おもちゃのパッケージを覗いてみると、「子どもの発育を促す」や「頭が柔らかくなる」、そして「集中力が高まる」という文字が目に入り、子どもにとって「遊び」は、成長を促すために大切なものであることが分かります。
しかし気をつけなければいけないのは、子どもたちは何かを学ぶために遊ぶのではなく、楽しいから遊ぶのであって、そこから得られる「学び」や「成長」は、あくまで後からついてくる結果に過ぎないということです。
成長を促すために「遊び」を押し付けるのは順番が逆で、むしろ逆効果になってしまうことあるため、子どもたちの「やりたい」という自主性や、「ワクワクする」といった気持ちを引き出すことが、成長につながる「遊び」には欠かすことができません。
意外ではありますが、子ども達の自主性を引き出すのにぴったりな遊びの一つとして、職業体験が挙げられます。
職業体験というと何かの社会勉強のように感じますが、行われていることを広く捉えると、役割ゲームという遊び。つまり、何かの職業になりきるという遊びの一種であり、子どもたちにとって憧れの存在になってその役割を演じることは、充足感のある体験となるのです。
そこで今回は、カンドゥーという職業体験型テーマパークを運営する、イオンモールキッズドリーム合同会社の永田亨介さんにお話を伺いました。
子どもだからと言って、子ども扱いはしない「ワクワクした気持ちを持ってもらうことが成長につながる」
カンドゥーは、イオンモール幕張新都心のファミリーモール3Fにあるテーマパークで、3歳から15歳までのお子さんが、30種類以上の職業の中から気になるお仕事を体験をすることができる施設です。
パイロットやモデルなどの人気職業はもちろん、魔法使いや勇者、そしてユーチューバーなどの職業も用意されており、子供達は決められた時間の中で自分の好きな職業を4、5個ほど選んでそれぞれのプログラムに参加することができます。
人気な職業は定員がいっぱいになってしまうほど子ども達が参加してくれるそうで、それには「教育とは違う形で子どもの夢を応援する」というコンセプトが関係しているかもしれないと、永田さんは次のように語ります。
「職業体験ならではの緊張感が、子どもたちにとっては刺激的で良いものなんだと思います」
「一般的に学校の教育って、教える側が先生で、教えてもらう側が子ど
も達っていう上下関係のようなものがありますよね。でもカンドゥーは違っていて、子どもたちを対等な仕事仲間として見ているんですよ」
「私たちの立ち位置は、一緒に仕事をしている先輩のようなポジション。だから、子どもたちに対して敬語を使うし、もちろん利用する服や道具だって、私たちと変わらない本格的なものを利用しています」
「そうすることで、子どもたちに緊張感が生まれるんです。その『ドキドキ』や『ワクワク』っていう感覚が意外と、子どもたちには楽しいのかもしれないですね」
永田さんによると、日常生活では得ることができない新しい気づきを、子ども達に与えられる点が職業体験の強みなのだそうです。
例えば、興味のある職業になりきることは、それまで経験したことのなかった視点を得ることにつながって、働いている人の気持ちや、自分の周りの大人たちの気持ちを想像できるきっかけになっていくのだと言います。
また、普段の学校だと、基本的に同じような年代の子たちとしか接する機会がありませんが、カンドゥーでは、初対面のメンバーや年齢の異なる子たちも一緒になって職業体験を行うため、協調性やリーダーシップが育まれるということも考えられるでしょう。
3歳くらいの子どもでも、ちゃんと言うことを聞いて仕事をしてくれるそうで、自分でやりたい仕事を選ぶ、という子どもの主体性を引き出すプロセスがあるからこそ、最後まで責任を持ってその仕事に取り組んでくれるのかもしれません。
「集めたい」という気持ちに答える缶バッジのワークショップは、リピーターが多い施設にぴったりのコンテンツ
そのように、子どもの「やりたい」という気持ちを引き出し、成長や学びにもつながる職業体験。
カンドゥではさらに、職業体験をした子たちに「カッチン」と名付けられたお給料を渡していて、買い物や、貯金、そしてワークショップなど、お金を稼いでから利用するまでの、一貫したプロセスを体験できることも特徴的です。
そのプロセスの中で缶バッジが利用されているそうで、永田さんは特に、リピートしてくれる子が多いカンドゥーと、缶バッジのワークショップは相性が良かったと、次のように話します。
「職業体験を目的として子どもたちは参加してくれるので、それだけでも良いのかもしれないですけど、お給料としてカッチンを支払うと、子どもたちはそれをどうやって使おうかと考え出しますよね」
「その時に、貯金や買い物、ワークショップ体験のような、私たちが経験している社会と同じような選択肢があることが大事になります」
「働く、お給料をもらう、それを扱う、っていう一貫した体験って、学校ではあまり知ることが出来ないものですよね。自分のお母さんやお父さんが仕事をしてお給料をもらっているのは何となく知っていても、自分で体験してみることで、実感としてそれを学ぶことができるんです」
「ワークショップは、子どもがカッチンを払って参加することが出来るんですけど、うちはリピーターのお客さんも多いので、もともとは季節ごとに異なったワークショップを企画していたんです」
「中には10回以上来てくれる子もいるんですけど、同じワークショップがずっとあったら飽きが来ちゃいますよね」
「でも毎回考えるのも大変で、そんな時に良かったのが缶バッジだったんです。缶バッジのワークショップだったら、違う種類のデザインを追加することで、企画自体を変えなくても継続して続けていくことができるんですよ」
永田さんによると、子どもたちは何かを集めることが好きであるため、リピーターの子でも、新しいデザインの缶バッジを手に入れるために積極的にワークショップに参加してくれるのだそうです。
その意味では、デザインを加えて続けていくことができる缶バッジのワークショップは、リピーターが多い施設に向いているワークショップであると言えるのかもしれません。
職業体験型のテーマパークで、子どもたちの成長を後押しするツールの一つとして、缶バッジが欠かせないものとなり始めています。