缶バッジをビジネスに取り入れたい、またはすでに製造・販売している企業が気になるのが、原価の抑制です。確実に利益を上げていくためには、できるだけ原価を抑えながら実益を増やしていく必要があります。今回は、缶バッジを製造・販売するうえで知っておきたい原価について、その基本となる構造から原価削減の方法、取り組む際のポイントまで広く解説します。
原価の構造
はじめに、そもそも原価とは何かを解説します。
原価構造について
原価とは、「製品やサービスを顧客に提供するまでにかかる費用」のことです。材料を仕入れ、商品として通用するものをつくるまでに必要となるすべての費用が、製品ひとつあたりいくらになるかを計算した値です。原価には「製造原価」「売上原価」のふたつがあります。
製造原価:製造する際にかかった原価の合計
売上原価:売れた商品の仕入れや製造にかかった原価の合計
売上原価は主に小売業で使われる言葉で、「仕入原価」とも呼ばれます。上記のうち、本記事では製造原価について詳しく掘り下げていきます。売り上げによる利益は以下の式で求められます。
売上高 – 売上原価 = 売上総利益
つまり、売上原価を抑えられるほど、会社の儲けを増やせて、利益を上げるためには「売上を伸ばす」か「コスト(原価)を削減する」のいずれかを必要とします。
製造原価の詳細
次に、製造原価の詳細を見ていきましょう。製造原価は「材料費」「労務費」「経費」の3項目に分類できます。この3項目をさらに細かく「直接費」と「間接費」に分け、6分類にする場合もあります。
製造にかかる原価を改善するには、それぞれの項目を見直すことが求められます。各項目の内容と、改善の例を以下に紹介します。
材料費:材料・燃料・消耗品
仕入先はひとつに決めるのではなく、相見積もりをして選定します。条件を提示し、もっとも合理性の高い仕入先を選びます。
また、発注をまとめて値引き交渉をするという方法もあります。ロット数を増やすと一定額の割引を受けられるケースも少なくありません。週単位・月単位での発注を見直す、材料の分散をなくして仕入先を1業者にまとめるなどもよいでしょう。
作業上のムダがないかを確認して、燃料費や消耗品を抑えられる可能性を探る方法もあります。作業時間の短縮、工程の削減が、材料費軽減につながります。
労務費:作業者の賃金・賞与・福利厚生費
作業工程の効率化により作業時間を短縮することは、労務費の削減にも有効です。作業工程を見直し、省略できる部分やまとめられる部分がないかを確認します。
また、システムやツールを利用し自動化に移行することで人的作業を減らす方法は、人手不足の解決策でもあり、将来的な経営改革にもつながると考えられます。
経費:作業場の賃貸料、水道光熱費、設備の減価償却費など上記に分類できるもの以外
商品の製造に関連性があり、材料費や労務費に含まれない費用は、すべて経費として分類します。経費削減の例としては、効率化に向けて設備を改善する、固定費を見直すといった方法があります。作業上の照明をLED照明に換えたり、空調設備や節水弁を設置したりして光熱費を抑えるほか、製造プランの見直しなどにより固定費の大幅な低減ができる可能性も考えられます。
缶バッジの原価を削減するには?
ここからは、缶バッジ製造でどのように原価を削減できるのかを解説します。
・現状を把握する
まずは現在の原価を正確に把握し、利益に対して適正であるかを検討するところから始めます。製造原価における各項目の内容を明らかにし、妥当な費用なのか、突出している部分がないかを見ていきましょう。たとえ金額が小さくても、不明点を残しておくと原価削減の妨げになり、長い目で考えれば大きな不利益となりかねません。
・製造作業の効率化を図る
缶バッジ製造体制を刷新する場合は一時的にコストがかかりますが、効率化を図るためには思い切った手段もときには必要です。製造フローの見直しや、缶バッジマシンや設備の変更をすることにより、業務時間の短縮が実現すれば、人件費の削減につながります。また、設備効率の向上により、光熱費など目に見えにくい部分の経費削減効果も期待できます。
作業工程の改善と同時に、効率の向上を見据えた新しい機器類やシステムの導入を検討するとよいでしょう。
・原料仕入れ値(材料代)を下げる
原料や材料の仕入れ方法や発注先の見直しで、大きく製造原価が変わる場合もあります。缶バッジのパーツは大ロットで仕入れることで仕入れ単価を下げられるため、仕入れの間隔を広げて一括して仕入れることで、1個あたりの材料代を下げられます。
ただし、単に仕入れ値は安ければ良いというものではありません。価格だけで選ぶのではなく、質や納期なども含めて検討する必要があります。安価であっても品質が悪く、製造過程での破損や納品後のクレームが発生する事態になることは避けなければいけません。
・品質不良をなくしロスを減らす
製造過程で用いる機器や道具に使いづらさや不備があると、商品にできない不良品が出やすくなり製造ロスが増加します。使いやすいマシンに置き換えて製造ロスを減らし、最終的には1個あたりの製造原価の低減につなげます。
また、不良が発生しやすい工程を特定し、作業の見直しや失敗を避ける工夫をすることも、ロスの回避と製造原価の抑制に働きます。
・内製化も検討する
これまで缶バッジ製造を外部の業者に依頼していた場合には、外注から内製に切り替えた際のコストバランスを検討することもひとつの手段です。
内製化の検討にあたっては、先に説明した製造原価の3項目や、内製化にともなう付帯的な作業時間などを広く考慮しながら判断することが大切です。
缶バッジの内製化については、以下の記事もあわせてご覧ください。
缶バッジの梱包や発送、在庫管理について事業者が知っておきたいポイント
原価削減に取り組む際のポイントや注意点
原価削減は商品の品質や従業員の作業状況を見ながら、バランスよく取り組んでいくことが重要です。実施の際のポイントや注意点としては以下のようなことがあげられます。
・原価についての考え方や知識を浸透させる
そもそも原価とは何かがわかっていないと、いくら上部から声かけしても現場で働く従業員にはピンとこない可能性もあります。原価と利益の関係がわかれば、作業のムダや非効率性にも気づきやすく、取り組みがスムーズになります。原価削減では先に全社的な理解を図っていくことが求められます。
・目先にとらわれず将来に向けた最適化を図る
原価削減の目的は、当然ながら利益向上にあります。一時的に負担が増えても、長期的に見れば必要なコストである場合もあります。設備投資や取引先の選定のし直し、従業員の負荷を抑えた働き方など、将来的な視野をもって最適化していくことも大切です。
・原価の3項目それぞれについて検討する
原価削減に向けた取り組みでは、どこか一点だけに集中してもなかなか効果が見えにくいものです。原価の3項目すべてを検討し、それぞれの項目で少しずつでも削減に着手していきます。
・現場の声にも注意を払う
効率化を進めるあまりに現場の声を聞き逃すと、逆効果となる場合もあります。工程を省きすぎて品質が低下するようでは意味がありません。効率性を求めた結果、かえって作業がしづらくなり、従業員に負担がかかるという可能性も考えられます。現場の声に耳を傾けながら、より良い方向性を探ります。
缶バッジの製造原価を下げて利益向上を目指す
事業利益を上げ、企業経営を安定化に導くためには、原価の見直しと適正化への取り組みが不可欠です。缶バッジ製造では材料費に目が向きがちですが、作業工程ではさまざまな費用が発生しています。原価を引き下げ、利益を上げるのを目指すうえでは、そうした可視化しにくい部分にも着目しながら取り組まなくてはいけません。
作業の効率化、品質向上を考慮した原価の見直しを検討しているのであれば、優良な缶バッジマシンや缶バッジパーツを提供する「バッジマンネット」がおすすめです。ぜひご一考ください。