大量生産、大量消費の時代からモノ余りの時代を経て、現在は体験や経験を消費することに価値を見出す、いわゆるコト消費の時代へと変化しつつあります。

大量生産される同じ商品を購入することに価値があった時代、人と違う商品を購入することに価値があった時代は、「所有」が重視されました。

しかし、コト消費の時代で重視されるのは、商品によって得られる「体験」や「経験」です。そこで今回はコト消費の概要やコト消費が注目を集める理由、コト消費の具体例から成功例まで解説します。

コト消費とは?

コト消費とは、商品の購入やサービスの利用によって得られる体験や経験に価値を見出す消費行動のことです。旅行やテーマパークなどが代表的なコト消費の例ですが、共通の趣味や嗜好を持った人々が一緒に参加することや、関連の商品を購入したり所有したりすることも、コト消費の一例に含まれます。

モノ消費との違い

モノ消費とは、商品を購入し、所有することに価値を見出す消費行動のことです。家電や自動車などの購入が代表的なモノ消費といえます。コト消費ともっとも異なるのは、「所有」が重視されるかどうかです。もちろん、家電や自動車を購入によって得られる体験や経験も一部ありますが、それよりも所有そのものを重視するのがモノ消費の特徴です。

コト消費が注目を集める理由

今、コト消費が注目を集めるようになっている理由はいくつか考えられますが、なかでも大きいのは以下の点です。

すでに必要なものを所有しているから

多くの消費者が必要なものを所有できていなかった時代では、所有を重視するモノ消費が中心でした。例えば1950年代は、「白黒テレビ」「洗濯機」「冷蔵庫」が三種の神器と呼ばれていましたが、裏を返せば多くの人がそれらを所有していなかったために生まれた言葉です。

三種の神器は、それ以降も「カラーテレビ」「クーラー」「自動車」のように時代によって形を変えて存在していましたが、現在において三種の神器と呼ばれるモノは見当たりません。それは、現代社会において物質的な豊かさが増加し、多くの人が必要なものをすでに所有しているからです。その結果、所有による満足度が一定の限界に達し、新たな満足や充実感を得るために体験や経験に重点を置く傾向が広がったともいえます。

インターネットが普及したから

インターネットの普及により、いつでもどこにいても全国、全世界の商品を購入できるようになりました。また、新商品や珍しい商品などの情報の多くはSNSでシェアされるようになり、簡単に入手可能です。これにより、相対的に特定の場所に行かないと入手できない、体験できないものの価値が向上したことがコト消費につながり、注目を集めるようになっているといえます。

コト消費が注目を集めるようになった理由についてより詳しくは、「モノ消費からコト消費へ変化する消費行動に企業はどう対応すべきか」をご覧ください。

コト消費の主な例

ひと口にコト消費といっても、その種類は多様です。ここではコト消費の主な種類を紹介します。

コミュニティ型

コミュニティ型とは、特定の趣味や嗜好を持つ人を、その趣味や嗜好に関する商品を販売している場所に集めてコミュニティをつくり、商品の販売につなげていくタイプのコト消費のことです。具体的にはサッカー用品専門店でサッカーが好きな人のコミュニティをつくる、インド料理店でインド料理が好きな人を集めてコミュニティをつくるなどが挙げられます。

イベント型

イベント型とは、イベントを開催することで新たなファン層を開拓するタイプのコト消費のことです。ショッピングモールでヒーローショーを開催して、家族連れを集客し、ついでにショップで買い物、レストランで食事をしてもらう、プロ野球の試合で球場内外を使って地方の物産展を開催するなどが挙げられます。

アトラクション型施設

アトラクション型施設とは、ショッピングモールや百貨店内に関連のアトラクション施設を設置して集客につなげるタイプのコト消費のことです。

例えば、映画館やゲームセンター、水族館、ボウリング場、カフェなどが挙げられます。また、映画館やボウリング場などにショップを併設するのもアトラクション型施設の一つです。

時間滞在型

時間滞在型とは、一つの場所に長く滞在できる理由をつくり、消費につなげるタイプのコト消費のことです。具体的には、レコードショップや本屋にカフェを併設するレコードカフェやブックカフェなどが挙げられます。

買い物ワクワク型

買い物ワクワク型とは、店舗内のレイアウトや雰囲気を工夫することで楽しく買い物ができるようにするタイプのコト消費のことです。具体的にはドン・キホーテやヴィレッジヴァンガードなどが挙げられます。

また、厨房を中央に設置し、どこからでも料理をつくっているのが見えるレイアウトのレストランや、店舗のなかに釣り堀があり、釣った魚をすぐに料理してもらえる居酒屋なども買い物ワクワク型といえるでしょう。

ライフスタイル型

ライフスタイル型とは、消費者の多様なライフスタイルに合わせて商品を提供し、購入を促すタイプのコト消費です。

例えば、初めての一人暮らし、小さなお子さんがいる夫婦などのコンセプトで家具一式を提案する、家族構成に合わせて食材とレシピを提案するなどが挙げられます。

コト消費の成功事例

実際にコト消費を実践し、成果を上げている事例を紹介します。

シェフ・ミッキー

ディズニーアンバサダーホテルのレストランでは、食事中にディズニーの仲間たちと一緒にブッフェスタイルで楽しく食事をしたり、写真を撮ったりができるシェフ・ミッキーというサービスを提供しています。宿泊者向けのサービスで、ここに宿泊しないと体験できないというコト消費です。

エスコンフィールド

2023年にオープンした北海道のFビレッジには、野球場を一望できるホテルや温泉・サウナを楽しめる施設があり、さまざまなスタイルでの野球観戦が可能です。また、球場周辺にはグランピング施設、子どもの遊び場、自然体験型のアクティビティ、農業の体験学習施設、分譲マンションなども用意されています。野球好きな方はもちろん、野球に興味がなくてもさまざまな体験が得られるというコト消費です。

応援上映

映画館で声を出しながら映画を楽しめるイベントで、リピーターを生み出す効果があります。映画によってさまざまな工夫が凝らされていて、例えば「ボヘミアン・ラプソディ」では、英語の歌のため、歌詞字幕を出しています。また「アナと雪の女王2」では歌唱に加え、コスプレで参加するなど、映画館でなければ体験できない価値を提供しています。

コト消費で成果を上げるポイントは体験を形として残せるグッズの提供

コト消費とは、商品の所有ではなく体験や経験を重視する消費行動です。多くの人が必要なモノはすでに所有していることで、所有の先にある体験や経験に価値を求めるようになりました。そのため、コト消費の重要性が増すようになっています。

ただ、コト消費が求められるようになったとしても、モノを所有することがまったく価値のないことかといえばそうではありません。体験や経験だけで終わらせず、思い出として残せるモノを提供すれば、ファンになり、リピーターになってもらえる可能性も高まるでしょう。

思い出として残せるモノを選択するポイントは、すぐにつくることができて、価格は安いもののオリジナリティのあるものです。例えば、缶バッジは自分たちでその場でつくることもできるため、より強く思い出として残るモノだといえます。

バッジマンネットでは、豊富な在庫を持ち素早い発送も可能なため、さまざまなイベントで気軽にご利用いただける缶バッジキットを提供しています。コト消費への対応を検討されている際は、ぜひお気軽にご相談ください。