コロナ禍を過ぎ日本を訪問する外国人が増加しています。日本政府観光局が2023年12月に発表した統計によると、2023年(1~11月)の訪日外客数は約2,233万人でコロナ禍以降4年ぶりに年間2,000万人超えを達成しました。

そして、訪日する外国人の増加で期待されるのがインバウンド需要です。今回は訪日外国人によって生み出される商品やサービスの需要を意味するインバウンド需要について、活況が期待される業界や需要を取り込むためのポイントをお伝えします。

インバウンド需要とは

インバウンド需要とは、日本に訪問した外国人による日本国内での商品の購入やサービスの需要を意味するものです。一時期、話題となった中国人旅行者による爆買いもインバウンド需要の1つです。少子高齢化の影響による人口減少で経済成長率の低下が課題である日本にとって、新たな需要を喚起するインバウンド需要は大きな期待を集めています。

ちなみに日本人が海外に訪問した際の商品の購入やサービスの需要はアウトバウンド需要と呼びます。

インバウンド需要が注目される理由

インバウンド需要が注目される理由はさまざまですが、そのなかでも主なものは次の2点です。

高い経済効果が見込める

2020年から2022年は新型コロナウイルスの世界的な流行で1兆円にも満たなかったインバウンド需要は、2023年に入り8月にはほぼコロナ禍以前の水準である約4.8兆円にまで回復しました。

そして、2023年10月12日にニッセイ基礎研究所が発表した「中期経済見通し(2023~2033年度)」によると、インバウンド需要は今後、急激に増加し、2023年には5兆円を達成し、さらに2027年に8兆円、2033年には10兆円を超えると予測しています。この予測からもインバウンド需要が今後の日本経済に良い影響を与えることが考えられます。

地方経済の活性化につながる

円安の影響も大きいものの、訪日外国人の日本での支出額の平均は212,000円(2023年)です。そのため、国内の主要都市以外の地域でも外国人旅行者の訪問により観光振興の活性化につながる可能性が高まります。

観光振興や地方のPRについては、以下の記事にて詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

観光振興とは? 地域を盛り立てながら収益を拡大するための取り組み例を紹介

地域PRの目的と具体的な方法や成功させるためのポイントを事例で解説

インバウンド需要が見込める業種

インバウンド需要が見込める業界は大きく分けて観光業界、旅行業界、交通業界の3つです。ここではそれぞれの業界でどのような業種があるかについて解説します。

観光業界

観光業界での主な業種は次の4つです。

  • ホテルや旅館、ユースホステルなどを運営する宿泊施設
  • 遊園地や水族館、動物園、博物館などのレジャー施設
  • 観光地にあるレストラン、居酒屋、ファストフードチェーンなどの飲食店
  • 土産物を販売するショップ

旅行業界

旅行業界での主な業種は次の2つです。

  • 旅行商品の企画販売、添乗員業務などを担う旅行会社
  • 旅行会社が企画した旅行商品を代理で販売する旅行代理店

交通業界

交通業界での主な業種は次の2つです。

  • 電車、バス、タクシー、航空機、船舶などの交通機関、観光地で観光客向けに営業を行っているバスやタクシーの交通会社
  • レンタカー業者

インバウンド需要を取り込むポイント

インバウンド需要をうまく取り込むためにはいくつかのポイントを押さえることが重要です。ここでは、主なポイントを解説します。

外国人旅行者を受け入れる体制を整備する

インバウンド需要を取り込むうえで欠かせないのは、外国人の困りごとを減らし、快適に旅行ができる体制の整備です。具体的には多言語によるウェブサイトの制作、観光案内、観光通訳者の雇用などのほか、Wi-Fi環境の整備、キャッシュレス決済の導入などが挙げられます。

トレンドの把握

外国人旅行者が何を求め日本に来ているのか、どのようなものに興味を持っているのかなどについての最新トレンドの把握も欠かせません。例えば海外のアニメやマンガファンによる聖地巡礼の場所があることがわかれば、その場所への行き方案内やガイドブックを作成し、駅に設置したり配布したりするなどです。

聖地巡礼については、以下の記事にて詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

聖地巡礼とは? ビジネスとして成功につなげるためのお役立ち情報を紹介

聖地巡礼の経済効果とは? その影響力とビジネスへの展望を解説

また、最近はモノ消費だけではなく、そこでしかできない体験を求めたコト消費も注目されています。名産品を売るだけではなく、制作体験や工程の見学などの検討もインバウンド需要を取り込むポイントです。

コト消費については、以下の記事にて詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

コト消費とは? モノ消費との違いや注目される理由、主な例を解説

外国人旅行者の好みの把握

観光地のお土産も多くの場合、日本人と外国人では好みが異なります。そこでさまざまな観光地で外国人旅行者に人気があるお土産やサービスを調査し、好みを把握することも重要です。

外国人旅行者が好む日本のものについては、以下の記事にて詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

外国人が好きな日本のものは? 日本製品の魅力やグッズ製作の注意点を解説

また、ご当地ならではの商品で比較的簡単に取り入れられるものの参考としては、以下の記事にて詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

海外でも人気のガチャガチャ。その理由と参入するのにおすすめの商品を解説

ご当地ガチャガチャとは? 人気の理由や実例を紹介

ご当地グッズをビジネスに! 参入にあたり押さえておきたい情報を解説

インバウンド需要の主な事例

インバウンド需要の主な事例としては次のようなものが挙げられます。

聖地巡礼の事例

近年、アニメやマンガの舞台となった場所を訪問する聖地巡礼(アニメツーリズム)が国内のファンだけではなく海外のファンにまで拡大しています。

「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「心が叫びたがってるんだ。」「空の青さを知る人よ」などのアニメの舞台となった埼玉県秩父市では、市の祭りとのコラボやスタンプラリーなどを開催し、海外からの観光客誘致に成功しました。

ムスリムの訪日旅行者向け施策の事例

岡山県岡山市では、世界の人口の4分の1を占めるといわれるムスリムの訪日旅行者誘致のサービスを積極的に行っています。一般的にムスリムの方を迎え入れるには「ハラール認証の取得」が欠かせません。しかし、ハラール認証の取得は基準が厳しく取得費用も安くないため、岡山市ではハラール認証とは別に比較的取得しやすい独自制度「ピーチマーク」を導入しました。2021年末には市内61の飲食店や宿泊施設などでピーチマーク認証を受け、ムスリムの誘致につなげています。

タクシー業界の事例

タクシー業を行っているMKタクシーでは、本拠地である京都で通訳ガイド事業を開始し、インバウンド需要に応えています。同社ではコロナ禍を過ぎインバウンド需要が本格化したことで外国語を話せるドライバー不足という課題を抱えていました。そこで外国語が話せないドライバーが乗務するタクシーに通訳ガイドを同乗させ、外国語対応ドライバー不足の課題を解決し、インバウンド需要の取り込みに成功しています。

インバウンド需要の取り込みには旅行者のニーズ調査と環境整備が大切

インバウンド需要とは、日本に訪問した外国人による日本国内での商品やサービスの消費を指すものです。コロナ禍を過ぎ、本格的に日本に来る外国人旅行者が増加していることもあり、大きく注目されています。

インバウンド需要を取り込むポイントは、外国人が訪問先で困ることなく快適に旅を楽しめる環境を整備すること、そして外国人が喜ぶ商品やサービスの提供です。

外国人が喜ぶ商品やサービスは、常にトレンドを把握しておくことも重要なものの、多くの手間やコストもかかります。そこでおすすめなのが缶バッジです。今、外国人に人気なガチャガチャの商品としても使えるうえ、マンガやアニメのキャラクター、ご当地モノなど工夫次第で多くの需要を取り込めます。また、比較的容易かつ低コストで製作できるのもおすすめするポイントの1つです。

バッジマンネットでは、気軽にご利用いただける缶バッジキットを提供しています。豊富な在庫を持ち素早い発送も可能ですので、インバウンド需要に向けた商品を検討されている際はぜひお気軽にご相談ください。