近年、消費行動の新しいトレンドとして「応援消費」が注目を集めています。単なるモノやサービスの購入を超えて、想いや支援の気持ちを込めた新しい消費の形として、さまざまな分野で広がりを見せています。本記事では、応援消費の基本的な意味から特徴、種類まで、具体例を交えながらくわしく解説します。ビジネスにつなげるポイントについても紹介しますので、これからのビジネス展開の参考にしてください。


応援消費とは

応援消費とは、商品やサービスを購入する際に、その背後にある生産者、企業、地域などへの支援や応援の気持ちを込めて行う消費行動を指します。

従来の消費が「自分のため」の要素を重視していたのに対し、応援消費では「誰かのため」という想いが加わります。例えば、地元の商店街で少し高めの商品を購入するのも、地域経済への貢献を意識してのことかもしれません。品質や価格だけでなく、「誰を・何を応援したいか」という想いが購買決定の重要な要因となります。

なぜ今、応援消費が注目されているのか

従来の「モノの所有」を重視するモノ消費から、「体験や想いを共有する」ことを重視するコト消費へと消費形態が変化してきました。さらに現在は「消費に意味を求める」イミ消費が広がるなかで、応援消費への注目が高まっています。

コト・モノ・イミ消費については、以下の記事でくわしく解説しています。

特に、東日本大震災以降、被災地域の復興支援として認知が広がり、その後のコロナ禍では、苦境に立つ地域や事業者を支援する消費行動として定着してきました。楽天トラベルの調査によれば、約3割の人が被災地への旅行など、観光を通じた「応援消費」を実践していると回答しています。

参考:楽天トラベル、旅行を通じた「応援消費」に関する調査を実施 | 楽天グループ株式会社のプレスリリース

SNSの普及により、応援する対象との距離が縮まり、想いを共有できる機会が増えたことで、より身近な消費行動として認識されるようになりました。

また、「推し活」(好きなものや人を応援する活動)における消費行動は、応援消費の代表的な例といえるでしょう。推し活とは、アイドルやアーティスト、スポーツ選手、動物、場所など多様な対象への支援活動です。

推し活については、以下の記事でくわしく解説しています。


応援消費の3つの特徴

目的意識と共感から生まれる消費行動

応援消費では、単なる商品やサービスの購入を超えて、「誰を」「何を」応援したいのかという明確な目的意識が存在します。商品やサービスを提供する側のストーリーや想いに共感することで、価格以上の価値が生まれ、それが購買の原動力となります。

例えば、地域の伝統工芸品を購入する際、その技術を守り継承している職人への応援の気持ちが、購入の決め手となることがあります。

継続的な関係性

応援消費は、一回限りの購入で終わらない点が特徴的です。お気に入りの生産者の商品を定期的に購入したり、支援した店舗の新商品を応援し続けたりする形で表れます。この継続性は、多くの場合、想いを共有することで得られる充実感や「いいことをしている」という自己肯定感によって支えられています。

SNSを通じた共感の輪の広がり

応援消費は、消費者自身がSNSなどで体験を共有することで、新たな応援の輪を広げていく特徴があります。単なる商品レビューではなく、応援する対象への想いや支援の意義が共有されることで、共感する人々が自然と集まり、新たなコミュニティが形成されていきます。

この自発的な情報拡散は、「いいものをシェアする」文化として定着しており、広告費をかけずに自然と市場が広がっていく効果をもたらします。


応援消費の5つの種類

応援消費は、その目的や形態によって大きく5つの種類に分類することができます。

  1. 地域応援型
    地元の商店街や企業の商品・サービスを意識的に選択し、地域経済の活性化に貢献する消費行動です。

    具体例:
    ・都市部のアンテナショップでの特産品購入
    ・経営難の地方の鉄道路線の利用
    ・ふるさと納税を活用した地域産品の支援
  1. 復興支援型
    災害被災地の産品購入や復興関連商品の選択を通じて、被災地の回復を支援する消費行動です。

    具体例:
    ・被災地の特産品の購入
    ・復興マルシェやイベントへの参加 
    ・被災地を訪れる応援ツアーへの参加
  1. 起業家・小規模事業者支援型
    新規事業者の商品購入やクラウドファンディングへの参加など、チャレンジする事業者を後押しする消費行動です。事業の成長段階に応じた支援形態が見られます。SNSでの情報発信を通じて、支援の輪が自然と広がっていくのも特徴です。

    具体例:
    ・若手農家の野菜セット定期購入
    ・新規出店した飲食店の応援会員に登録
    ・クラウドファンディングを通じた新事業支援
  1. 文化・創造支援型
    伝統工芸品の購入やアーティスト支援など、文化的価値の維持・発展を目的とした消費行動です。

    具体例:
    ・アイドルやアーティストのグッズ購入
    ・若手クリエイターの作品購入
    ・地域の小規模劇場に会員登録
  1. 社会課題解決型
    環境配慮商品の選択やフェアトレード商品の購入など、より大きな社会課題の解決に貢献することを意識した消費行動です。より良い社会づくりに参加する手段として定着しつつあります。

    具体例:
    ・レジ袋の辞退
    ・環境に配慮した商品の選択
    ・途上国の生産者を支援するフェアトレード商品の購入

応援消費をビジネスにつなげるポイント

応援消費の高まりを自社のビジネスに生かすためのポイントを紹介します。

ストーリーと想いの言語化

なぜその商品・サービスを提供しているのか、どんな想いで事業を行っているのかという「ストーリー」は、応援消費を支える重要な要素です。

価格や機能だけでなく、その背景にある想いや目的を明確に言語化し、効果的に発信することで、共感を通じた持続的な顧客関係を構築できます。これは価格競争に依存しない、独自の市場ポジションの確立にもつながります。

応援者との双方向コミュニケーション

応援消費では、生産者と消費者の関係性が重要です。一方的な情報発信ではなく、応援者の声に耳を傾け、その反応や意見を取り入れながら進化していく姿勢が求められます。

SNSやメールマガジン、オンラインイベントなどを活用し、応援者との対話を継続的に行うことで、より深い関係性を構築できます。応援者が「自分も参加している」と感じられる体験を提供することが必要です。

応援を売り上げにつなげる仕組みづくり

共感だけでは持続的なビジネスにはなりません。応援したい気持ちを具体的な行動に変換できる「仕組み」が必要です。例えば、定期購入制度、会員制度、限定商品、オリジナルグッズなどが効果的です。顧客が応援しやすい形を用意することで、想いを実際の売り上げに結びつけることができます。

グッズについては、以下の記事でくわしく解説しています。


emoji_objects 応援消費の気持ちを理解し応えることが重要

応援消費は、単なるトレンドを超えて、新しい価値を生み出す消費行動として定着しつつあります。応援消費には、支援したい、貢献したいという消費者の純粋な気持ちが込められています。消費者の応援の気持ちを理解し、それに応える姿勢を持つことで、価格競争に依存しない、独自の価値を持つビジネスを展開できるでしょう。

応援消費の気持ちに応える具体的な方法として、オリジナルグッズ制作が効果的です。なかでも缶バッジは、手頃な価格と高い携帯性で応援の気持ちを自然に表現できるアイテムとしては支持されています。デザインの自由度が高く、小ロットからの製作が可能なため、幅広いニーズに対応できます。「バッジマンネット」でマシンやパーツをそろえれば、魅力的な缶バッジの製造も可能です。