「推し活」には人それぞれの形がありますが、なかには「あまり周囲に知られたくない」という場合も少なくありません。そんな需要に応え人気を集めているのが、「概念グッズ」と呼ばれる推しに関連性のあるイメージをもとにしたアイテムです。公式グッズのようにあからさまではなく、また自分なりの思い入れやイメージが具現化されたものであるため、ほかの人からは推し活だと気付かれないという特徴があります。今回は概念グッズの基本知識や人気の理由、具体的なアイテムを紹介します。     

概念グッズとは?

概念グッズとは、推しそのもののイメージを表しているようなアイテムや、または公式グッズではない「推し」に関連するアイテムを意味します。

たとえばキャラクターのイメージカラー、イメージする香りなど、直接的ではないけれど、推しを想起させる商品、市販されていないオーダーメイド品、さらにキャラクターが愛用する品なども概念グッズに含まれます。

そもそも「概念」とは、何を意味しているのでしょうか。実用日本語表現辞典によると、“思考において把握される、物事の「何たるか」という部分のことである。具体的には、「抽象的かつ普遍的なものとして捉えられた、そのものが示す性質」「対象を総括して概括した内容」、あるいは、「物事についての大まかな知識や理解」などのことである。”と示されています。

簡単には、概念とはある事柄の共通した性質や特徴を抽象化したもの、理解されたものであるといえるでしょう。同じキャラクターを源としていても、「思考において把握される」ものは人それぞれです。推し活における概念グッズは、たとえ他者にはわかりにくいものであっても、あまり一般化されておらず、唯一のものであり、個人的な思いがポイントとなります。

つまり、その人にとっての推しの要素が少しでも入っていれば、概念グッズになり得るのです。関連した言葉に「概念推し」がありますが、これは概念グッズにより愛でる対象に近づく行動を指します。

▼ 推し活グッズ全般については、以下の記事でくわしく解説しています。▼

概念グッズが人気の理由

今、なぜ概念グッズが注目されているのでしょうか。概念グッズは先に説明したように、人からはそれとはわかりにくいものが多く見られます。公式グッズはキャラクターのイラストや作品名が入っており、目立ってしまう場合がありますが、概念グッズであれば日常使いができ、「推し活中」であることが周囲にバレにくいというメリットがあります。

最近では推し活が社会人やシニア層にも浸透しています。こうした活動をあまり他人に知られたくない人でも、概念グッズであれば密かに楽しめるのです。

また熱心な愛好者には、一般的に販売されている公式のグッズのデザインが好きではない、自分のイメージに合わないといったケースもあります。さらに「自分だけのアイテムを持ちたい」という気持ちを、特別感のある概念グッズとしてオーダーメイドならば叶えることもできます。

瞳の色など推しの特に気に入った部位がある人にとっては、色そのものが推しにつながります。イメージするカラーや香りのように、推しに関する想像を広げたい、「推しっぽい」と感じられるものに囲まれていたいという強い思いから、概念グッズの需要が伸びていると考えられます。

▼ 推し活をマーケティングの視点から考えるときには以下の記事が参考になります。▼

概念グッズの例

概念グッズの具体的な例や概念グッズで表現される要素を解説します。

概念グッズの例

概念グッズの例としては以下のようなものがあります。

  • 推しをイメージさせる人形・ぬいぐるみ
    キャラクターを模した人形や、イメージされるぬいぐるみを、推しの分身として愛でる、連れて歩くといった使い方をします。
  • 推しの目の色や髪の毛の色、イメージカラーの宝石、ネイル、アクセサリー
    多くのグループアイドルには、各メンバーにテーマカラーがあります。アニメなどのキャラクターの場合では、髪の毛や目の色などがイメージカラーとして推し活に使われます。
  • 推しの愛用品
    推しが愛用する楽器、自動車、バイク、自転車など同じアイテムを持つことでつながりを感じます。
  • 推しと同じブランド品
    上記と同様に推しと同じものと持つことで距離を縮められます。
  • オーダーメイド品
    推しのカラーやイメージする形状を用いて、オリジナルのアイテムを作ることで、世界に1つだけの推しグッズとなります。

概念グッズの要素

概念グッズとするためには、推しに関連する何らかの要素が必要です。概念グッズに盛り込まれる要素には、一般的に以下のようなものがあげられます。

  • 名入れ・日付入れ
    推しの名前、イニシャル、誕生日、イベント記念、推しと出会った日などがあります。
  • イメージカラー
    テーマカラーや身体の部位の色、全体的なイメージの色などがあります。
  • 柄・モチーフ
    推しそのものをデフォルメした柄、推しをイメージしたモチーフなどです。『鬼滅の刃』の市松模様などがわかりやすい例でしょう。
  • テイスト・香り
    推しの印象をイメージした味や推しをイメージした香りの、ドリンクやスイーツ、香水などが商品化されています。
  • 関連した場所
    推しに関連するストーリーの舞台やイメージとして行きそうな場所、出現しそうな場所などをグッズの要素として取り入れます。

近年では概念推し活に向けたサービスも

年齢や属性に関系なく個人的な楽しみを追求する推し活は、ますます広がりを見せています。そうした動きのなかで、概念推しによる推し活グッズの多様化、ディープ化が求められ対応する以下のようなさまざまなサービスが登場してきました。

  • 文字入れ、カラーバリエーション
    カップ、カトラリーやハンカチなど、日常使いできる小物を推しの色でそろえたり、ネームを入れたりできるサービスが人気です。
  • ラベル、文具、パッケージ
    どこにでも貼れるラベルや、ノート、ペンなどの文具、愛好家同士で交換できるパッケージなど、個人レベルで少量から注文できるサービスも登場しています。
  • ケーキオーダー
    特別な日のために、推しキャラクターをデザインしたケーキやスイーツを注文できる店も増えています。
  • フレグランス
    推しの基本的な情報、性格、カラーイメージ、ストーリーや自分なりの印象などを注文時に記載すると、そこからイメージされる香りでフレグランスをオーダーできます。
  • ドリンク、ボトル
    推しのイメージカラーや性格、自分が考えるテイスト(柑橘系、スパイシー系など)といった内容から、ドリンクオーダーができます。また、推しのネームや誕生日などをラベルに印刷してくれるサービスも提供されています。

▼ 推し活とビジネスについては、以下の記事でくわしく解説しています。▼

概念グッズは推し活をよりパーソナライズしたもの

概念グッズは、その人だけの思い入れを反映させて推しに近づけるアイテムです。他の人からは想像できなくても、個人的な充足感があれば概念グッズとして成立します。ビジネスとして考える場合には、あらゆる方向性を探りながら、自社の得意分野を活用する可能性が広げられます。

概念グッズにもさまざまなものがありますが、デザインの自由度が高い缶バッジもおすすめです。簡単に作れるのでその場で色やデザインを選んで缶バッジを製作するサービスなども概念推し活に適しています。高品質で美しい缶バッジを提供できれば推し活をする人たちの心をつかみ、きっと満足させられます。