製造業において、競争力強化のためにリードタイム短縮は欠かせない取り組みです。顧客ニーズの多様化やグローバル競争が激化するなか、効率的な生産体制の構築が企業の競争優位性に大きく影響するといえるでしょう。本記事では、リードタイムの基本的な意味から短縮方法、得られるメリットまで、製造現場で役立つ情報を解説していきます。


リードタイムとは

リードタイムとは、一般的に「ある工程の開始から完了までにかかる時間」を指します。製造業においては、受注から納品までの全工程にかかる時間として認識されることが多く、企業の生産性や競争力を左右する重要な指標となっています。

リードタイムは大きく分けて以下の3種類に分類できます。

製造リードタイム

原材料の投入から製品完成までの時間です。加工時間、検査時間、段取り替え時間などが含まれます。生産効率を直接反映するため、製造業にとって最も基本的かつ重要な指標といえるでしょう。

調達リードタイム

部品や原材料の発注から入荷までの時間を指します。サプライヤーの生産時間や輸送時間も含まれるため、自社だけでなくサプライチェーン全体の効率が影響してきます。在庫管理や生産計画を立てるうえで重要な要素になります。

物流リードタイム

製品の出荷から顧客への配送完了までの時間です。配送ルートや物流拠点の配置によって大きく変わってきます。顧客満足度に直結する要素であり、近年のEC市場拡大に伴いその重要性はますます高まっています。


リードタイム短縮のメリット

リードタイムを短縮することで、企業には次のようなメリットがもたらされます。

コスト削減による利益率の向上

リードタイム短縮は、生産工程の効率化を意味します。無駄な待機時間や滞留時間が減少することで、設備稼働率や労働生産性が向上します。また、生産の進捗管理にかかる工数も削減されるため、間接コストの削減にもつながります。生産にかかる総コストが削減され、最終的に企業の利益率向上が期待できるでしょう。

キャッシュフローの改善

リードタイム短縮が進むほど、仕入れから納品までの時間が短縮され、在庫コストを抑えられます。在庫削減により在庫に眠っていた資金が解放され、キャッシュフローが改善します。また、この取り組みを通じて、各工程の無駄を改めて発見・整理できるため、全体的な運転資金効率が向上し、企業の財務状況の改善にもつながるでしょう。

在庫については、以下の記事でくわしく解説しています。

市場対応力の強化

短いリードタイムは、市場の需要変化に対して迅速に生産調整を行うことを可能にし、機会損失や過剰生産のリスクを軽減することができるでしょう。

また、製品開発から市場投入までの時間短縮により、新製品をより速く提供することが可能です。特に、製品ライフサイクルが短い業界では、この速さが差別化の強みとなり、市場での競争力を高める重要な要素になります。


リードタイム短縮の具体的な方法

リードタイムの種類別に短縮する方法を紹介します。自社の状況に合わせて適切に組み合わせることで、リードタイム短縮を効果的に進めることができるでしょう。

製造リードタイム短縮の方法

  • 工程間の移動時間削減
    工場レイアウトの適切に設計し、関連工程を近接配置することで、工程間の輸送時間と仕掛品滞留時間を削減することが可能です。また、工程内の動線を分析し、作業者の無駄な移動を減らすことも効果的でしょう。

  • 段取り替え時間の短縮
    SMED(Single Minute Exchange of Die:シングル・ミニット・エクスチェンジ・オブ・ダイ)と呼ばれる段取り替え時間短縮の手法を導入することで、機械の段取り替え時間を短縮できます。この手法では、内段取り(機械停止中にのみ行える作業)と外段取り(機械稼働中にも行える作業)を区別し、できる限り機械停止中の作業を減らすことがポイントとなります。

  • 生産方式や設備の見直し
    中間在庫を減らし工程間の流れをスムーズにする生産方式の採用は、リードタイム短縮につながる可能性があります。例えば、ジャストインタイム生産方式(必要なものを、必要な時に、必要な量だけ生産する方式)やセル生産方式(一人または少人数のチームが製品の組立工程を一貫して担当する方式)などがあります。

    また、設備については、自動化技術の導入も含めた効率的な生産設備への入れ替えやIoT技術の活用により、加工時間の短縮や予防保全が可能になり、リードタイム改善に有効な手段といえるでしょう。

調達リードタイム短縮の方法

  • サプライヤー連携の強化
    主要サプライヤーとの関係強化と情報共有は、調達リードタイムの短縮に効果的です。需要予測や生産計画を共有することで、サプライヤー側の計画精度が高まり、より迅速な対応が可能になります。サプライヤー側に在庫管理を委託する先進的な在庫管理方式、VMI(Vendor Managed Inventory:供給業者在庫管理)の導入は、サプライヤー側の生産計画の最適化だけでなく、発注業務の負担軽減にもつながります。

  • サプライヤーの見直し
    地理的に近い位置にあるサプライヤーの活用や、物流ネットワークの効率が良いサプライヤーとの取引を検討することも有効です。調達先を分散させることでリスク分散にもなりますが、管理コストとのバランスを考慮する必要があります。

  • 発注プロセスの効率化
    発注承認フローの簡素化やEDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)システムの導入により、発注から納品までの管理プロセスを効率化できます。EDIは、企業間で受発注データを電子的に交換する仕組みで、手作業による入力ミスの削減や処理時間の短縮に効果的です。また、発注の定型化・標準化も効果的な手段のひとつです。

物流リードタイム短縮の方法

  • 物流拠点の最適配置
    顧客密集地域に近い位置に物流センターを配置することで、最終配送距離を短縮できます。需要分析に基づいた拠点配置と在庫配分の最適化が重要です。また、拠点間の連携強化により、全体としての物流効率を高めることも可能でしょう。

  • 輸送経路の見直し
    配送ルートを見直すことで、無駄な移動距離を削減することができます。配送管理システムを活用して効率的な物流体制を構築するのが有効です。複数の配送先をまとめる巡回配送や、共同配送の活用も検討すべき選択肢といえるでしょう。

  • 出荷工程の効率化
    商品のピッキング・梱包工程の標準化や自動化により、出荷準備時間を短縮できます。バーコードやRFIDタグの活用、ピッキングルートの最適化なども効果的な手段です。デジタルピッキングシステムの導入も、作業効率だけでなく、作業の効率性と正確性を大幅に向上させます。

リードタイム短縮に取り組む際の注意点

リードタイム短縮にはメリットもありますが、取り組みにあたっては、以下の点に注意する必要があります。

品質とのバランス確保

リードタイム短縮を追求するあまり、品質が犠牲になっては本末転倒です。過度にスピードを優先すると、検査工程の簡略化や製造時間の短縮により品質低下を招くおそれがあります。一定の品質維持のためには、必要な加工時間や検査時間を適切に確保することが重要です。プロセスの標準化や自動検査システムの導入は、効率と品質を同時に高める有効な取り組みといえるでしょう。

品質管理については、以下の記事でくわしく解説しています。

投資対効果の見極め

リードタイム短縮のための設備投資やシステム導入は、その投資対効果を慎重に検討する必要があります。自動化設備の導入や生産ラインの再編は初期投資が大きく、回収期間を考慮した現実的な計画が求められます。特に、生産量が少ない製品や生産期間が限られている製品では、過剰投資にならないよう注意が必要です。

不測の事態への対応力の維持

過度に効率化された生産システムは、災害や部品供給の遅延など不測の事態への対応力が低下しがちです。リードタイム短縮のために在庫を極限まで削減すると、突発的なトラブル発生時に生産継続が困難になるリスクが高まります。効率化を追求しながらも、一定の安全在庫確保や代替サプライヤーの確保など、緊急時の対応余力を残すバランス感覚が重要です。


emoji_objects リードタイム短縮は自社の状況分析が第一歩

リードタイム短縮は、製造業の競争力強化に直結する重要な取り組みです。コスト削減や在庫効率化、市場対応力強化などのさまざまなメリットがありますが、品質確保や不測の事態への対応力など、注意すべき点もあります。まずは、製造・調達・物流の各プロセスにおける自社の状況を丁寧に分析し、自社にあった手法を見極めましょう。そのうえで、効果的に組み合わせて取り組むことが成功への鍵となります。

製造プロセスの効率化には、機器や設備の見直しは有効な方法のひとつです。缶バッジにおいても、手動・自動それぞれの特徴を理解したうえでのマシン選びが重要となります。「バッジマンネット」では、各種マシンとパーツをワンストップで取り揃えており、ビジネスの規模や目的に合わせてお選びいただけます。くわしくはバッジマンネットにてご紹介していますので、ご覧になったうえで、お気軽にお問い合わせください。