従来、企業のノベルティ・販促品は大量生産が一般的でしたが、近年の印刷技術の進歩により、少量からの発注が可能になりました。しかし、小ロットでの製作には、従来とは異なる注意点があります。本記事では、ノベルティの小ロット注文の基礎知識やメリット、小ロット注文可能な商品、そして景品表示法における注意点まで企業の販促活動に役立つ情報を幅広く解説します。


ノベルティは小ロットでも発注できる?

企業が自社の宣伝のため、社名やロゴ、製品・サービス名を印刷して配布するノベルティは、企業の販促活動に欠かせないツールとして幅広く活用されています。従来、ノベルティの世界では「大量生産・大量発注」が当たり前でした。最小発注数は数百個から千個以上が一般的で、たとえ小ロットでの発注が可能でも、1個あたりの単価が高くなるため、企業にとって現実的な選択肢とはなりませんでした。

しかし、近年のデジタル印刷技術の進歩により、30個や50個といった小ロットからでもリーズナブルな価格での注文が可能となりました。

また、マーケティング手法の多様化により、ターゲットを細分化したプロモーションが主流になってきています。そのため、ノベルティにも「必要な時に」「必要な数だけ」という小ロット生産のニーズは着実に高まっているといえるでしょう。

ノベルティについては、以下の記事で詳しく解説しています。


小ロットでノベルティを作るメリット

小ロットでのノベルティ注文には、次のようなメリットがあります。

初期費用の抑制

小ロットでの注文では、初期費用を抑えることができます。特に季節性の高いキャンペーンや特定のイベント向けのノベルティでは、必要最小限の発注数に抑えることができ、無駄な在庫を持たずに済みます。

試作・テストマーケティングが可能

少量から発注できることで、本格的な展開前にサンプル運用が可能です。例えば、異なるデザインやカラーバリエーションを試し、ま配布対象者の反応を見ることが、デザインや仕様の改善、追加発注の判断ができます。

機動的な販促活動の実現

在庫を持たずに「必要な時に」「必要な分だけ」発注できることで、状況に応じた柔軟な販促活動が可能になります。例えば、急な販促キャンペーンへの対応やSNSでの反応を見ながらの追加製作など、マーケティング環境の変化に柔軟に対応できます。


小ロットから注文できる代表的なノベルティ

小ロットでの注文が可能なノベルティは、用途や予算に応じてさまざまな選択肢があります。代表的な商品をカテゴリー毎にご紹介します。

文具類

ボールペンやメモ帳などの文具類は、比較的小ロットでの注文が容易なジャンルです。頻繁に目に触れる実用的な商品のため、展示会での配布や営業活動に最適です。特に商談やアンケート記入時の手渡しにも活用できます。

  • ボールペン
  • 付せん
  • メモ帳
  • クリアファイルなど

ファッション雑貨

イベントや展示会で人気の高いジャンルです。デザイン性を活かしやすく、小ロットでの注文にも適しています。特に若年層向けのプロモーションでの効果が期待できます。

  • 缶バッジ
  • キーホルダーなど

生活雑貨

日常的に使用できる生活雑貨は、企業名や商品名の高い露出効果が期待できます。展示会やイベントでのカタログ用バッグとしても配布するのに便利です。季節性のある商品から通年使用できる商品まで、用途に応じた選択が可能です。

  • 不織布バッグ
  • コットンバッグ
  • ハンドタオル
  • うちわ
  • カレンダー
  • マグカップ 、ステンレスボトルなど

デジタル関連グッズ

他のカテゴリーと比べ単価は高めですが、満足度も高い商品が多いカテゴリーです。家庭・オフィス両方で使用され、長期的な露出効果が期待できます。重要顧客向けの記念品としても適しています。

  • モバイルスタンド
  • USB充電ケーブル
  • モバイルバッテリーなど

ノベルティ選びの際には、配布対象者の属性や使用シーンを具体的にイメージするといいでしょう。予算に応じて、実用性と訴求効果のバランスを考慮することも必要です。


ノベルティ注文にかかる費用

ノベルティの注文を検討する際は、商品単価以外にもいくつかの要素を考慮する必要があります。

特に印刷方法は費用に大きく影響します。一般的な印刷方法には、大量生産に適したオフセット印刷、樹脂や金属などの素材に対応できるシルク印刷やパッド印刷、そして少量生産でも手軽に対応できるデジタル印刷などがあります。これらの特徴やかかる費用をあらかじめ把握しておくといいでしょう。

以下、主な費用とその特徴を解説します。

基本的な費用

  • 版代
    オフセット印刷やシルク印刷、パッド印刷では、それぞれ印刷用の版を作成する必要があります。一方、デジタル印刷は版が不要なため、この費用は発生しません。
  • 色数に応じた追加費用
    デジタル印刷以外の印刷方法では、使用する色が増えるごとに版代や印刷費用などが追加されます。デジタル印刷では、基本的に追加費用のかからず、カラフルなデザインでも費用を抑えられます。
  • 特殊加工費
    UV加工や箔押し、エンボス加工など、特殊な加工を施す場合は別途費用が発生します。

その他の付帯費用

  • 送料
    配送先や数量、配送方法によっても異なります。
  • 梱包費用
    個別包装や特殊な梱包が必要な場合は追加費用が発生します。
  • デザイン費用
    オリジナルのデザインを作成依頼する場合は、別途デザイン費用が必要です。
  • 特急料金
    納期を早める場合は、特急料金が発生することがあります。

小ロットの場合、総額に対する追加費用の影響が大きくなる傾向があります。発注前には必ず各費用項目の確認を行い、綿密な予算計画を立てるといいでしょう。


ノベルティ配布時の景品表示法に関する注意点

ノベルティは、配布方法によっては景品表示法における「景品類」に該当することがあります。景品表示法では、顧客の誘引を目的とした取引に付随して提供される物品等を「景品類」とし、過度な提供を規制しています。以下にノベルティが「景品類」に該当する場合を解説します。配布する際は、規制内容を十分に確認し、適切な範囲内で提供しましょう。

来場者や商品購入者にもれなく配布する場合(総付懸賞)

イベントや展示会の来場者全員、商品・サービス購入者全員にノベルティを配布する場合、以下の制限が適用されます。

  • 取引価額1,000円未満の場合:
    200円が上限
  • 取引価額1,000円以上の場合:
    取引価額の20%が上限

抽選やクイズなどで当選者を決め配布する場合(一般懸賞)

商品・サービスの購入者に対して、くじ引きやクイズの正誤、競技の優劣によりノベルティを配布する場合、以下の制限が適用されます。

  • 取引価額5,000円未満の場合:
    取引価額の20倍が上限
  • 取引価額5,000円以上の場合:
    10万円が上限
  • 総額制限:
    売上予定総額の2%まで

商店街や複数企業などが共同して配布する場合(共同懸賞)

商店街の中元・歳末セール等での商品・サービス購入者に対する懸賞や、複数企業が合同で実施する購入者向け懸賞の場合、以下の制限が適用されます。

  • 取引価額にかかわらず30万円が上限 
  • 総額制限:
    売上予定総額の3%まで

規制に違反した場合、措置命令や課徴金納付命令の対象となる可能性があります。不明な点がある場合は、事前に消費者庁または都道府県の景品表示法主管課に相談することをおすすめします。

参考:
景品規制の概要 | 消費者庁
事例でわかる景品表示法(令和6年7月改訂)[PDF]


emoji_objects ノベルティの小ロット注文は効果的な販促活動を実現する選択肢のひとつ

デジタル印刷技術の進歩により、文具類から生活雑貨まで、ノベルティの小ロット製作の選択肢が広がっています。初期費用の抑制や機動的な販促活動といったメリットがある一方で、景品表示法による提供上限額の規制にも注意が必要です。商品選びから配布方法まで入念な計画と準備が不可欠です。

小ロットで製作できるノベルティの中でも、缶バッジは企業の販促活動で活用しやすいアイテムです。露出効果が高いうえに比較的低価格で注文でき、場合によっては自社での内製化も検討できます。例えば、バッジマンネットの缶バッジマシンやパーツを活用すれば、外部発注に比べてコストを抑えながら、必要な時に必要な量だけ柔軟に製作することができます。展示会での配布や期間限定キャンペーンなど機動的なプロモーションに活用できます。