小さな子供から大人まで大人気のガチャガチャ。株式会社funboxは、ガチャガチャの自販機やカプセルトイの製造・卸会社として愛知県に誕生しました。

カプセルの中身を検討する中で缶バッジが候補に上がり、制作を始めたのが3年前。昨年は、月に40万個の缶バッジを作成したそうです。

今回は、最新のガチャガチャ事情やコロナ禍で人気があった缶バッジなどについてじっくりとお話をお伺いします。



販売台数は増えている?みんなが大好きなガチャガチャの秘密。


バッジマンネット:
最近、大型ショッピングモールなどで頻繁にガチャガチャを見かけることが増えました。やはりガチャガチャの設置台数は伸びているのでしょうか。

田中:
実はガチャガチャの生産台数の上限はメーカーごとに決まっているので、台数自体が大幅に増えることはありません。

ただ、おっしゃる通り「ガチャガチャの森」や「ガシャポンのデパート」などでズラリと並んだガチャガチャを目にする機会が増えたので、そのように感じる方は多いのかもしれませんね。

駄菓子屋さんなど個人商店が減り、大型店舗に集約され、販売個数自体は増加傾向にあります。




バッジマンネット:
最近のガチャガチャは子供用というよりは大人向けが多い気がします。金額によってターゲットを絞っているのですか?

田中:
そうですね。一般的に200〜300円のガチャガチャでは、アンパンマンやプリキュアなど子供向けで、300〜400円にアップするとOLさんに大人気のタイプなどがあります。

1500円になると流石に私も購入を躊躇しますが、このタイプが流行っていて、メーカーは大量に製造しているようです。



時代が反映される缶バッジ。アマビエさまにコロナ収束の願いを込めて。


バッジマンネット:
御社ではガチャガチャに缶バッジを入れて販売されていますが、月にどれくらい缶バッジを作っているのですか?

女性:
OEMも含めると月に40万個程作っています。ガチャガチャだけでなく、缶バッジ単体でAmazonやショップ、HPなど様々な経路で販売しています。

最近、最も稼働したのは「ワクチン接種しました」でしょうか。飲食チェーンや歯医者さんなど直接コロナの診察はしない医療従事者からの依頼が多かったです。

お客様や患者さんを安心させてあげたいという想いの表れなのかもしれませんね。




バッジマンネット:
コロナ禍など時代の潮流が缶バッジにも反映されるのでしょうか?

田中:
そうですね。コロナ関係では「アベノマスク」「ソーシャルディスタンス」などでしょうか。特に、日本の疫病封じの妖怪「アマビエさん」はよく売れました。

一時期、Google検索では500万件以上ヒットしていましたから、「アマビエさん」は缶バッジだけでなく、ぬいぐるみなどグッズ全般、お酒のラベル、デコトラなどあらゆる形態で流行っていたようです。



コロナ禍で蓄積された「オンラインとオフライン」それぞれのノウハウ。


バッジマンネット:
御社は、OEMから依頼されたものまで様々な缶バッジを作っていますが、こだわりの缶バッジなどはありますか?

佐久間:
弊社には、金トナーや銀トナーが使えるマシンがあるのですが、それらを生かした「美術館マグネット」でしょうか。「尾形光琳」の屏風絵の部分は、一般的なマシンでは出せない特殊技術で再現した本物の金になります。




田中:
「美術館マグネット」もそうですが、もともとはガチャガチャの中に入れるために作っていましたが、グッズを見たお客様から「缶バッジ良いですね。自社でもオリジナルで作ってみたい」というご要望を頂きました。

さらに、そのグッズを販売するためにガチャガチャの機械を購入するという驚くべき相乗効果が出ています。

バッジマンネット:
それは素晴らしいことですね。御社では、いつから缶バッジを扱っているのですか?

佐久間:
缶バッジは3年前からで、去年から一気に増えました。始めた頃は、ここまで缶バッジを作成することになるとは思っていなかったです。

コロナ禍でガチャガチャの売上は減りましたが、ライブやショーなどがオンラインになり、通販での売上が増えています。




例えば、今までは遠方に住んでいて、ライブやイベントに行くことができなかった方も、コロナ禍ではオンラインでライブに参加して、通販でグッズが購入できるようになりました。

また、ライブを運営する側も、スタジアムなど大きな会場を借りる必要がなくなり、少しだけ浮いたコストでクオリティの高いグッズを作成できるようになったようです。

今回のコロナ禍で音楽業界や代理店は、オンライン、オフライン両方のノウハウを蓄積できたのではないでしょうか。



キャッシュレス対応のガチャガチャが描く未来の可能性とは。


バッジマンネット:
最近は現金を持ち歩かない方が増えていますが、キャッシュレスに対応したガチャガチャはありますか?

田中:
既にキャッシュレスガチャガチャは出回っていて、PayPayで支払いができたり、イベントなどではQRコードを読み込むだけで回せたり、ジュエリーや宝飾、伝統工芸品では1万円のガチャガチャもあります。

現金の場合、100円、200円などキリの良い数字に設定しなければいけません。例えば、本当は430円で売りたくても「500円にすると高くて売れないから400円にしよう」と諦めていたケースでも、QRコードなら端数まで設定できるので430円で販売できるので、そういった意味ではキャッシュレスは便利ですね。

キャッシュレスのガチャガチャは販売データを取得できるという価値がある反面、ソフトのアップデートなどの費用も発生します。今後は、デジタルとアナログの良い面をそれぞれ取り入れていけたらと考えています。




バッジマンネット:
キャッシュレスになると、収集癖のある方は無限に回してしまいそうで怖いですね。

田中:
そうなんです。現金タイプのガチャガチャでしたら、小銭がなくなったところで「もうやめようかな?」と冷静になるものです。

もちろん、上限は設定できますが、それは設置されるお客様にお任せしています。ですから、アイドルや声優さんのイベントでは何千万円単位で売れたとお聞きしています。

バッジマンネット:
今までのガチャガチャの概念を打ち破るようなことが起こっているのですね。同じような傾向はアニメにも見られますか?

田中:
そうですね。昔に比較してアニメは市民権を得つつあるので、大人がアニメグッズを購入したり、ガチャガチャが出来るようになりました。アナログではなくスマートフォンのガチャガチャでは10万円以上の商品もあるようです。

最近のアニメは、どちらかといえば大人向けの内容になっていて、アニメの世界観そのものに価値を見出し、お金を払う傾向があるように思います。



シンプルなものほど長く続くもの。お客様と共に新たな挑戦を続けていきたい。


バッジマンネット:
御社では、お客様がデザインした缶バッジの作成もされているそうですが、最近の傾向や感じることなどはありますか?

田中:
生産者と消費者であるお客様との垣根が低くなっている気がします。例えば、PTAで子供用にお母さん達がデザインした缶バッジは、子供が思わず身に付けたくなるタッチで描かれていました。

SNSの影響で、一般の方々も「どうしたら映えるか」という視点が磨かれ、自然にターゲットを絞ったマーケティングが出来るようになっているのではないでしょうか。

お客様のイメージを再現できるように、また、しっかりと寄り添うことができるように、技術的検証の精度を上げていきたいと思っています。




バッジマンネット:
お客様に寄り添う姿勢は素晴らしいと思います。御社では数々のグッズを扱われていますが、缶バッジのどんなところが気に入っていますか?

田中:
少量でも低コストで作成できるので、ノベルティのなかでは最も使いやすいグッズだと思います。

「社員2万人全員に配布したい」「大学のサークルで使用したい」など、どのようなロット数にも柔軟に対応できるところも重宝しています。

グッズを初めて作成する場合、「まずは缶バッジでやってみよう」という入口としては最適なのではないでしょうか。

缶バッジは昔からあるものですが、まだまだ弊社が知らない使い方もあるかもしれません。シンプルなものほど長続きしますから、これからも新たな挑戦を続けていきたいです。




佐久間:
缶バッジは、バッジにのせる絵や素材でいかに勝負するかという世界。何をのせても良いという自由度は高いですが、良い素材にこだわれば予算もそれなりにかかってしまいます。予算と表現のせめぎ合い、そこが缶バッジの楽しさであり難しさなのかもしれません。

日々の仕事で、お客様からの「こういうの出来ないかな?」という質問の中に、息を呑むような素晴らしいアイディアが詰まっていて驚くことがあります。

制作に慣れていない方ほど先入観なく斬新なアイディアが浮かぶのかもしれません。すぐに実現できなくても、いつの日か色々なアイディアを形に出来ればと思っています。