか?

岡田:
開館して4年が経過しましたが、高知には「科学図書館」はあっても「科学館」はありませんでした。

最近になってようやく「科学館」を認識してもらえるようになったように感じています。



科学館の役割である「市民県民に科学の楽しさを伝える」ためには、何度でも来たくなるような施設になるようにしていきたいと考えています。

例えば、プラネタリウムやサイエンスショーは定期的にプログラムを変えて、リピーターの皆さんにも楽しんでいただけるようにしています。

また、毎週日曜日に行っているミニかがく教室では、毎週、違うテーマの実験や工作ができます。

展示室でも、企画展やミニ展示など、来るたびに何かが変わっている科学館を目指しています。

これからは、さらに、高知の皆さんに「必要とされる科学館」を目指して活動していきたいと思っています。