缶バッジ製作の魅力のひとつは、デザイン作成が自由自在なことです。そのため、デザインをいかに美しく見せられるかが、缶バッジ事業成功の可否を決める重要なポイントになります。このとき印刷の質によっては、同じデザインでも缶バッジの価値が変わる可能性があります。本記事では、デザインの印刷をよりきれいにする方法やポイントについて解説します。
缶バッジ印刷の質の重要性について
缶バッジ製作業者は多数存在するため、市場で競争力をつけるためには差別化が重要です。推し活ブームに乗って、昔ながらのおなじみのアイテム、缶バッジの需要が高まっています。アニメやキャラクターグッズのなかでも、さまざまな種類を集められる缶バッジはダントツの人気を誇ります。
市場規模の拡大を受け、キャラクターグッズ関連以外の業種からの新規参入も増加しています。価格が比較的低く、サイズ的にも小さな缶バッジですが、マニアやファンにとっては大きな価値があります。その価値を支えるのが、美しいデザインです。
そして、コレクション性の高い缶バッジにとってデザインは命ですが、デザインを美しく印刷する技術も重要です。低価格や変わった形状、顧客サービスをセールスポイントとする缶バッジ製作業者もありますが、缶バッジ印刷の質が低ければ満足度もリピートも望めません。
目新しさだけに走らず、まずは缶バッジの出来栄えに直結する印刷の美しさをしっかりと担保するべきであるといえるでしょう。
缶バッジ印刷の質を上げるには?
缶バッジ印刷の品質を向上させる方法を解説します。
缶バッジの構造を知る
基本の缶バッジは、土台となる上下金属パーツと表面のフィルムで構成されています。
一般的には土台となるパーツの上に、デザインを印刷しカットした紙とフィルムをプレスして製作します。簡単な構造なだけに、印刷の質がそのまま缶バッジの品質に直結します。
缶バッジのデザインに合わせた用紙を選ぶ
用紙の質によって、印刷の仕上がりが異なります。印刷用紙には、主に以下の種類があります。
- 光沢紙:光沢のあるコーティング用紙。写真などを印刷するときに多く使われる。レーザープリンターでは使用できない
- マット紙:光沢度の低いつや消しタイプ。仕上がりは落ち着いた雰囲気になる
- コート紙:コート剤を塗布しているため滑らかでつやがある
用紙の厚みの単位は、坪量と呼ばれる1平方メートルあたりの用紙重量で表されます。
- 52g:新聞と同じ厚みの薄手用紙
- 60g~80g:一般的に文書のコピーや印刷に使用される
- 100g~150g:やや厚めの用紙で表紙やグリーティングカードに使われる
- 200g~220g:さらに厚めの用紙ではがきの秤量220gと同程度
また、用紙の違いの要素として白色度があります。白色度は0%~100%で表現され、数値が高いほど白くなります。一般的なコピー用紙では80%~95%、新聞紙で約55%の白色度です。
印刷で出したいデザインの効果を考えて用紙を選ぶことが大切です。厚みがありすぎると、しわや印刷面にひずみが発生するおそれがあります。
缶バッジ製作に適切な印刷方法を選ぶ
企業や印刷会社で使用される印刷方法には、以下のタイプがあります。
・インクジェット方式
インクジェットプリンターを用いる印刷方法です。微粒子インクを圧力や熱によって射出させて定着させます。インクジェット方式には、染料と顔料の2系統があります。染料は発色が良いですが、水性のためにじみが出る場合があります。一方、顔料の発色はやや抑えめです。
・レーザー方式
レーザープリンターを用いる印刷方法です。レーザー照射によって帯電させた感光体に、トナーと呼ばれる顔料粉末を付着させ、熱や圧力によって定着させます。レーザー方式は、印刷が速いため効率性に優れており、インク(トナー)消費量が少ないためランニングコストが良いという利点があります。一方で、熱に弱い用紙には不向きの印刷方式です。
印刷の仕上がりは、プリンターの解像度が大きく関係しています。dpi値で表される解像度のみがプリント品質を示すものではありませんが、一般的には解像度が高いほど細密な印刷となり、詳細な表現が可能です。
そのほか、「版」を使用して印刷する方法もあります。印刷データからC(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)・K(ブラック)4色の「版」を作成した後に印刷します。
ビジネス向けプリンターのメーカー比較
検知機能」「ロール紙残量推定機能」を搭載した機種もあります。
EPSON
あらかじめ専用の紙にデザインをプリントし、インクを熱で気化させ、転写したい素材に染みこませるプリント方法である昇華転写機能を搭載。小ロットのオーダーにも対応しやすく、少ない工程でオリジナル商品を作成できます。作業スペースや仕事量に応じたラインアップが提供されており、事業規模に合わせた選択が可能です。
Roland
同社は1台のプリンターで、印刷と同時にイラストや文字などの輪郭を切り抜くことができる「Print&Cut」技術の先駆者として知られています。小文字や精緻なテクスチャ、グラデーションなどの細部を美しく表現できるUVランプや、高精細かつ最適なインクコントロールを可能にする新開発プリントヘッドなど、デザインが命となる缶バッジ制作に大きく貢献します。
Mimaki
美しい画質と高い生産性に加え、省作業をアシストする高い付加価値機能を備えたフラッグシップモデルを始め、高い技術力により印刷作業をサポートする多彩な機種を提供しています。高画質で高精細なサイングラフィックスを実現しつつ、高速化した印刷速度で短納期の受注にも対応します。
HP
圧倒的なプリントスピードと高速で高品質のカラープリントを実現。迅速で美しい仕上がりが求められる缶バッジ制作を円滑に進行できます。「iFデザインアワード2016」において、プリンターの主な要素となる機能が明確に視覚化されていることが認められました。ユーザーフレンドリーでありつつ、最大限の印刷効率を提供しています。
その他、缶バッジを美しくみせる方法
缶バッジの製造では、紙以外に印刷する方法もあります。
紙を使わずフィルムにデザインを印刷する
紙にではなく、フィルムに印刷することでデザインがより鮮明になります。紙よりも表面が滑らかなフィルムの場合、発色も良くなるためより美しい仕上がりです。
フィルムの裏側に印刷することでインクが露出せず、摩擦に強くデザインがキズつくこともありません。ただし、この方法を採用するためには、フィルムに直接印刷できるタイプの印刷機材が必要です。
紙に印刷してフィルムで工夫する方法も
紙に印刷する場合でも、使用するフィルムを変えるだけで仕上がりに大きな違いが出ます。例えば、ホログラムフィルムは立体感を与え、角度により虹のような光を見せます。車のライトに反射する、リフレクタータイプもあります。
デザインを鮮明に見せたいときには、高透過フィルムが効果的です。高光沢フィルムは、表面に美しいつやを与え、高級感を加える効果があります。
印刷の見直しで缶バッジの質を向上させよう
魅力的な缶バッジを製作するためには、美しく印刷することが大切です。印刷方式はもちろんのこと、素材となる紙の品質やフィルムなど、缶バッジに最適な方法を選択し直してみてはいかがでしょうか。
缶バッジ全体の品質を向上するには、紙やフィルムだけでなく、パーツ、それらを組み合わせるマシンも良いものを選ぶ必要があります。「バッジマンネット」では、缶バッジの本場アメリカ製の上質なパーツやマシンを提供しています。缶バッジのクオリティ向上をお考えの際には、ぜひご活用ください。