イベントやキャンペーンなどでセールスプロモーションの為に配布されるノベルティ。販促担当者であれば一度は検討しているはずです。

企業・商品・サービスの認知度UPやブランディングを期待して無料配布されるこのアイテムは、常に配布する側の思惑と受け取る側のもらって嬉しいものというそれぞれギャップが存在しています。

今やノベルティの種類は非常に多く存在し、巷には『もらって嬉しいノベルティ』と謳ったランキングを見かけますが、結局何が良いのか選びきれず、担当セールスからの提案をアテにすることもあるとか。
多額の資金を投じたにもかかわらず、配布後にすぐゴミ箱行きでは何の意味もありませんよね。

なぜノベルティ配布を企画するのか?その行動に期待する根拠は何か?最も単純で最も重要な疑問を人間の心理を基に考えてみます。

 

ノベルティに活用される心理学

ノベルティを何にするべきかを考える前に、人間の心理に理解を深める事が効果的なノベルティの選定に役立ちます。
人間の行動は長年の研究により、そのメカニズムが解明されています。どういった場合にどんな反応をするのかが分かっていれば、その心理を使わない手はありません。

すでに心理学を応用したマーケティングは一般的となり、日常で目にするCMや看板などはそうした人間の心理を用いたものになっています。

ここにノベルティにも関連する人間の心理を簡単にご紹介します。

 

単純接触効果

繰り返し接すると好感度が高まり、好印象を持つようになること。

1968年にアメリカのロバート・ザイアンスという心理学者が論文をまとめた事により、ザイアンス効果とも呼ばれます。

これは広告業では最も基本的で最も用いられる心理です。
テレビやラジオ、動画広告や雑誌・看板など、企業や製品・サービスの広告を目にすればするほど、聞けば聞くほどにそれらに対して好印象を持つようになるわけです。
企業が発信するキャッチコピーやメッセージに最初は違和感を感じていたのに、いつの間にか共感を抱いてしまうのです。

そしてノベルティーを配布する最大の理由がこれです。
配布したノベルティーに社名や製品名が入れてあるのは単純接触効果を狙っているのです。
また、単純接触効果の心理は『稀に長時間』ではなく、『短時間でも毎日』の方が効果的です。
こうした理由から、ペンやメモ帳といった文具や、ティッシュBOXやうちわといった日用品は、目にする頻度が高い為にノベルティとして有用なのかもしれません。(※単純接触効果は図形や衣服・味覚や匂いなどでも同様の効果が現れます。)

 

返報性の原理

人から何か施しを受けたら、そのお返しをしなければいけないと思ってしまうこと。

服の試着や試食をしたら商品を購入しないといけないと感じる事があるはずです。

これはノベルティに関しても言えることで、本来ならばお金を払って購入するべきモノを無料で受け取る事で、いつかそのお返しをしなければいけないと感じてしまうのです。

ここで重要なのが受け取ったノベルティに価値を感じてもらえているかということです。返報性の原理は相手が施しをうけた事を自覚しなければいけません。
そうでなければ、必要無い物を渡されてしまったという『廃棄処分判断の押し付け』になってしまします。
つまり、ここで『もらって嬉しいノベルティ』という概念が関連してくるのです。
ただし、配布する側が明らかにこの心理を利用しようとしていることが分かった場合、相手は不快感を感じてしまう点には注意が必要です。

 

親近効果

最後に与えられる特徴がもっとも印象に残り、後の判断に大きな影響を与えること。

ノベルティを配布する目的が、企業名や製品・サービスの認知度UPの為だけではないとしたらこの親近効果は重要です。

例えば住宅展示場に行き複数の住宅会社を見学したとします。
見学を終えるとどこの住宅会社からもかなり立派な粗品が貰えます。
これは、数ある住宅展示会社の中でも自社を優位付ける為です。

受け取った側は住宅の内容はもちろんですが、どこよりも良い粗品を提供してくれた住宅会社のことを記憶に残すはずです。
つまり、『終わりよければ全て良し』ということです。

 

ピーク・エンドの法則

人の記憶にはピーク(絶頂)と、最後がどう終わったかが強く残されるというもの。

親近効果に似た心理です。
例えばあなたが友人と飲食店に行き、料理を注文し友人と話をしながら料理がくるのを待ちます。
配膳された料理が美味しく(ピーク)、友人が食べ終わるのを待った後、帰り際に素敵な笑顔で見送ってもらえた(エンド)なら、あなたはその飲食店に対して『美味しい料理と笑顔が素敵なお店』と記憶されるのです。

たとえこれがお店に長時間滞在したとしても同様です。この心理ではピークがどこで(なにに対して)感じるかは人それぞれになりますが、エンドに該当する会計時によくアメやキャンディー、子供へのおもちゃが無料で渡されるのは最後に好印象を与え、ハッピーエンドを明確にすることでファンを獲得しようとする狙いがあるのです。

 

 


企業・商品・サービスを広く知ってもらいたいのであれば、ノベルティの選定はこういった心理を再確認したうえで、最もあなたの要望に合うアイテムを選べばいいでしょう。きっとあなたの思惑は成功するはずです。