今や、缶バッジは老若男女問わず多くの方が楽しみ、コミュニケーションを深めているツール。その缶バッジ業界でECサイト「バッジマンネット」を通じて絶大な支持を得ている株式会社ベックの強みはどこにあるのか、営業担当の山下将人が回答しました。
「バッジマンネット」の株式会社ベック
――まずは読者へ向けて、株式会社ベックについて教えてもらえますか?
山下:
株式会社ベックは2009年に設立されて以来、缶バッジマシン、缶バッジパーツをはじめとする缶バッジ関連商品を販売するECサイト「バッジマンネット」を運営しています。商品はアメリカなどからの輸入に加え、市場のニーズ調査やお客様のご要望に応じて国内製造した自社オリジナル商品も販売しています。
EC専門だけに、少数精鋭のスタッフで効率を追求しながらやることで、発送などお客様のご要望にもスピーディーに応じられる体制と、お求めやすい価格を両立しています。
――ベックの缶バッジマシンの特徴はどんなところですか?
山下:
日本で販売されている缶バッジマシンはアメリカ製と中国製、国産の3つが主流で、特にアメリカ製は最大のシェアを誇っています。ベックの缶バッジマシンもアメリカから輸入したものですが、そこに自社独自の1年間保証や、自動缶バッジマシンの場合は安全基準を満たすPSE(電気用品安全法)への対応、その後まで含めたメンテナンス体制をプラスして販売しているのが大きな特徴ですね。
機能面でいうと、中国製や国産の缶バッジマシンはパーツをセットするモールド(金型)が交換できる、つまり1台のマシンで複数のサイズの缶バッジを作ることができる仕様になっています。汎用性は高いものの、そのぶん丈夫さでは一歩譲るといいますか……。
一方、ベックの缶バッジマシンはパーツのサイズごとに専用設計されているので、とにかく本当に丈夫なんです。複数のサイズで作りたければ複数のマシンが必要ではありますが、数百個、数千個と缶バッジを作るお客様にはこの丈夫さでとても支持されています。
――1年間の保証期間とメンテナンス体制は確かに安心ですね。
山下:
こういったサービスは顧客ごとに管理されることも多いですが、ベックでは缶バッジマシンに1台ごとのシリアルナンバーを付与して「そのマシンに対する修理履歴」を管理しています。過去の故障の状態、修理内容などをすべて履歴として残していますので、安心していただけると思います。
――缶バッジパーツもアメリカ製を輸入しているのですか?
山下:
そうですね、輸入しているパーツもありますし、自社で開発して国内製造しているパーツもありますよ。どちらもあることで、お客様に選んでいただけますから。
実は、アメリカ製のパーツは圧倒的に価格が安いので、手軽に使っていただけるんです。ただ、品質に対しては日本国内よりもおおらかなところがあるので、お客様によっては価格が高くても国内で生産された、もっと繊細に品質管理されたものを求められることもあります。そこでお客様のニーズなども踏まえて、バランス良く揃えるようにしています。
コミュニケーションツールとしても活躍の場を増やしている「缶バッジ」
――この10年くらいの間にも、缶バッジが登場する場面はどんどん増えていると感じます。キャラクターグッズやPR用のノベルティグッズはもちろん、「レジ袋はいりません」、「花粉症です」といったメッセージを伝えたり、好きなもの・関心があるものをアピールしたりするためのコミュニケーションツールとしても使われるようになっています。
これまでとは違う業界のお客さまも増えているのではないかとお見受けしますが、具体的にはどのような団体や企業様が缶バッジを活用していますか?
山下:
そうですね。官公庁が主催するスポーツ大会などのイベントや、自治体の運営する美術館・博物館などの施設や観光スポット、ご当地キャラクターなどをPRするために、缶バッジマシンやパーツをお求めいただくことも増えています。
スタンプラリーなどの景品として差し上げたり、参加証として使った後、記念に持ち帰っていただいたりしているようです。世界的なスポーツイベントを誘致する際にも、ベックの缶バッジが活躍したと聞いています。そうやって頒布された缶バッジを着けてもらうことで、コミュニケーションのきっかけになることもありますよね。
イベントの際には、会場にマシンを持ち込み、その場で似顔絵を描いてバッジを作るなんて話も聞きますので、そうなるともはや、缶バッジを作ること自体がコミュニケーション手段になっているというか。扱いやすいマシンなので、就業支援施設などで缶バッジを制作・販売するためにお求めいただくこともありますし。
缶バッジはデザインひとつで価値をプラスできる
――似顔絵の缶バッジ!まさに世界に1つだけのプレミアものです。「缶バッジマシンを購入する」ことで、こうした「超小ロット」の缶バッジも気軽に作れるわけですね。
山下:
そうなんです。他にも、鉄道会社様が各車両のヘッドマークをあしらった缶バッジをつくられたり、アニメの公式グッズもキャラクターの顔や姿ではなく「キャラクターが愛用している小物」だけがデザインされたマニアックな缶バッジを作ったりされている事例もあります。
同じ素材、同じ形状でもデザインが違えばまったくの別もの、一つひとつのデザインに価値があり、コレクション性を高められます。なにより、大掛かりな設備投資をせずとも、細かく品目を増やせるのは魅力的ですよね。
――用途も広がって、初めて缶バッジを手作りしようと考える方も増えているのではないかと思うのですが、ベックでそういったお客様のために心がけていることはありますか。
山下:
ECなので、価格を常にオープンにしていることですね。缶バッジマシンのようなオリジナルグッズ関連の商品やサービスは「問い合わせをして、見積りを取らないと注文できない」というケースもよくあるのですが、初めてで相場もなにもわからないのに、いきなり見積もりを取るための問い合わせをするのはハードルが高いじゃないですか。
――確かに、一度問い合わせたら注文するまで執拗に営業されないかとか、断るのも気を使うとか、いろいろ考えてしまいますよね。ただ、それだと「大量注文してくださるお客様に特別なお値引きをする」といったこともできなくなりますよね?
山下:
ベックは、内々のお値引きはやりません。表示価格以外の価格はない、どのお客様にも公平であることを重視しているので。それが面白いことに、値引きの交渉をなさるお客様でも、こちらが「できません」とお伝えすると「わかりました」と表示価格で購入してくださるんです。そういった意味で、初めてのお客様にも安心して購入していただけるのではないかとは思いますね。
お客様の缶バッジ関連製品をしっかり守る、缶バッジのために管理された倉庫
――とはいえ、それだと「大量注文を逃してしまう」ということにはなりませんか?お客様にはどうやってご納得いただいているのでしょうか。
山下:
そこはお客様にも大きなメリットがあります。例えば「50万個発注するので値引きを」というお客様がいらしたとしても、50万個一度に受け取られるようなケースは稀で、大抵は分納を希望されるんです。それだけの数を手元に置くということは、倉庫スペースや保管費、人件費など保管のコストが発生しますから。倉庫業務をアウトソーシングしているならなおさらです。
そこで私たちは「ベックの商品は5万個ご発注いただいたときに、1個あたりの単価が最も安くなります。それ以上は、10万個でも50万個でも同じです。ですから、5万個ずつ都度発注していただくのが、保管料も軽減できてよりお得です。在庫は常時30~100万個ありますから、欠品でお待たせすることもありません。発送の速さにも自信があります」といった風にご案内しています。分納と同じように私たちがお客様の倉庫代わりになって、しかも一括注文のように余剰を出すこともないわけです。
――なるほど。それなら確かにお客様にメリットがありますね。
山下:
そうなんですよ。そもそも、倉庫での保管環境にもとても気を使っているので、そういう意味でも都度ご発注いただく方がおすすめです。
缶バッジパーツは薄い鉄板にブリキでメッキ加工が施されているのですが、ブリキは湿気に弱いので、高温多湿の環境に置くとサビてしまうんです。そこで、出荷時はもちろんのこと、お客様の手元で保管されている間にもできるだけサビることがないように工夫しています。倉庫内で大きな扇風機を回して空気を循環させ、業務用除湿機で湿気を取り除き、倉庫内の湿度と温度も常にモニタリングしています。
そして、すべての段ボール箱に入っているサビ防止のための防錆剤を、定期的に交換しています。一部の商品ではなく、すべての商品を定期的にサビていないかチェックして、防錆剤を交換して……膨大な数ですので、正直大変な作業ですが、それだけこの保管環境は重要だと思っていますね。お客様には「ベックにあるから、在庫は持たなくていい」という感覚になっていただきたいですから。
お客様と共に缶バッジのビジネスで成長していきたい
――缶バッジパーツにこれだけのリソースをかけられる秘訣はどこにあるのですか?
山下:
マシンとパーツの販売に専念して、「缶バッジの制作そのものを請け負っていない」ことですね。だからこそ、得意先には缶バッジの制作を手掛けている企業様もありますし、競合しないので情報交換も盛んに行っています。缶バッジの制作を請け負うとなれば、それに伴う生産や品質管理などのリソースも必要になりますが、ベックはその分をマシンやパーツの販売に振り向けて効率を担保することで、お客様に還元しているのです。
――主力商品である缶バッジ関連商品について、今後やっていきたいことはどんなことですか?
山下:
ベックが独自に開発したオリジナル商品「Z安全ピン」をもっと普及させたいですね。日本国内で缶バッジというと、やはりポピュラーなのは一般的な安全ピンです。ただ、缶バッジを付けようとするとピンが立ったり寝たり、くるくると動くので針先もあちこちに向いてしまって、決して安全とは言い切れないんです。
Z安全ピンは安全ピンの「安全」を再定義するパーツだと思っています。ピンが立ったまま固定されますから、針先も動かずより安全に付けていただけます。これを今後、ベックのすべてのラインナップに対応させ、みなさんに安全に缶バッジを楽しんでいただけるように推していきたいですね。
――今や缶バッジは子どもからシニアまで幅広い年代の方が利用されるアイテムですから、安全性は重要ですね。最後に今後のベックについて、会社としての展望を聞かせてください。
山下:
缶バッジのビジネスにおいてさらに成長していきたいですね。それも決してベックだけが成長するのではなく、お客様と一緒に。缶バッジがコミュニケーションツールになっている今だからこそ、お客様とベックもコミュニケーションを大切にしてWin-Winの関係を築き、お互いに成長することを目指していきます!