過去の時代とは異なり、今やオタク文化は市民権を得て、一般社会にも広がりを見せています。「自分の好きなモノを愛でたい」という気持ちは、巨大なマーケットを生み出し、今後も成長が見込まれています。
こうしたオタク需要を取り込んで市場開拓をしていくためには、どのような点に注目すれば良いのでしょうか。この記事では同人グッズを新たに商品ラインナップに加えたい事業者のために、参考となる情報をお届けします。
同人について
初めにそもそも同人とは何か、同人の作品や関連商品について解説します。
同人活動とは?
「同人」とは、同じ趣味や興味、志を持つ個人や団体を指します。同人活動は、個人が好きなものを表現し、発表する活動のことです。
基本的な同人活動としては同人作品を制作し、イベントや通販などで販売する方法があります。同人活動である同人誌発行の歴史は、明治時代が発祥とされ、尾崎紅葉、山田美妙による自費出版の文芸雑誌が始まりと言われます。
現代の同人活動は、主に出版社などのマスメディア、通常の流通経路を通さない冊子やグッズの販売を指します。
今ではニュースにも良く取り上げられ一般認知されているコミックマーケット(コミケ)も、同人活動の場のひとつであり、非常に大きな経済効果を上げています。その市場は同人誌だけでも2021年度の予測で800億円と言われます。
同人活動の作品とは
同人活動では、どのような作品があるのでしょうか。
同人活動の具体的な作品は同人誌や、多種多様なグッズです。同人活動は、ある対象物に対する非常に強い関心や愛着が基となっています。そのため、同人活動では基となる作品があります。つまり、同人活動の基本は二次創作です。
現状では二次創作活動は、ファン活動の延長線上にあるものとしてとらえられており、原作との相乗効果を期待することもあって多くの場合は権利者(出版社や著者等)から黙認されています。(作品によっては二次創作に関するガイドラインを公開している場合もあります)
同人グッズを制作する際の注意点
基本的に、同人活動は権利者から「ファン活動の延長としてお目こぼしをもらっている」ことで成立しています。
とくに同人グッズは、いわゆる海賊版とみなされる可能性があり、制作においてはとくに注意が必要です。公式グッズではなくパロディグッズであることが分かりやすい絵柄やデザインにしたり、作品名やキャラクター名の表記を避けたり、一般流通をさせず限定的に販売したりといった、第三者に公式グッズだと誤認させない工夫をしなくてはいけません。
また、作品によっては一切の同人グッズ制作を禁止しているものもあるので、公式がそうしたルールを明言しているかどうかをあらかじめ確認する必要もあります。
グッズ制作を代行する企業としても、こうした同人グッズに関する注意点をしっかりと顧客に周知し、企業として責任ある行動をとることが重要です。
同人グッズの種類
ここでは、同人活動における定番グッズから、少し変わった珍しいものまで紹介します。
定番グッズ
缶バッジ:
デザイン性が高く、コレクションしやすいため年代・性別を問わないグッズとして人気です。
うちわ:
デザインを十分に活かせるくらいの大きさがあるため、イラストが多彩に表現できるグッズです。
クリアファイル:
デザイン面が広く、学生からビジネスパーソンまで広く使えます。日常的に使用しても違和感がなく、コレクションや展示アイテムなど活用用途の広さがメリットです。
キーホルダー:
同人グッズとしては、定番中の定番と言えます。さり気なく持ち歩きができて実用と趣味が両立します。ポップなタイプから上質素材まで制作できるため、すべてのターゲットが対象です。
アクリルスタンド:
お部屋で密かに楽しめる、美しい状態が長く楽しめることから女性に人気です。
フォトフレーム:
推しと同一画面に収まることができる、推しのイラストや写真を入れることでさらにインパクトが高められるグッズです。好きな場所に飾って置けるため、いつでも推しと一緒にいられる気持ちになれることから、特に女性に好まれます。
タオル:
柔らかな手触り、美しい色彩で対象物を表現できます。実用的で持ち歩きが可能なため、すべてのターゲットが対象です。
クッション:
抱きしめることのできるグッズとして人気があります。くつろぎ、安らぎをもたらす自分だけのインテリアグッズです。
ハンカチ:
実用性が高く、比較的価格も手頃なため気軽に購入できます。すべてのターゲット向きと言えるでしょう。
食器類:
皿、カップ、カトラリーなど種類が豊富です。自宅で楽しめるため、幅広くターゲットにできます。
ボールペン:
デザイン次第ではどのターゲットにも活用可能な定番グッズのひとつです。
カレンダー:
さまざまなサイズがあり、一年を通して目に入る場所に飾って置けるグッズとして人気で、女性や若い世代に好まれます。
スマホケース・パスケース:
デザインの自由度が高く、普段使いもしやすいことから人気があります。上質素材のものは、ビジネス世代にも支持されます。
マスキングテープ:
デコレーションや手紙などに活躍するグッズです。最近ではシートタイプの「マスキングシール」も登場しています。身の回りのリメイク、愛好者同士でやり取りする機会が多い、女性に人気です。
ポストカード・ステッカー:
需要が多く、比較的簡単に作れる定番グッズです。低単価であることも強みです。
バッグ・ポーチ:
トートバッグやランチトート、エコバッグ、小物ポーチなど、普段使いしやすく女性に人気のあるグッズです。
珍しいグッズ
食べ物・飲み物:
コーヒー・紅茶、お米やお菓子など、さまざまな商品があります。パッケージが可愛い、プレゼントに向くなどで人気があります。
ぐいのみ:
大きさが手頃で、お酒を飲まない人でも何かと使えるサイズです。
スマホスタンド:
スマホケースとのお揃い、セットも可能です。
ゴルフボール:
大人向きのプレゼントにも使うことができ、自分用としても識別しやすいため意外と人気があります。
防災グッズ:
推しデザインなのでいつも手元に置き、緊急時に持ち出しやすいというメリットがあります。
弁当箱:
学生から働く女性まで、手作りランチ需要に合わせたアイデア商品も登場しています。
ハンガー:
推しにお気に入りの洋服をかけることができ、実用性が高いグッズです。クローゼットに入れられるため男性向けとしても商品化が可能です。
同人グッズ市場に参入するには
同人グッズビジネスに参入するためにおさえるべきポイントを解説します。
・小ロット対応
小口(個人)の注文に対応できることで、幅広い受注につなげられます。
・デジタル入稿可
インターネット上から簡単に入稿できることで、やり取りで発生する精神的な負担がなく、発注のハードルを下げられます。
・短納期
イベントや販売時期に間に合う納品を心がけることで、事業者としての信頼性が高まります。
・再現性、デザイン性の高さ
こだわりの強い発注者の気持ちに沿いながら、できるだけ思っているのに近い仕上がりとすることで、顧客満足度を向上できます。
・仕様が多彩
さまざまなグッズの制作に対応でき、顧客の声に応えられる事業者は良い口コミが得られ、事業拡大に貢献します。
・価格
明快な価格体系で、発注者を納得させられることが大切です。また、ロット数によって割引率を上げるなど、他社との差別化を図れる工夫をします。
・品質保持
同人グッズはコレクション性が高いため、保管や陳列に耐えうる耐久性や品質が必要です。同人グッズ特有の事情に配慮した、高品質で劣化の少ない商品づくりを心がけます。
広がる同人マーケットに商機を見出そう
同人と言えば小冊子がメインとされてきましたが、最近では多種多様なアイテムへと拡大しています。今後も同人マーケットの伸びは期待されており、商品を制作する事業者として参入する価値は十分にあると言えるでしょう。コミケなどイベント開催の時期はもちろんですが、一年を通じて同人活動にともなう一定の需要があります。
特に定番アイテムのひとつである缶バッジは、どの層からも人気があり、同人マーケットの参入方法としておすすめです。バッジマンネットでは、デザイン性の高い缶バッジ制作のためのマシンとパーツを幅広くご提供しています。ぜひ市場参入にお役立てください。