ノベルティは販促活動の重要なツールのひとつですが、個性を出すにはどうすればよいか悩むものです。ノベルティを通じて顧客に印象づけるためには、同業他社と差がつくような面白さがカギとなります。どうすれば興味を持って手にしてもらい、話題をさらうようなノベルティを企画できるのでしょうか。今回は、ノベルティの概要、少し変わった面白いノベルティの実例、ノベルティを活用した販促へのヒントとなる情報を解説します。
ノベルティとは何か?
ノベルティは、日本のビジネス一般においては、宣伝・販促を目的として配布する物品を指します。基本的には、企業が無料配布する名入りの品物を指す場合が多く、認知度の向上を重視する場合や、記念品的な用途で利用されています。
「ノベルティ」「販促品」「プレミアム」との違い
ノベルティと良く似ているものに販促品があります。販促品は「販売を促進する」ために配布する品で、購買や来店への直接的な訴求効果を期待するものです。例えば、コスメ用品やシャンプーなどの試供品、街頭配布する広告入りのポケットティッシュなど、それをきっかけとして来店したり商品を利用したりすることを目指しています。
プレミアムは、商品・サービス購入者への特典として渡す品です。ノベルティは未購入者も配布対象ですが、プレミアムは顧客をフォローするためという意味合いが強いのが特徴です。
ノベルティとしてよく使われる品物
ノベルティに使われる品物は、以下のように多種多様です。
- 文房具:ボールペン、付せん、マウスパッド、クリップ類など
- 日用品:タオル、タンブラー、カレンダーなど
- ファッション雑貨:バッジ、キーホルダー、Tシャツ、バッグ、ポーチなど
- 季節アイテム:うちわ、携帯カイロなど
- 衛生アイテム:絆創膏、マスクなど
このように、ノベルティに利用する品物は多岐にわたり決まりはありません。ネームデザインも含め、どのようにすれば印象を残せるかは各企業の工夫次第といえるでしょう。
ノベルティ制作について詳しくは 「効果的なオリジナルノベルティ製作のために知っておくべきポイントとは?」 をご覧ください。
企業の面白いノベルティ事例
企業が提供する面白いノベルティの事例を紹介します。
自社商品のミニチュア系
実際に販売されている自社製品をそのままミニチュア化したノベルティは、企業やブランドをすぐに想起させるためとても効果的です。
愛車と同じ形のキーホルダー、チョコレート型のマスクケース、缶ドロップのミニ容器入りプッシュピン、ミニバックパック、ガム型付せん、歯磨き型の消しゴムなど、商品のターゲット層が喜ぶノベルティを提供できます。
南関東日野自動車株式会社と新光重機株式会社のコラボ企画の事例では、ショベルカーやトレーラーのミニチュアセットをプレゼントするキャンペーンを展開して話題を集めました。
缶バッジ系
ファッションアイテムとしても、面白グッズとしても人気の高い缶バッジはノベルティの定番です。
面白い企画としては、キャラクターとご当地グルメのコラボデザイン、「王様」「大将」「ヒーロー」などネーム宣言型、複数の組み合わせでロゴやワードを変えられるパズルになるなどのクリエイティブ型、キャラクターが浮かび上がるデザインなどが挙げられます。
株式会社キデイランドの事例では、「カービィと絶品ご当地グルメのアートが可愛い超激レア缶バッジ」で大きな反響を呼びました。
SDGs系
環境問題に対する消費者意識の高まりとともに、SDGsに関連性のあるノベルティも注目されています。
再生素材を活用したエコバッグ、間伐材を活用したスマホスタンド、ペットボトルからつくられたファッションアイテムなどは、企業姿勢をアピールするという意味でも有効性が高いです。
株式会社NTTドコモがノベルティに活用したスマホスタンドは、東日本大震災で被災した南三陸町(宮城県)の森林の木材を使っています。売上の一部は森林保全や復興支援に還元し、さらに南三陸町の雇用創出にも貢献した商品です。
IT機器回り系
身近になったIT機器関連のノベルティも増えています。単なる実用品ではなく、デザイン性や独自性の加味されたアイテムが喜ばれます。
食品サンプルの形状のコードキャッチャーやUSBメモリ、ホログラムや立体型スマホ用ステッカーなど、購入してでも欲しくなるようなノベルティが登場しています。
株式会社ビッツでは、展示会用ノベルティとして、モバイル関連グッズのスマホ用クリップレンズをブース来訪者に配布しました。ソフトウェア開発会社の先進的なイメージが伝わるノベルティとして好評を得たようです。
日用品系
昔から日常に使えるノベルティはたくさんありましたが、最近はさらに進化を遂げています。
置いておくだけで目にとまるような面白トイレットペーパーや金塊型ティッシュボックス、注射器型ボールペンなどがあり、実用性と遊び心が両立しています。子どものいる家庭で喜ばれそうなバス・自動車型クリップも人気です。
なかには、自社の企業ロゴをそのままハンガーにしてしまったノベルティのアイデアもあります。アドビ株式会社が採用したこのアイデアは、もともとは一般のデザイナーによる提案から始まり、現在ノベルティ化が進められて注目されています。
食品系
食べられるノベルティにも工夫があります。企業ロゴ型クッキーや面白パッケージのお米、イベント名をプリントしたせんべいなどがあります。物品と違って形が残りませんが、美味しさとともに、提供する企業の存在を印象づけることができれば、ノベルティとしての役割を果たせます。
興味深い例が、株式会社スカイアーチネットワークスが手がける「サーバー屋のサバ缶」プロジェクトです。同社はCSR活動の一環として、震災被害を受けた宮城県石巻市にある水産加工業者に委託してサバ缶を商品化し、売上の一部を寄付してきました。プロジェクトのシリーズ第二弾として、NTTコミュニケーションズ株式会社の協力により、「世界をつなぐ会社のサバ缶」のノベルティを誕生させたのです。
面白いノベルティを使うことによるメリット・効果
面白いノベルティを配布するメリットや、期待される効果には以下のようなものがあります。
認知度向上:名入りのユニークなノベルティの配布を通じて、広くたくさんの人に企業や商品を知ってもらうことができるとともに、独自性のある企業という印象を与えられます。
イメージアップ:役に立つノベルティや面白いノベルティを配布することで好感度向上が期待できます。固いイメージで通っている企業が、思わぬ面白さを提供することで異なる一面を印象づけられます。
費用対効果:ノベルティはマスコミや広告を利用するのに比べると、低予算で効率的な宣伝効果が期待できます。配る相手に対してピンポイントに絞り込むことができ、名入りであれば使われるたびに企業名を目にしてもらえます。
個性の強調:独自のノベルティを通じて、面白い発想をする企業という印象が強くなり、一般的な販促品よりも企業名やブランド名を覚えてもらえる可能性が高まります。すり込みや引きとめ効果が期待でき、購入時の選択に好影響を与えます。
話題の提供:ユニークなノベルティであれば、会話のなかで話題にのぼる可能性があり、情報拡散につながります。
面白いノベルティを作成するためのポイント
評判や反応の良い面白いノベルティにするためには、以下のポイントに目を向ける必要があります。
「スベらないノベルティ」であること
ノベルティは、社内受けしても一般的に面白くなければ意味がありません。そのためには、内部だけで意見を出し合うのではなく、広く情報を集め、日ごろから顧客の声に耳を傾ける姿勢が大切です。
「推し」や「サステナブル」など、社会的に話題になっている要素をひととおり確認し、トレンドを押さえたノベルティの企画を検討するといいでしょう。
基本的には役に立つこと
面白さが先行して何も役に立たないと一過性の話題となり、すぐに捨てられる可能性があります。面白いと同時に役立つ、実用的であると長く使ってもらえるでしょう。
ただ実用的であるだけではなく、便利グッズ、利便性を高めるアイテムであれば理想的です。
「面白い」は属性によって異なることに留意
ある年代層では面白く受け止められても、属性が変わると興味を持たれないこともあります。ノベルティを提供するターゲット層と、「面白さ」のマッチングを考えることも重要です。
「自社ならでは」を意識する
戦略的には「なぜこの会社?」という意外性もありですが、一般的には提供元を連想できるアイテムのほうが効果的です。選択するアイテムやデザイン性と、事業や企業との関連性についても考慮しながら検討を重ねましょう。
面白いノベルティを作成して他社との差別化に役立てよう
ノベルティは顧客の手元に残すことのできる小さな広告です。個性を発揮できれば、他社との差別化につながり、企業やサービスの認知度アップに貢献します。
ターゲットと社会環境の変化に合わせていくためにも、ノベルティは小ロット多品種の製造が重要です。小ロット生産であれば、製造を委託するのではなく内製できるとさらに柔軟性を高められます。
例えば、デザインアレンジの幅が広い缶バッジは、多彩な表現が可能でノベルティにはぴったりです。缶バッジ製作を考えるのであれば、高品質なマシンで内製化が可能な「バッジマンネット」がおすすめです。自社の個性を際立たせるノベルティに悩んでいる場合は、ぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか。