「感動体験」などよく聞かれますが、これまでのビジネスでは顧客の期待を上回るサービスを提供することが重要だとされてきました。

コロナ以前、インバウンド顧客のようなそれぞれに全く異なる人々に対し、多くの企業が「おもてなし」によって丁寧で質の高いサービスを提供してきたことに間違いはありません。

しかしその一方では、「日本のおもてなしについてどう感じますか?」と外国人に質問してみると、「ウェルカム感が感じられない」というコメントが返ってきたりするそうです。

「おもてなし」の心で接しているスタッフには衝撃的でしょうが、友達のようにカジュアルに顧客を迎え入れるサービスが一般的な国では、日本のサービスはフォーマルでよそよそしいとされても不思議ではありません。



「いらっしゃいませ」の言葉だけでは、外国人にもみんなに通じるウェルカム感は出せない

実際ある調査によると、求めるサービスを受けた場合と期待を超えるサービスを受けた場合では、それによりロイヤル顧客は増えたかどうかにほとんど差が見られなかったそうです。

人々はサービスに対して期待を超えるかどうかよりも、より迅速、より簡単であることを求めており、例えばスーパーのセルフレジが普及したことに見られるように「自分で簡単に解決したり完結したりできるのであればそうしたい」という需要は今後も増えていくでしょう。

弊社の缶バッジにおいても、バッジをつくるところから顧客に提供するところまで、クライアントが自分でできる気軽さがサービスのリピートにつながっています。

例えば、自分で缶バッジマシンを使用して缶バッジ製作をする場合、従来必要だった注文や配送の手間・時間をカットして、必要なタイミングで毎日でも缶バッジをつくることができます。

中には、缶バッジをプレゼントするイベントを翌日に控え「一晩でバッジを200個つくって間に合わせました」というコメントをクライアントからいただくこともあります。



缶バッジは材料を在庫で持っておけばデザインは自由に変えることが可能。イベントによって必要な数だけを準備でき、「200個くらいなら一晩あれば間に合う」という声もある。

これまで「おもてなし」は顧客の期待を先読みするようなサービスであり、その結果顧客としてはは窮屈さを感じていた部分もあるのかもしれません。

例えば昨今では、業務用エステ機器を自分で使ってエステをするセルフサービス型のエステティックサロンが業界に登場し、創業後たった3年で全国28店舗展開へとサービスを急成長させています。

このエステティックサロンに関しては、コロナ禍でセルフサービスをさらに進歩させ、自宅で業務用エステ機器を使って自分でケアをできるサブスクリプションを開始し、予約待ちが1ヶ月となるほどの好スタートを切っているそうです。



「自分でできたらいいのに…」という顧客の不満を解消するサービスが急成長

顧客の期待を超えて喜ばせることに成功したとしても、アイデアや方法はその時々の状況で異なります。

あるスタッフがある顧客に対して成功した方法を、別のスタッフが別の顧客に対して応用できるチャンスは少なく、期待を超えるサービスは汎用性の低い戦略になります。

缶バッジもそうですが、セルフサービスの方が早く気軽で、顧客の求める範囲をより広くカバーできる場合が多くあるのではないでしょうか?

弊社ではセルフサービスによる手軽さを維持しながら、クライアントが自身でできる探索範囲を広げるべく、缶バッジの使用用途を増やしたり、缶バッジまわりの新たな技術を磨いています。



写真立てより気軽な、リモートワークのお供に便利な愛犬缶バッジ

スマートフォンで情報やレビューが手に入り、調べることに不自由の少ない時代ですから、求められるのはきめ細やかなサービスよりも、顧客に自身でできる範囲を広げてくれるサービスになってくるでしょう。

顧客の期待を超えるサービスでロイヤル顧客を増やそうというのは言い換えるなら、コートの中央からシュートを打って得点しようとするようなもので、成功する可能性の低さが実態として見えてきています。

そもそもインバウンド顧客のように生まれ育った国が違う場合はもちろんのこと、その時の顧客の心境やタイミング、価値観などによっても顧客が感動や喜びを感じる度合いは異なります。

期待を上回るサービスを受けたことによって顧客がその後、その企業の長期的な顧客になるかどうか、売り上げに貢献するかどうかといったメリットは、企業の考える期待値と大きなギャップがあるのです。



セルフサービスの幅が広いほど、作品を表現する媒体として缶バッジを活用しやすくなる。

世界を見渡せば、企業はますます、セルフサービスによる問題解決をより的確に行うために投資をするようになっています。

世界有数のリサーチ会社であるガートナーは最新の発表の中で、2025年までにオフィスワーカーの半数以上が、アプリケーションに組み込まれたAIから意思決定のアドバイスやサポートを得るようになると予測しました。

セルフサービスの方が気軽に早く問題が解決できるだけではありません。缶バッジのようにセルフサービスが自分でできる範囲を広げる場合、従来型のサービスよりも顧客の期待を超える発見や喜びを提供できる可能性も大きくなるというのがこれからの常識になりそうです。