頭の良さや体の大きさに加え、人間のように豊かな感情を持っていることなどから、動物園の中においても人気の高い動物、ゾウ。
しかしその大きさゆえに、基本的には堀や柵などを挟んで、少し離れた場所からでないと鑑賞することはできません。
そうした状況のなか、タイから専門のスタッフを呼び最適な飼育や調教を行うことで、ゾウに乗ったり触れたりできる体験を提供しているのが 市原ぞうの国 です。
「そのような取り組みには、絶滅の危機に瀕しているゾウに興味を持ってもらうという意図がある」と語るのは、市原ぞうの国で広報担当を務める佐々木麻衣さん。
取り組みの一環として缶バッジが役に立っているとのことで、今回は、市原ぞうの国における缶バッジの活用事例についてお話を伺います。
入園券の代わりに缶バッジを利用することで、会話のきっかけを作る
「動物園でゾウを見るというと、少し離れた場所から眺めるというイメージがありますけど、ゾウに表情があることや、ゾウに毛がたくさん生えていることなど、近い距離で見てもらうからこそ分かることや感じてもらえることってあると思うんです」
「そうした体験を通してゾウを好きになっていただければ、『野生のゾウはどうしているんだろう』ということに対しても興味を持つきっかけになっていきますよね」
「そういったことが、絶滅に瀕している動物の保護につながる第一歩になっていくのではないかと思うんです。ですので、市原ぞうの国では、まず動物を好きになってもらうっていうことを大切にしているんですよ」
そのために市原ぞうの国が行っている取り組みの一つが、ゾウが絵を描いたり、フラフープを回したりする様子を間近で見ることができる「ぞうさんショー」です。
ショーの後には、ゾウの背中に乗ったり、鼻にぶら下がったりできるアトラクションも開催されていますが、その背景には、ゾウと一緒に楽しい時間を過ごしてもらうことを通して、ゾウの生態に関心を持ってもらいたいという意図があるのだと言います。
さらに佐々木さんによれば、ゾウのことを知ってもらうために毎年開催しているイベントがあり、その日に活躍しているアイテムが缶バッジなのだそうです。
「年に一回、うちで生まれた5匹のゾウさんと同じ誕生日であったり、名前の漢字に同じ文字が含まれているお客様を、無料でご招待するというイベントを行なっている日があるんです」
「その時に、ゾウさんがプリントされた缶バッジを入園券としてお客様に渡してお洋服に付けてもらうようにしていたんですけど、今ではそれがお客様とコミュニケーションを取るための良い目印となっています」
「バッジをつけている方とは、『同じ誕生日なんですか?』とか『同じお名前なんですか?』という風に、自然に会話をすることができるんですね。そこで会話が盛り上がると『どうしてゾウは絵が描けるんですか?』という風に、逆にお客様から質問していただくことがよくあるんです」
「そんな風に、ゾウに対して抱いてくれた疑問に答えることが、より深くゾウのことを知ってもらうためには大切なんですけど、その良いきっかけとして缶バッジを活用させてもらっていますね」
ゾウは動物園で繁殖させることが難しく、国内でも出産事例は十数件しかありません。そうした状況の中でも、市原ぞうの国ではゾウを海外から輸入するなどして、繁殖にも力を入れている動物園なのだそうです。
そのため、毎年繰り返しイベントを行うことは、子ゾウが成獣へと成長していく過程を見てもらう良い機会にもなっているのだと佐々木さんは語ります。
そうしたゾウたちと同じ誕生日、同じ名前のお客様に渡される缶バッジは、それぞれのゾウに対して親近感を持ってもらうことにも一役買っているのかもしれません。
時間をかけずに制作できる缶バッジは、ゾウの誕生記念品にぴったりだった
年に1度のイベントの他にも、それぞれのゾウの誕生日の記念品として販売するなど、様々な用途で活用されている缶バッジ。
その缶バッジを使い始めるきっかけも、ゾウという動物ならではのものだったと、佐々木さんは次のように教えてくださいました。
「ゾウが生まれる時って、100キロとか150キロくらいの大きさで生まれてくるんですけど、専用のエコー検査機がないので、事前に性別を知ることができないんです」
「だから、誕生記念のグッズを作ろうとしても、性別に合わせたグッズなどを事前に準備しておくことができなかったんですよね。でも、生まれた後からグッズを発注しようと考えても、デザインや制作期間を挟んで、店頭で販売できるまでには時間がすごくかかってしまうことになります」
「そうした中、ある日スタッフの方で『自分たちでバッジを作る機械を見た事があります』っていう声がありました。それが最初のきっかけになって、赤ちゃんゾウの写真を使った缶バッジを、限定グッズとして生まれてすぐに販売できるようになったんです」
佐々木さんによれば、缶バッジのような動物の写真を利用したアイテムは、来園者から人気があるグッズの一つなのだと言います。
と言うのも、赤ちゃんのゾウの場合だと、しばらくは窓越しの公開であったりフラッシュをたけなかったりして、せっかく足を運んでもらっても、来園者側からだと良い写真を取ることが難しいという背景があるのだそうです。
その意味合いにおいて、市原ぞうの国の取り組みは、写真をそのままノベルティに活用できるという缶バッジならではの強みを生かした活用事例と言うことができるのかもしれません。