ストリート感あふれるタッチと可愛らしいキャラクターが大人気のKAMAKIRIさん。
オリジナルフィギュアの制作、大人気アニメ「北斗の拳」「ヤッターマン」「ハクション大魔王」とのコラボレーションなど多忙な日々を過ごされています。
KAMAKIRIさんのインタビューは、前編と後編の2回に渡ってお送りします。前編では、アーティスト活動を通じた素敵な缶バッジの活用法を教えて頂きました。
後編となる今回は、KAMAKIRIさんの現在までの軌跡やアーティスト活動の原点である「遊び」についてじっくりとお話をお伺いしています。
「モノ作りが大好きだから、美大に行ってくるね」そして、誕生した愛すべきキャラクターたち。
バッジマンネット:
お気に入りのキャラクターやアーティストの缶バッジを洋服に付けて褒められたら嬉しいですね。KAMAKIRIさんは美大を経てアーティスト活動をされていますが、幼い頃からアートの世界を目指していたのですか?
KAMAKIRI:
お絵かきが好きな子供ではありましたが、高校時代はプロのサッカー選手を目指して練習に打ち込む日々で、美大という存在すら知りませんでした。
高校2年生の時、サッカー部の友人が描いたデッサンに感動し、彼が美大を目指していることを知り、受験を決意しました。
ただ、私が通っていた高校では、国公立や難関私立大学を受験するのが一般的で、美大や音大に進学する生徒はほとんどいません。
私自身、高校2年生まではプロになれなかったとしても、大学でサッカーを続けるものだと思っていたので、美大は、かなりレアな選択肢でした。
ただ、両親は快諾し応援してくれて、無事に美大に合格し進学することになりました。
バッジマンネット:
美大に入学した頃から現在のようなキャラクターアーティストを目指していたのですか?
KAMAKIRI:
そんなことはありません。もちろん、将来的に何らかのクリエイティブな仕事に就くだろうとは思っていましたが、当時、高校生だった私に未来を具体的に描けるソースはなく「モノ作るの好きだから美大行ってくるね」そんなスタートでした。
美大では彫刻を専攻し、卒業後は一般企業への就職という道もありましたが「自分のキャラクターを生み出したい」という思いが強く、飲食店や保育園などでアルバイトをしながらフリーランスのイラストレーターとしての仕事を受けてきました。
当時の仕事のなかには、現在のタッチからは想像もつかないようなリアルタッチの絵なども多く、クライアント様のご要望に合わせて色々と描いていました。
バッジマンネット:
アルバイトをしながら創作活動を続けてきたのですね。それにしても、保育園で働いておられたとは驚きです。
KAMAKIRI:
そうですよね。当時はもう少しおとなしい外見だったと思います。保育園は大変なこともありましたが、子供達と遊ぶのはとても楽しかったです。
金銭的に最も苦しかった時期は、昼間は保育園、夜は居酒屋、その合間にクライアントワークの〆切に追われていましたが、それはそれで充実した日々だったと思います。
コンセプトは「楽しいから一緒に遊ぼう」フランクに遊びを提供したい。
バッジマンネット:
キャラクター作りが大好きなKAMAKIRIさんですが、作品のコンセプトなどあれば教えてください。
KAMAKIRI:
作品のコンセプトは「遊び」です。「楽しいから一緒に遊ぼう」に尽きると思います。
もちろん私自身も遊ぶ時間を大切にしており、最近は指でスケートボードを滑る「フィンガーボード」というものに凝っています。
「フィンガーボード」はプレイ動画を見ていただくと分かりますが、かなり奥が深いですし、熟練した技を繰り出すには相当な練習が必要です。
バッジマンネット:
もしかして、そのコースはフィンガーボード専用にKAMAKIRIさんが作られたのですか?
KAMAKIRI:
そうです。街を歩いていて、手すりや階段などを観察して「こんなコースがあれば面白いな」とアイディアを形にしています。
それから、フィンガーボードの技は非常に奥深くて、ひとつの技を完成させるまで物凄く鍛錬が必要です。そのため、毎日「今日のテーマ」を決めて、その技が成功するまで続けています。
けん玉やスケートボードと同じように、何度も何度も挑戦して技が決まった時の嬉しさは例えようもありません。
他にも、カードゲームや釣りなど力を入れている遊びはたくさんあって、カードゲームに関しては来月大会に出場するので、今から本当にワクワクしています。
釣りはまだ初心者ですが、なんと最近ウナギが釣れました。まさかウナギが釣れるなんて想像もしていなかったので、それはもう大興奮でした。
「格式高いアート」ではなく、フランクな「遊び」を皆さんに提供していけたら良いですね。
バッジマンネット:
今後のアーティスト活動の展望などについて教えてください。
KAMAKIRI:
今はフィギュアの試作などで忙しいですが、将来的には全く違うものを手掛けていけたりと「あの頃はフィギュアばっかり作っていたなあ」と振り返る日がくるかもしれません。
アーティスト活動では、大きなプロジェクトをいつでも引き受けられるレベルを維持できるようにしています。
いつの日か、自身がプロデュースした遊園地や新しい乗り物などができたら最高ですね。
それから、私が作ったキャラクター達と一緒に過ごすことで、朝、目覚めた瞬間から「今日は何して遊ぼうか」とワクワクしていた子供時代の感覚を取り戻してもらえたら、こんなに嬉しいことはありません。心がイキイキと動き出すような作品を提供していきたいと思います。