検品は、物流・製造現場において品質管理を支える重要な工程です。にもかかわらず、多くの現場では、その運用に少なからず課題を抱えているのが実情でしょう。本記事では、検品の基礎知識から、多くの現場で直面する課題とその解決方法まで幅広く解説します。
検品とは
検品とは、品質管理における工程のひとつで、商品や製品の品質や数量、仕様が定められた要件を満たしているかを確認する作業のことをいいます。製造・物流の現場においては、不良品の流出を防ぐ重要な役割を果たしています。
検品は、主に、入荷時と出荷時という2つのタイミングで実施します。入荷時の品質確認から、出荷時の最終確認まで一貫した検査を行うことで、確実な品質保証を実現します。
製造現場での品質管理や品質保証については、以下の記事でくわしく解説しています。
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検品の重要性
検品が重要である理由は、以下の3点です。
品質管理の徹底
検品は、不良品や仕様違いを事前に発見し、出荷前に修正するための重要な工程です。この事前の品質確認により、顧客からのクレームや返品を未然に防ぐことができます。特に製造業では、品質不良が製品の安全性に直結することから、徹底した品質管理は企業の評価と存続を左右する重要な要素といえるでしょう。
検品をはじめとする製造業の不良対策については、下記で詳しく解説しています。
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在庫管理の精度向上
検品作業を通じて、在庫状況や製品の状態を正確に把握することが可能です。入荷時の数量確認や出荷時の照合作業により、システム上の在庫数と実際の在庫数の差異を最小限に抑えられます。また、過剰在庫と欠品を防ぎ、適正な在庫水準の維持に役立つでしょう。
在庫管理については、下記で詳しく解説しています。
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顧客満足度の向上
不良品の流出や誤出荷を防止することで、顧客クレームや返品の発生を最小限に抑えることができます。注文通りの高品質な製品を確実に届けることで、顧客満足度を高め、企業への信頼向上につなげることができます。
検品の種類
検品は、主に入荷時と出荷時の2つのタイミングで実施されます。
入荷検品
入荷検品は、仕入れ品の受け入れ時に行う品質確認の工程です。発注した商品が正しく納品されているか、発注数量との照合を行うとともに、商品の品質状態や破損・汚損の有無を入念にチェックします。この段階での正確な確認が、その後の在庫管理や出荷品質に大きく影響します。
出荷検品
出荷検品は、商品を顧客に届ける前の最終確認工程として位置付けられます。ピッキングされた商品が注文内容と一致しているかの数量確認に加え、商品の品質状態や梱包状態の確認を行います。この工程は顧客満足度に直結するため、特に高い精度が求められます。
検品業務のよくある課題
検品業務の現場では、多くの場合、次のような課題に直面しています。
人的ミスの発生
検品作業において最も深刻な課題が人的ミスの発生です。同じような商品を連続して確認する作業では、集中力の低下による見落としが起こりやすく、特に長時間作業後にミスが増加する傾向にあります。また、類似商品の取り違えや確認項目の抜け漏れなど、人的要因によるミスは品質管理上の大きなリスクとなっています。
人的ミスについては、下記で詳しく解説しています。
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判断基準の属人化
品質基準の判断は、作業者の経験や知識に大きく依存しています。不良品の判定基準があいまいなケースも多く、作業者による判断のばらつきが起こりがちです。特に、新人とベテランの間で判断基準に差が生じやすく、一貫した品質管理の実現を困難にしています。
商品特性による作業の複雑さ
取り扱う商品の特性によって、検品作業の難易度は大きく異なります。商品の形状や大きさによって確認方法を変える必要があり、精密機器などの壊れやすい商品や重量物では慎重な取り扱いが求められます。また、商品ごとに異なる品質基準への対応や、季節商品など時期による商品の変化にも柔軟な対応が必要です。
検品作業の課題を解決する方法
検品作業の課題を解決するための方法をいくつか紹介します。企業によって直面している課題は異なるため、以下の方法を自社の状況に応じて選択し組み合わせることが重要です。
労働環境の改善
検品作業の質を高めるには、まず作業環境の整備が不可欠です。作業者の集中力を維持するため、適切な休憩時間の設定や作業場の照明・温度管理を行うことが重要です。作業台や椅子は、人間工学に基づいて設計された製品を活用すると、作業者の身体的負担を大きく軽減できます。さらに、特定の作業者への負担集中を防ぐために、作業者間でのローテーションを導入し、負担を分担するといいでしょう。
わかりやすい検品マニュアルの整備
視覚的な検品マニュアルの整備することで、判断基準の属人化を防ぐことができます。具体的な写真や図解を用いて良品・不良品の判定基準を明確に示し、誰でも同じ基準で判断できる環境を作ります。特に、微妙な品質差を写真で例示したり、確認手順をフロー図で示したりすることで、経験の浅い作業者でも迷わず判断できるようになります。また、定期的な基準すり合わせ会議を実施することで、作業者間での判断基準の統一を図ることができます。チェックリストの活用も、確認項目の抜け漏れを防ぐ有効な手段となります。
検品作業のデジタル化
検品作業の効率化と精度向上には、デジタル技術の活用が有効な解決策となります。ハンディターミナルやバーコードスキャナーを導入することで、これまで目視と手作業に頼っていた商品の照合作業をスピーディかつ正確に行えるようになります。さらに、これらのデジタル機器を倉庫管理システムと連携させることで、検品の進捗状況をリアルタイムで把握し、作業全体の効率運用に役立てることも可能です。
製造・検査工程の自動化
製造工程の自動化により、製造段階から品質を安定化させ、検品作業の負担を大幅に軽減できます。さらに、画像認識技術やセンサーを活用した自動検査を導入することで、寸法や外観といった検査項目を一貫した基準で判定できるため、より確実な品質管理が可能になります。こうした自動化の取り組みにより、作業者の経験やスキルに左右されない安定した検査体制と、作業効率の大幅な向上を実現することができるでしょう。
アウトソーシングの活用
専門性の高い検品作業や、繁忙期の人員確保には、アウトソーシング(外部委託)を活用することも選択肢になります。専門知識とノウハウを持つ外部パートナーに委託することで、高品質な検品体制を構築できます。また、必要に応じて柔軟に人員を確保できるため、繁閑の差が大きい業務にも対応が可能です。コスト面でも、固定費を変動費化できるメリットがあります。
アウトソーシング・内製化については、下記で詳しく解説しています。
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emoji_objects 検品の課題解決には自社の状況に応じた方法を選ぶことが重要
製造・物流現場において、検品は製品品質を支える重要な工程ですが、人的ミスや判断基準のばらつきなど、現場には多くの課題が存在します。これらの課題に対しては、作業環境の改善や基準の標準化など、いくつかの対策があります。企業の状況に応じて組み合わせ取り組むと効果的でしょう。
なかでも、製造工程の自動化は、品質の安定化において高い効果を発揮します。例えば、缶バッジ製造では、自動缶バッジマシンの導入により、品質のばらつきを最小限に抑えることができます。適切な検品体制を組み合わせることで、より確実な品質管理が可能です。
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