Z世代を中心に広がる「イミ消費」は、従来の価格や機能重視の消費から大きく変化したトレンドです。環境問題や社会課題への意識の高まりとともに、商品が持つ「意味」や「価値」に共感して購入する行動が増えています。本記事では、この「イミ消費」についてくわしく解説していきます。


イミ消費とは

イミ消費とは、単に商品やサービスを購入するだけでなく、その背景にある意味や価値を重視する消費行動を指します。特にZ世代(1990年代後半から2010年代前半生まれ)を中心に広がっているこの傾向は、環境問題や社会課題に対する意識の高まりと密接に関連しています。

従来の消費行動が「より安く」「より便利に」という機能的価値を重視していたのに対し、イミ消費では「なぜその商品を選ぶのか」「その選択がどのような意味を持つのか」という点が重要視されます。購入者自身の価値観や信念に合致した商品やサービスを選ぶことで、消費を通じて自己表現や社会貢献を実現する新しい消費スタイルといえるでしょう。

イミ消費に近い概念として「応援消費」があります。応援消費とは、特定の人・団体・地域などを支援する目的で行う消費行動です。

応援消費については、以下の記事でくわしく解説しています。

モノ消費・コト消費・トキ消費との違い 

消費スタイルは時代とともに変化し、モノ消費・コト消費・トキ消費といったさまざまな形態が生まれました。それぞれ次のような特徴があります。

  • モノ消費:
    商品自体の機能や性能、所有することに価値を見出す
  • コト消費:
    商品やサービスを通じた体験や経験に価値を見出す
  • トキ消費:
    特別な時間や瞬間、限定的な機会に価値を見出す
  • イミ消費:
    商品選択の背景にある社会的意義や個人の価値観との一致に重きを置く

イミ消費の最大の特徴は、「何を買うか」ではなく「なぜ買うのか」という消費行動の意味そのものが重視される点にあります。

モノ消費・コト消費・トキ消費については、以下の記事でくわしく解説しています。


イミ消費がZ世代に響く3つの理由

なぜイミ消費はZ世代を中心に広がっているのでしょうか?その背景には、Z世代特有の次のような価値観や行動特性が関係しています。

1. デジタルネイティブとしての情報感度

Z世代は生まれた時からインターネットやSNSが身近にある環境で育ってきました。彼らの特徴は、商品やブランドに関する情報への素早いアクセス能力、企業の理念や取り組みに関する積極的な情報収集力、そしてSNSを通じた情報共有と拡散の習慣が挙げられます。

この高い情報感度により、Z世代は製品そのものだけでなく、その背景にある企業姿勢や社会的影響についても簡単に知ることができます。結果として、商品の「意味」への関心が自然と高まるといえます。

2. 社会課題への高い意識

Z世代は、前世代と比較して、社会問題への意識が高い傾向が見られます。環境問題への危機感や社会的不平等、多様性に対する感度が強く、自分の消費行動で世界に良い影響を与えたいと考える人も少なくありません。そのため、日常の購買活動を通じて社会課題解決に貢献できるイミ消費に自然と関心を寄せる傾向にあります。

3. アイデンティティ表現としての消費

Z世代にとって、消費行動は自己表現の重要な手段のひとつです。特定のブランドや商品を選ぶことで、自分の価値観や信念を表現し、同じ価値観を持つ人々とつながることができます。イミ消費は、そのような自己表現とコミュニティ形成の両方を満たす手段として機能しています。


イミ消費の4つのカテゴリーと具体例

イミ消費は、私たちの日常生活の中にすでに多く見られます。ここでは、イミ消費を4つのカテゴリーに分け、それぞれの特徴と具体例を紹介します。

環境・社会配慮型

環境負荷の削減や社会課題の解決に直接的に貢献できる商品やサービスを選ぶ消費行動です。

  • サステナブルファッション:
    オーガニックコットンや再生素材を使用した衣料品
  • 脱プラスチック製品:
    マイボトル・マイバッグの積極的な使用
  • エシカル商品:
    フェアトレード認証コーヒーやチョコレート

社会貢献型

購入金額の一部が特定の課題解決に使われる商品や、支援を必要とする人々の経済活動に貢献する商品を選ぶ消費行動です。

  • 寄付連動型商品:
    売り上げの一部が社会貢献につながる寄付に使われる製品
  • 途上国支援商品:
    発展途上国の職人が作るアクセサリーや工芸品
  • インクルーシブ商品:
    障がい者支援施設で製造された食品や雑貨
  • 被災地特産品:
    震災復興を応援するための被災地特産品の意識的な購入

コミュニティ支援型消費

特定のコミュニティや価値観を支援するための消費行動です。

  • 地域経済支援:
    地元の小規模店舗での意識的な購入
  • クラウドファンディング:
    共感するプロジェクトへの資金提供
  • コミュニティマーケット:
    地域の農家市場やハンドメイドマーケットでの購入

ストーリー重視型消費

商品の背景にある物語や、作り手の想いを重視し、その価値に共感して購入する行動です。

  • 伝統工芸品:
    伝統技術を活かした現代商品の選択
  • 顔の見える生産:
    生産者の顔や製造過程が明確な食品や製品
  • D2Cブランド支援:
    特定の価値観に共感して直接購入する消費者運動

D2Cについては、以下の記事でくわしく解説しています。


イミ消費をビジネスに生かすポイント

イミ消費のトレンドをビジネスに生かすうえで押さえるべきポイントを解説します。

社会貢献を実感できる仕組みづくり

消費者が「自分の選択が社会を変えている」と実感できる体験設計が重要です。単なる商品やサービスの提供ではなく、その選択がもたらす変化のストーリーを、購入から使用、その後まで一貫して感じられる仕組みづくりが求められます。具体的な数値や図での可視化、定期的なインパクトレポートの共有など、消費者の実感を高める施策が効果的です。

コミュニティ起点のマーケティング

Z世代は価値観を共有できるコミュニティへの所属を重視する傾向にあります。商品開発やマーケティングにおいても、コミュニティを基点とした展開が効果的です。例えば、コミュニティ限定商品の開発や、メンバーの声を反映した商品改良は、コミュニティへの関与を深める方法として効果的でしょう。より強い共感と支持を得ることが期待できます。


emoji_objects イミ消費時代のビジネス

イミ消費は、Z世代を中心とした新しい消費価値観を象徴するトレンドです。この世代は、他の世代と比較して、自身の消費行動を通じて、社会に変化をもたらしたいという強い意識を持っています。こうした特性を踏まえ、ビジネスでは、消費を通じた社会貢献を実感しやすい仕組みづくりが重要となります。

オリジナルグッズ展開は、工夫次第でイミ消費につながりやすい手法のひとつです。特に、缶バッジのような小物は、消費者が手に取りやすい価格帯で、しかも目に見える形で価値観を表現できるため、イミ消費との親和性が高いといえるでしょう。

「バッジマンネット」でマシンやパーツをそろえれば、価値観を表現する魅力的な缶バッジの製作も容易です。