IPビジネスの中でもキャラクターを活用したビジネスは、エンターテインメント業界で大きな注目を集めています。魅力的なキャラクターを創造し、それを活用して収益を上げる手法は、多くの企業にとって魅力的です。本記事では、キャラクターIPビジネスの基本から成功事例、自社IPでビジネスを展開する際のポイントまで解説します。

IPビジネスにおけるキャラクター活用とは

IP(Intellectual Property)とは、知的財産のことで、人間の創造的活動から生まれる無形の財産を意味します。IPは、著作権や商標権といった法的な保護を受けています。IPの所有者がこれらの権利を活用して展開するビジネスを「IPビジネス」と呼びます。

アニメ、漫画、ゲームなどで登場するキャラクターは、「キャラクターIP」と呼ばれます。キャラクターIPには、視覚的な訴求力やストーリー性、感情移入のしやすさなどの特性があります。これらの特性を活かすことで、商品やサービスの付加価値を高める効果が期待できます。

キャラクターIPビジネスは、グッズ販売や他社とのコラボレーション、イベント開催、デジタルコンテンツ展開など、幅広い方法で展開されます。自社開発のキャラクターIPを他社に使用許諾し、ライセンス収入を得る「キャラクタービジネス」も、その一形態です。

このように、キャラクターIPはさまざまな形でビジネスに活用され、ブランド価値向上や新たな収益源の創出に貢献しています。

日本発キャラクターの収益力 

アメリカの金融会社「TitleMax」が発表した世界のメディアミックス作品の収益ランキングTOP25には、多くの日本発のキャラクターがランクインしています。このランキングは、ゲーム、漫画、映画、グッズ販売など、多様な収益源を合算したものです。

特筆すべきは、1位(ポケモン、総収益約921億ドル)と2位(ハローキティ、同約800億ドル)が、ともに日本発のキャラクターであることです。これらの数字は、日本のキャラクターIPが世界的な人気を博し、多角的なビジネス展開によって高い収益を上げていることを示しています。

参考:The 25 Highest-Grossing Media Franchises of All Time

キャラクターIPを活用したビジネスモデル

キャラクターIPを活用したビジネスモデルには、主に以下の4つがあります。これらのモデルを戦略的に組み合わせ、相乗効果を生み出すことは、キャラクターIPの価値最大化につながります。

マーチャンダイジング

自社の持つキャラクターIPを活用しグッズを販売する方法です。

ぬいぐるみ、文房具、アパレルなど、多様なカテゴリーで商品を展開することで、ファンの購買意欲を刺激し、安定した収益を生み出せます。ファンの興味を継続的に喚起したり、コレクション欲求を満たしたりするために、季節限定商品や周年記念アイテムを投入する工夫もよく行われています。

ライセンシング

自社で開発したキャラクターIPを他社にライセンス供与することで、ロイヤリティ収入を得ることができます。

ライセンサー(IPを提供する側、IP所有者)が、ライセンシー(IPを使用する側)にキャラクターの使用権を提供し、使用料を得るモデルです。例えば、ディズニーキャラクターを使用した商品やテーマパークのアトラクションなどがこれに該当します。

ライセンシングについては、以下の記事で詳しく解説しています。

ライセンスビジネスのメリットや注意点を解説 グッズ活用で宣伝効果向上も!

他社とのコラボレーション

他社のブランドや企業とコラボレーションして、限定商品やイベントを展開するモデルです。

例えば、人気キャラクターとファッションブランドがコラボして限定アイテムを販売するケースなどがあります。コラボレーションすることで、相乗効果を生み出し、新たなファン層の獲得やブランドイメージの向上につなげることも可能です。

デジタルコンテンツ展開

キャラクターIPを活用したデジタルコンテンツ配信は、成長性の高い収益機会として注目されています。

動画配信、ソーシャルゲーム、SNSスタンプなどのデジタル展開は、特に若年層のファン獲得に効果的です。

キャラクターIPビジネスの成功事例

キャラクターIPを効果的に活用し、大きな成功を収めた事例を紹介します。

サンリオ

サンリオは、ハローキティをはじめとする多数のキャラクターIPを保有し、世界中で事業を展開しています。魅力的なキャラクターデザインと、ライセンシングを軸としたビジネスモデルが、サンリオの強みです。幅広い商品カテゴリーでのグッズ展開や、テーマパークの運営など、キャラクターIPを多角的に活用しています。

くまモン 

熊本県のマスコットキャラクター「くまモン」は、地域活性化に成功した事例として知られています。くまモンの魅力的なビジュアルと、熊本県の特産品とのコラボレーションが奏功し、全国的な人気を博しました。自治体とキャラクターIPとの連携は、地域ブランディングの有効な手段として注目されています。

キャラクターIPビジネスを成功させるためのポイント

キャラクターIPビジネスを成功に導くには、いくつかのポイントがあります。

魅力的なオリジナルキャラクターの開発

自社でキャラクターIPを活用する第一歩は、魅力的なオリジナルキャラクターの開発です。

例えば、キャラクターのコンセプトとデザインでは、ターゲットの共感を得られるよう工夫することが望ましいでしょう。キャラクターの性格や背景ストーリーを丁寧に練り込むことで、より深みのある世界観を構築できるでしょう。このような取り組みを通じ、長期的に愛されるキャラクターの創造を目指すことが重要です。

長期的視点に立ったブランディング戦略 

キャラクターIPビジネスの成功には、長期的視点に立ったブランディング戦略が不可欠です。第一に、キャラクターの個性を際立たせる魅力的な世界観を構築し、一貫したメッセージとビジュアルで発信し続けることが大切です。

ファンの期待に応え続けることも大切です。その方法の一つとして、SNSでの双方向コミュニケーションやリアルイベントでの交流を通じ、ファンとの強い絆を育むことが挙げられます。市場トレンドを踏まえつつ、キャラクターの成長ストーリーや新コンテンツ・商品を定期的に投入することも効果的でしょう。

デジタル技術を活用した新たなファン体験の提供

VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、メタバースなどの最新のデジタル技術の活用は、ますます重要な戦略になっています。例えば、仮想空間内でのイベント開催、キャラクターとの対話型コンテンツ、現実世界にキャラクターを投影する機能など、多様な展開が考えられます。キャラクターとファンの絆をより深め、IP価値の向上が期待できるでしょう。

権利管理と法的保護の徹底 

権利管理と法的リスクへの対応は欠かせません。商標登録などの法的な権利保護を確実に行い、IPを保護することが重要です。また、ライセンス先の選定やガイドラインの策定など、適切な管理体制を整えることで、トラブルを未然に防ぐことができます。多岐にわたる利用形態や関係者間の調整が必要となるため、専門家のアドバイスを受けながら対応するといいでしょう。

キャラクターの価値を高め続けることがIPビジネス成功のカギ

キャラクターIPビジネスは、エンターテインメント業界で大きな可能性を秘めています。基本を理解し、マーチャンダイジングやライセンシングなど多様なビジネスモデルを総合的に検討することが重要です。自社のキャラクターを活用する際は、魅力的なキャラクター開発はもちろん、長期的なブランディング戦略、権利管理などIPの価値を向上させる取り組みがポイントです。成功事例に学びつつ、自社の強みを活かしたキャラクターIPビジネスをすすめていきましょう。

IPビジネスの展開において、グッズは重要な役割を果たします。その中でも缶バッジは、手軽さと親しみやすさから、ファンの支持を集める人気アイテムの一つです。「バッジマンネット」でマシンやパーツをそろえれば、自社で魅力的な缶バッジの製造も可能です。