近年よく「推し」や「推し活」といった言葉を耳にします。「推し」は、昔でいう「ご贔屓(ひいき)」的な意味合いで使われていますが、「推し活」の市場規模は年々拡大傾向にあり、ビジネスとしても見過ごせません。今回は「推し活」の具体的な内容について紹介しながら、「推し活」と関連する商品需要について解説します。

推し活とは

はじめに、推し活とはどのような行動を指すのかを説明します。

推し活の概要について

推し活とは、アイドルやキャラクターなど自分がイチオシする対象を応援する活動全般のことです。

もともと「推す」という言葉には、「価値あるものとして推薦する」という意味があります。そこから派生して、何か自分の好きなものに対して支持している姿勢を示す活動を推し活というようになりました。熱烈なアイドルファンがお気に入りのアイドルを「推し」と呼んでいたことから、一般に広まった表現とされています。

推し活の具体的な行動としては、「推し」となる対象のライブやイベントに参加する、グッズを購入する、愛好家同士で集うなどがあります。推し活という言葉には、「推しを応援するオタク的な活動」というニュアンスが含まれるため、これまでのファン活動よりも、より個人的でディープな意味合いを感じさせます。

「推し」となる対象

「推し」の対象には、さまざまなものがあります。

  • 2次元:アニメ、ゲーム、コミック、マスコットなどのキャラクター
  • 3次元:アイドル、歌手、アーティスト、俳優、モデル、アスリート、歴史上の人物、文化人など
  • 人物以外:鉄道、刀剣、仏像、建築物、歴史的な遺構、アミューズメントパークなど

上記のように推しの対象は非常に広く、特に定義が決められているわけではありません。自分が熱烈に好きだと思うものがあれば推し活の対象です。

推し活は新しい言葉ですが、推し活をしている年代は幅広く、「推し」となる対象によっても異なります。株式会社ジャストシステムが発表した「推し活と消費に関する実態調査」の結果では、10~20代の若い世代では推し活をしている人が多く見られ、10代では4割近い割合となっています。年齢層が高くなるほど推し活をしている人の割合は減少するものの、30代・40代でも約1割の人が推し活をしていると回答しています。

さらに、1990年代~2010年代初頭までに生まれたZ世代と呼ばれる層では、6割が推し活に対してなんらかの関心を示しているといわれます。

推し活ジャンルの上位は、「アイドル」「アーティスト」「アニメ」「漫画」などです。一般ユーザーがコンテンツを作成できるUGC作成アプリや、SNSでの情報収集の浸透により「推し活」コンテンツを自作する傾向も高くなっています。

推し活の市場規模や推移について

株式会社矢野経済研究所が2021年に実施した「オタク」市場に関する調査では、2021年度の市場規模予測は「アイドル」「アニメ」の両分野を合計して4,300億円です。すべてのジャンルを合計すると、経済効果は6,840億円と予測されています。

また推し活ジャンルには、上記調査に含まれていないK-POP、2.5次元(3次元から派生した舞台・演劇)もあるため、市場規模はさらに大きいことが推測できます。

新型コロナウイルス感染症によるライブ、コンサートの自粛の影響により、リアルで集合するタイプのイベント開催が制限されたため、前述の「アイドル」「アニメ」とも2019年から2020年にかけて低下しました。一方で、プラモデル、フィギュア、鉄道模型といった周囲の状況に左右されない分野は順調に拡大しています。

Withコロナの動きのなか、イベント開催が解禁されはじめたのを受け、今後は推し活が活発化することが推測されます。

ジャンル別・年代別の推し活グッズについて

ここでは、ジャンル別と年代別の推し活グッズを紹介します。

ジャンル別の推し活グッズ

まずは、ジャンル別の推し活グッズの特徴を説明します。

アイドル
  • 肖像グッズ:写真集、ブロマイド、カレンダー、DVD、アクリルスタンドなど
  • ロゴ・イメージグッズ:雑貨、文房具、アクセサリー、服飾など
  • ライブグッズ:うちわ、ペンライトなど

昔から熱狂的にアイドルを応援するファンは存在しましたが、最近ではグッズが多様化しており、それぞれの楽しみ方も広がっています。

ゲーム、アニメ、漫画キャラクター
  • 装飾品:缶バッジ、キャラクターアクセサリーなど
  • 部屋のインテリア:マグカップ、アクリルスタンド、ぬいぐるみなど
  • 携帯品:文具、コラボ菓子、痛バッグ、ハンドタオルなど

キャラクターの推し活グッズは多彩で、3次元のアイドルをしのぐほどです。キャラクターを模したぬいぐるみを部屋に飾るだけでなく連れ歩いたり、バッグに大きくプリントしたりするなど、推し活中であることがわかるケースも少なくありません。

鉄道、観光地
  • ご当地グッズ
  • 木製スタンド
  • バッジ
  • コースター
  • シール
  • スマホケース

推し活のジャンルには2次元、3次元の人物に含まれない、鉄道や観光地などもあります。以前から愛好家は見られましたが、近年はグッズの種類も増えています。

年代別の推し活グッズ

次に、年代別の推し活グッズの特徴を説明します。

10代

10代は、推し活に使える金額が限られているため、リーズナブルでありながらも満足感の高い、カラフルな色使いのグッズが多く見られます。また、自分で工夫してグッズの保護ケースやポーチにアレンジを加えたり、自作したりする傾向もあります。

20代

20代になると、自分で稼いだお金を推し活に注ぎ込めるようになり、金額的にも高額化する傾向にあります。ファッション性が高く、トレンド感があるグッズで、SNS映えするものに人気があります。職場でも違和感なく使える「推しカラー」やネーム入りのオフィス用品、スマホストラップ、キーリングハンガーなどを使って、ひそかに推し活をしている人も少なくありません。

30代以上

30代以上になると、よりデザイン性が高く、高級感があるグッズを好む傾向があります。多少高額であっても、高品質で微細な造形にこだわり、他人が持っていないような希少性のあるグッズを求めます。

進化系推し活グッズも増えている

先にも紹介したように、個人レベルで「推し活」をカスタマイズする人も多く見られます。モノだけではなく、メイクやコーディネートに推しのエッセンスを取り入れるという女性ファンもいます。

また、グッズをアレンジする専用アイテムも増えています。主に缶バッジやカード、キーホルダーなどの小さいグッズに対し、きれいにディスプレイしたり持ち歩いたりするための専用アイテムが多く販売されています。

側面が透明なビニール素材になっている痛バッグ用のバッグ、缶バッジカバー、飾りに使うロゼットなどは、単価も低く手に取りやすいため、推し活グッズのなかでも特に需要が高い定番商品です。オリジナルでひとつだけ制作できるサービスもありますが、100円ショップの材料で手づくりする方法もネット上で多く公開されています。

推し活では「推し」に対してお金を注ぎ込むことが喜びですが、年代によって使える金額が異なります。推し活市場で事業を展開する際は、どのターゲット層になるかで戦略も変える必要があるでしょう。

推し活ビジネスでは、個人的な思い入れを理解することも重要です。推し活グッズを製作・提供するにあたり、特別感があり「推し」との一体感が得られるデザインを意識することが重要です。

推し活グッズを新たな事業展開の切り口に

推し活市場は拡大傾向にあり、今後も大きな成長が期待できます。多種多様なグッズが提供されていますが、推し活のユーザーには独自性のあるアレンジを楽しむ傾向も多く見られます。推し活のジャンルは広く、ビジネスの可能性に満ちているといえるでしょう。

推し活グッズを製作するのであれば、缶バッジはぜひ取り入れたいアイテムです。缶バッジは価格とサイズが手ごろで、昔から愛好家の定番アイテムのひとつです。「バッジマンネット」なら高品質でリーズナブルな素材パーツを多種取りそろえており、推し活ユーザーの満足度の高いアイテムを提供できます。迅速な発送対応も可能なため、スピーディーな事業展開が実現できます。推し活グッズビジネスに参入する際には、ぜひご利用ください。