ライセンスビジネスは、キャラクターなどの著作物の権利者が使用権を他者に提供することで利益を得るビジネスのことです。キャラクターマーケティングが盛り上がりを見せるなか、キャラクターグッズやその広告をあらゆるところで目にするようになり、ライセンスビジネスはとても身近なマーケティング手法といえます。今回は、ライセンスビジネスの概要やメリット・デメリット、具体的にどのようなグッズがあるのかなどを紹介します。

ライセンスビジネスとは?

ライセンスビジネスとは、著作物や商標の権利者が他企業とライセンス契約を締結し、キャラクターなどを使用する権利を提供するビジネスのことです。権利者をライセンサー、契約を結んで著作物や商標を使用する側をライセンシーといいます。

ライセンサーは、ライセンシーからキャラクターや商標などの使用料(使用許諾料)を受け取ることで利益を得ます。ライセンシーは契約に基づいて、対象となるキャラクターをあしらった自社商品を開発・製造できます。

ライセンスビジネスを主要事業とする企業は多く、扱われる著作物の種類も多岐にわたります。

ライセンス契約で扱われる権利と許諾

ライセンスビジネスを展開するためには、ライセンスにかかわる権利の種類と、使用目的ごとにどのような許諾が必要になるのかを把握する必要があります。

ライセンスは許可や許諾といった意味をもち、本記事で取り扱うライセンスビジネスにおいては版権(著作権)と商品化権の2つを指します。版権は著作物の複製や販売に関する権利で、商品化権は商品の販売や販促活動を目的とし、特定のキャラクターやブランドを利用する権利です。

ライセンス契約の締結にあたっては、利用目的ごとの許諾が必要です。例えば、キャラクターを広告や商品に使用する場合は複製・譲渡の許諾を得る必要があります。トラブルを防止するためにも、ライセンス契約を結ぶ際には使用する場面や期間など、使用許諾の範囲を明確に定めなければいけません。

キャラクタービジネスの市場動向

日本のキャラクター市場は、ファン層の幅が広いことが特徴です。株式会社矢野経済研究所の調査によると、国内のキャラクタービジネス市場は、2022年度では前年度比101.3%の2兆6,198億円と予想されています。

キャラクタービジネスについては、以下の記事で詳しく解説しています。

キャラクターマーケティングとは? 効果や具体的な手法を解説!

企業が版権キャラクターを起用する際に知っておくべきこととは?

ライセンスビジネスにかかるコスト

キャラクターの使用にあたっては、ライセンシーがライセンサーへライセンス料を支払います。ライセンス料はキャラクターを使用する媒体によっても異なりますが、上代(仕入れ先が設定した商品の販売価格)のおおよそ5〜6%ほどです。

ライセンスビジネスで知っておきたい著作権ルール

ライセンスビジネスでは使用目的に応じた許諾が必要ですが、著作権の区分によっては許諾を得ることなく使用できるケースもあります。ここでは把握しておきたい用語について見ていきましょう。

All Rights Reserved.

「All Rights Reserved.」は、すべての著作権がコンテンツの製作者にある状態を指しており、著作者の許可なしに利用できないという意味です。

パブリックドメイン

著作権は基本的に、権利者の死後70年間保持されています。70年間が経過して、著作権が無効となっている状態の著作物を「パブリックドメイン」といいます。パブリックドメインのコンテンツは、権利者の許可を得ることなく、自由に流通させることが可能です。

クリエイティブ・コモンズ

「クリエイティブ・コモンズ」とは、著作権に関連した活動をしている国際的非営利組織とそのプロジェクトの総称のことで、「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」というツールを提供しています。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは、著作物の作者が作品の使用に関するルールをわかりやすく伝えるためにつくられ、ルールが明記されているので使いやすいというメリットがあります。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスには「BY(表示)」「NC(非営利)」「ND(改変禁止)」「SA(継承)」という4つのアイコンが用いられており、それぞれが示す「作品を利用するためのルール」を守ればその作品を自由に利用できるという仕組みです。

ライセンスビジネスのメリット

ライセンスビジネスには、商品そのものの売上だけではなく、広告費以上の宣伝効果や、競合商品との差別化が図れるなどのメリットがあります。

メリット1 : 商品の売上や宣伝効果が向上する

ライセンシーにとっては、認知度の高いキャラクターを商品パッケージやサービスに起用することで、そのキャラクターを好む潜在顧客への訴求が高まり、売上向上が期待できます。

また、商品だけでなく、広告や店頭で配布するノベルティなどにキャラクターを使用するという選択肢もあります。広告やノベルティを実際に手にした人が、SNSやWebメディアで情報を拡散することによる効果も期待でき、コストを抑えて大きな宣伝効果が見込めます。

ノベルティ制作について詳しくは 「効果的なオリジナルノベルティ製作のために知っておくべきポイントとは?」 をご覧ください。

メリット2 : 商品の差別化が図れる

キャラクターの魅力を生かした商品展開をすることで、類似製品との差別化が図れます。商品自体の性能だけではなく、キャラクターのグッズという付加価値が加わるからです。

ライセンスビジネスのデメリット

ライセンスビジネスは、適切に活用すれば、大きな利益を引き出すことのできる方法です。しかし、キャラクターや作品のイメージにかかわるレギュレーションや、ライセンサーとのコミュニケーションが適切になされていない場合には逆効果になります。

デメリット1 : キャラクターのイメージを損ねない配慮が必要になる

ライセンスビジネスは効果が高く、競合との差別化を図れる反面、キャラクターの扱いに配慮しなければなりません。キャラクターのイメージに合わない商材への広告に用いたり、キャラクターのイメージを損ねる使い方をしたりすると思うような効果を得られません。

キャラクターのイメージを生かしたプランニングや、ライセンサーとの密な調整が欠かせません。

デメリット2 : 通常よりも開発・販売に手間がかかる

キャラクターを使用したライセンスビジネスの場合、許諾を得るまでの交渉や権利者の監修など、開発・販売までには工数や時間がかかります。自社で完結しないことが多いため、スケジュールには余裕を持たせなければなりません。

人気のライセンスグッズ

ライセンスビジネスでは、さまざまなグッズが製作されています。雑貨や食品など、特に人気のアイテムを事例とともに紹介します。

ファッション系

ファッションアイテムはライセンスグッズに取り入れやすいジャンルです。特にTシャツやトートバッグなどは、日常的に使いやすいことから人気のアイテムです。
アパレルブランドの「グラニフ」では、絵本や漫画などの、さまざまなキャラクターとタイアップした商品展開で人気を集めています。

台所用品

キッチン関連のライセンスグッズも人気です。水筒やマグカップなど、日常生活に使いやすいアイテムがそろっています。

食品

食品関連では、キャラクターをパッケージに印刷して販売するといった方法が見られます。例えば、不易糊工業株式会社のキャラクター「フエキくん」を模した容器に入ったパインアメや、テレビドラマのキャラクター「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」をパッケージにデザインしたふりかけなどが販売されています。

小物系

缶バッジやキーホルダー、マグネットなどは手ごろで使いやすく、さまざまな場面で取り入れられています。

小物類は低単価で複数種類製作しやすいことが特徴です。特に缶バッジは製造設備やコストも抑えやすく、商品だけではなく、ノベルティや販促グッズとしても活用できます。

ライセンスビジネスを活用して売上や宣伝効果を高めよう

キャラクターの魅力を生かせるライセンスビジネスは、商品の売上や宣伝効果を高められる効果的な手法です。ビジネスの展開にあたっては、作品のイメージや著作権上の制約などに配慮が必要ですが、その可能性は広く、これからも伸びていくマーケティング手法といえるでしょう。

ライセンスビジネスで定番アイテムのひとつである缶バッジは、自社で内製しやすく、低コストで高品質な商品製作が可能です。内製するための設備を考えている場合は、高品質の缶バッジマシンや素材パーツを各種とりそろえている「バッジマンネット」がおすすめです。