イラスト販売は、オンラインサービスの発展により、多くのイラストレーターにとって身近な活動となっています。プロのイラストレーターにとっては、収入源としてだけでなく、活躍の場を広げる重要な手段となっています。また、比較的容易に作品を販売できる環境が整ったことで、イラスト制作を志す人々にとっては、キャリアの可能性が広がっているといえるでしょう。本記事では、ネットでイラストを販売する方法からおすすめのサイト、成功するためのコツや注意点までを幅広く解説します。

イラストを販売する方法

イラスト販売には主に3つの方法があります。これらは、イラスト販売に特化したものだけではありません。イラストレーターをはじめ、多様なジャンルのクリエイターたちが作品を販売する際の一般的な方法となっています。

ストックイラスト(素材)販売

あらかじめ制作したイラストを素材として販売する方法です。多くの場合ストックイラスト販売サイトを通じて販売され、主にWebデザインや広告、出版物などで使用されます。一度アップロードした作品が複数回購入される可能性があるほか、利用する販売プラットフォームによっては世界中に販売機会を拡大できるでしょう。時間をかけて質の高い作品を蓄積していくことで、安定した収入を継続的に得られる可能性があります。

一方で、デジタルツールの普及により参入障壁が低く、世界中のクリエイターとの競争が激しい分野と言えるでしょう。

受注制作による販売

クライアントの要望に応じてイラストを制作し、販売する方法です。オリジナリティの高い作品を制作できる反面、納期や修正対応などのプレッシャーも伴います。信頼関係の構築が重要で、リピート受注につながりやすい特徴があります。小規模な仕事から大きなプロジェクトまで、さまざまな規模と報酬の仕事があるため、自分のスキルレベルに合った仕事から始めやすいのが特徴です。経験を積みながら成長できる環境だといえるでしょう。

オリジナル作品の販売

自由な発想で制作したオリジナル作品を直接販売する方法です。アートプリントやグッズなどの形で販売されることが多く、作家性を活かした独自のブランディングが可能です。ファンを獲得し、継続的な支援を得られる可能性がある一方、認知度の向上が課題となります。

イラストで稼ぐ方法については、「イラストで稼ぐ方法5選!初心者が始める際に必要な準備や注意点も解説」でも詳しく解説しています。

おすすめのイラスト販売サイト10選

イラストを販売するためのサイトは数多く存在します。それぞれの特徴を理解し、自身にあったサイトを選ぶといいでしょう。多くのサイトで登録料は無料ですが、販売手数料や報酬の形態はさまざまです。登録・利用前には、各サイトで最新情報を確認しましょう。

代表的なサイトをカテゴリー別に紹介します。

ストックイラストサイト

サイトによっては、高い品質が求められるため、作品登録には事前審査があります。

  • PIXTA(ピクスタ)
    日本最大級のストックフォトサイトです。イラストだけでなく、写真、動画なども販売できます。販売金額の一定割合を報酬として受け取ります。報酬割合は、クリエイターの契約形態や実績に応じて変動します。
  • Shutterstock
    世界的に有名なストックサイトで、海外への販売の機会を得られます。イラストや写真、動画なども販売できます。クリエイターは、ダウンロードごとに報酬を獲得できます。報酬割合は、クリエイターのランクによって決まります。
  • Adobe Stock
    アドビ株式会社が運営する世界的に有名なストックサイトです。品質の高さに定評があり、イラストだけでなく、写真、動画なども販売できます。Adobe製品との連携に強みがあり、世界中のAdobeユーザーへの高い露出が期待できます。クリエイターは、販売金額の一定割合を報酬として受け取ります。Adobe Stockの報酬率は、他のストックフォトサイトと比較して高めに設定されています。
  • イラストAC
    無料のイラストや素材を販売する日本のサイトです。イラストがダウンロードされるたびに、クリエイターは換金間可能なポイントを獲得できる仕組みです。初心者でも始めやすいのが特徴です。

受注制作による販売

受注制作に適したサイトを紹介します。

  • ココナラ
    さまざまなクリエイティブサービスを販売できるサイトです。イラスト制作をはじめ、Web デザイン、動画編集など、幅広いスキルやサービスを自由に出品できます。発注者はこれらの中からサービスを選択し、直接購入します。価格設定はクリエイターに委ねられており、柔軟な料金体系が可能で、サイト手数料を差し引いた金額が報酬となります。
  • ランサーズ
    国内最大級のクラウドソーシングサイトです。クライアントが具体的な仕事や業務を募集し、それに対してクリエイターが応募する形式を採用しています。イラスト以外にも幅広い業務分野に対応しています。報酬はクライアントの予算に応じて決まります。サイト手数料を差し引いた金額が報酬として受け取れます。

オリジナル作品の販売

オリジナル作品の販売に適したサイトを紹介します。

  • Creema(クリーマ)
    ハンドメイド作品を販売できるマーケットです。イラストも含めたオリジナル作品の販売が可能で、クリエイターが自由に価格設定できます。販売金額の一定割合をサイト手数料として徴収され、残りが報酬となります。
  • LINE Creators Market
    LINEのオリジナルスタンプ・着せかえを販売できるプラットフォームです。LINEの大規模な顧客基盤を活用できます。審査に合格したスタンプや着せかえは、LINEストアで販売されます。販売金額の一定割合が手数料として徴収され、残りがクリエイターの報酬となります。
  • SUZURI(スズリ)
    幅広い商品展開が特徴のオリジナルグッズ販売サイトです。Tシャツやスマートフォンケースなど、さまざまなグッズにイラストやデザインを載せて販売できます。各商品にはベース価格が設定されており、クリエイターはそれに上乗せして販売価格を自由に決められます。上乗せした金額がクリエイターの利益となります。
  • BOOTH(ブース)
    同人誌・アニメ関連のイラストに強みを持つサイトです。デジタルコンテンツから実物グッズまで幅広く取り扱いが可能です。販売金額の一部が手数料で徴収され、残りが報酬となります。手数料は配送や決済方法によって異なります。

イラスト販売で成功するためのコツ

イラスト販売で成功するためには、単に作品を制作するだけでなく、周到な戦略が不可欠です。ここでは成功するためのコツを紹介します。

市場トレンドとニーズの把握

SNSやイラスト投稿サイトで人気の作品を分析し、現在のトレンドを理解しましょう。クライアントからの依頼内容や、ストックイラストサイトでの売れ筋を調査し、需要の高いテーマやスタイルを把握します。自身の個性やスタイルを活かしつつ、市場ニーズとのバランスを取ることで、他との差別化を図ることが重要です。 

効果的な集客戦略

イラストレーターとしての認知度を高めることが、効果的な集客への第一歩です。認知度を高めるには、SNSの活用が効果的です。InstagramやX(旧Twitterに作品を投稿する際には、ハッシュタグを効果的に使用することでターゲット層にリーチしやすくなるでしょう。また、自身の強みを活かしたポートフォリオの作成やリピーターを増やすためのニュースレター・DMの配信なども必要です。複数の方法を組み合わせることで、集客の効果を高めることができます。

適切な価格設定

イラストの価格設定は、市場相場を調査しつつ、自身の技術レベルや知名度を考慮して決定します。初めは少し低めに設定し、実績に応じて上げていく戦略も効果的です。また、月間の制作可能数や想定販売数を基に収益シミュレーションを作成し、目標達成に必要な指標を明確にするといいでしょう。定期的に収支を見直すことで、制作効率や価格設定を調整することができます。

イラストを販売する際の注意点

イラスト販売には、法的な側面での理解も必要です。注意点を解説します。

著作権と利用規約の理解

イラスト販売を始める前に、各プラットフォームの利用規約を詳細に確認することが不可欠です。通常、著作権は作者に帰属しますが、利用条件や権利の範囲はさまざまです。サイトによっては、作品を掲載した時点で著作権が運営会社に移転する場合もあります。同じイラストの他サイトでの販売やグッズ展開が制限されることがあります。

また、他者の作品や商標の無断使用を避け、著作権侵害にも十分に注意を払いましょう。

確定申告や税務手続きの確認

個人事業主としてイラストで収入を得る場合、事業所得として確定申告が必要です。制作に関わる費用は経費として計上でき、青色申告を選択すると控除が受けられます。会社員の副業による収入は年間20万円以上で申告義務が生じますが、経費計上のルールが異なるため注意が必要です。必要に応じて税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

イラスト販売の成功には自身に合った方法と戦略を選択することが大切

イラスト販売ビジネスを成功させるためには、技術の向上だけでなく、マーケティングや経営的な視点も重要です。自身に合った販売方法を見つけ、自身の強みを生かしたブランディング、効果的な販売戦略の構築などポイントを押さえて着実に進めることが必要です。

数あるグッズの中でも、缶バッジは、手軽さと親しみやすさからファンの支持を集める人気アイテムの一つです。「バッジマンネット」でマシンやパーツをそろえれば、自身で魅力的な缶バッジの製造も可能です。